『サル探偵の事件簿』~File3~ 「後ろの女」 |
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女は、喧騒に沸き返る事件現場に足を踏み入れた。 事件現場は、関係者でごった返していた。 女は、封鎖線で仕切られた空間の奥に視線を送り、ラッキーストライクに火を点けた。 ふと時計を見た。 もうすぐ午前2時になろうとしていた。 梅の花が咲いたというのに、夜の冷え込みはまだ身に染みる。 あの通行人から見えないようにとの配慮から架けられたブルーシートで視界を遮られらた先には、おそらく、この現場の主役がいるのだろう。 物言わぬ躯となった主役が。 それにしても因果な稼業だ。 自分でもそう思う・・・ ただ、自分でなくては解決できない事件(ヤマ)もあったという自負があるからこそ、奮い立つ気持ちも湧き上がってくる。 人差し指と中指の間に挟んだ巻紙からのぼる紫煙が鼻腔を擽った。 |
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サルの助手・黒田 |
探偵・・・。 ソレ吸われないのなら消してもいいんじゃないでしょうか? |
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「自称」天才名探偵・サル |
ん? あ、煙草(ラッキーストライク)のこと? いいの、いいの、コレ雰囲気醸し出すための小道具だから。 持ってるだけで、なんかハードボイルドっぽく見えるかな? って思って持ってるだけだから。 |
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探偵は、存在がもうハードボイルドなんですから、変な演出なんて要らないですよ! | ||
ふっ・・・やめろよ。 |
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きゃぁーーーっ!! 渋いですぅっ!! 格好いいですぅぅーーっ!! |
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いや、でも今回の事件(ヤマ)はテンション上がるよね。 なにせ今現場に集まっていた報道陣によると、これ例の連続殺人事件って話だよ? |
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え!? 今、ワイドショーとかでも騒がれている、あの『後ろの女』ですか!? |
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そう! 1件目の殺人事件の被害者が、搬送先の病院で加害者は女性だと思う、と言い残して死んだよね。 2件目の被害者が生前に映っていた死体発見現場付近の防犯カメラの映像には、その女性の背後に一定距離を保ってついてくる犯人と思しき女性らしい人物が映りこんでいたよね。 そして、3件目の犯行現場には、犯人のものとされる女性用の靴であるパンプスのゲソ痕(足跡)が残されていたんだよね。 |
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被害者は全員が女性。そしてその年齢が、いずれも20歳前後。 犯行時刻が毎週木曜日の22時から午前0時に集中していること。 犯行手口が、階段等の場所で背後からいきなり突き飛ばすという同一のものであること、そして事件が全て環状線の周辺駅上で行われていること等から、同じ人物による連続的犯行と目されているんですよね。 |
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もっとも、真似しやすい手口であることから模倣犯によるものって線も捨て難いところではあるけれどね。 | ||
また被害者の財布や鞄には手が付けられていないことから、物盗りの線は否定されていますが、怨恨というには、被害者女性に接点等が一切ないために、通り魔的な犯行ではないかと考えられているみたいですね。 それにしても、まさか捜査の進展もないままに4件目の事件が起きてしまうなんて・・・探偵が1件目から立ち会っていれば、こんなことにはならなかったのではないかと思うと、私も悔しくって悔しくって・・・。 |
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『女は深く煙草の煙を肺に入れると、白い息を溜息と共に吐き出した。 夜の月に狼煙のように立ち上がっていく白い煙を見上げながら、誰に言うともなく呟く。 ホシは・・・アイツだな・・・。』 |
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さっきから、ソコでナニをゴチャゴチャ言っているです!! また勝手に現場に入ってきたですか!! |
所轄警察官・竹中 |
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『煙草の煙を肺に入れると』 って、さっきから、その煙草、手に持ってるだけじゃないの! この場所は禁煙なんだから、煙草に火だけ点けてウロウロするのは止めてよぉ!! |
警視庁鑑識・小 |
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おいおい。無能共。 4件目の被害者を出しておいて、真っ当な捜査をしてるつもりでいるわけ? |
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う・・・そ、そ、それは・・・。 | ||
でもでも、チイ達だって一生懸命捜査しているんだよぉ! 今日だって、何か一つでも現場に犯人に繋がる遺留品はないかって、こうして必死になって探しているんだよぉ! |
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『木下藤は思った。 あぁ、こいつらは本当に無能なんだ、と。 無能ということは罪悪でさえある・・・そう思った。 4人目の被害者を出したことに、こいつらは責任さえ感じないんだろう。 しかし、犯人を取り逃がしていることが、今夜の凶行に繋がったということを自覚すべきなのだ。』 |
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・・・し、辛辣な言葉です・・・。 | ||
うう・・・悔しいけど言い返せないよぉ。 | ||
うんうん。 しかし、そんなお前らに救世主様だお。 |
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ですね! 今宵で、この凶行にも終止符が打たれるわけですよね!! |
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ふえっ!? | ||
だって、今お前らの目の前にいるのは名探偵様なんだお? 事件現場に名探偵とくれば、もう野球の9回裏のクローザーみたいなものだお。 ソコでジ・エンドってことだお!! よし、エンドロール流す準備してこいや、無能共っ!! はいはい。 月曜21時『美人名探偵・木下藤の事件簿』これにて完結っ! 主演・あたし! 脚本・あたし! 監督・あたし! 協賛・あた・・・ |
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いいよぉ。 だって、どうせいつもみたいに、このヤマも「自殺」って言うんでしょ? いつもなんの捜査資料もくれないどころか、証拠を破損したりするんだから帰って貰いたいよぉ。 |
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ですです! 私達はこのヤマを一刻も早く解決したいって思っているです! 部外者のあなたに構っている時間はないです!! |
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・・・おやおや。 あたしは、まだナニも言ってないってのに、「自殺」って言葉を誘導するんだ。 |
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え? だって、馬鹿の一つ覚えみたいに、いつもソレばっかりじゃない。 |
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ソレで誤魔化しきれるとでも思っているわけ? 「部外者」という言葉で、あたしを一刻も早く排除しようとした不自然な挙動に、このあたしが気付かないとでも思った? やれやれ・・・随分と甘く見られちゃったね。 |
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探偵!? ソレはどういうことですか? |
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クロちゃんは不自然だと思わなかったのかな? 目撃者は愚か、防犯カメラの映像にさえ映りこんでいる犯人が、いまだに犯行を重ねられているという事実に。 そして、今このチビッ子共が見せたあたしの言葉をミスリードしようとする態度・・・ さらには、この犯行現場から名探偵のあたしを少しでも早く遠ざけようとする言動・・・。 |
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ま、ま、まさか・・・探偵・・・。 | ||
そのまさかだよ! クロちゃんっ! 犯人は、この中にいる!! |
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えええええええっ!? | ||
『じっちゃんの名にかけて』 ・・・犯人は・・・ |
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ご、ご、ごくり・・・。 | ||
一連の凶行の犯人は・・・ このチビッ子共だったんだよ!! |
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えええええええぇぇぇっ!!! | ||
ふえっ!? | ||
は? | ||
いち早く現場に急行する所轄の警察官。 いつもの光景に誰も、そのことを不自然がる関係者もいなかったと思うね。 そして、その後に臨場する鑑識。 この2人が共謀することで、事件現場に残された証拠は完全に隠蔽されてきたんだろうね。 |
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た、た、確かに、現場に一番乗りする警察官と、初動捜査にあたる鑑識は、誰よりも早く現場の遺留品や証拠に触れることが可能な存在です! その2人が手を組めば、事件現場の証拠資料の改竄・隠蔽なんていとも容易いことと言えます!! |
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まさに!! | ||
し、しかし探偵っ! 「後ろの女」という犯人の通称にもなっている犯人像は、防犯カメラ映像として一般公開もされているじゃないですか! 自分達の映りこんだ姿を、一般公開したら、証拠隠滅どころではないと思うのですが・・・。 |
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最初の被害者が残した証言については計算外だったんだろうね。 即死しなかったことも計算外だったろうから、証言を封じることが出来なかった・・・そのため、証言に合致する適当な防犯カメラの映像を犯人像にでっち上げて捜査を攪乱する、という手段に出たんだろうね。 |
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ということは、防犯カメラの映像は? | ||
解析しても個人を特定することの不可能な画像であれば誰でも良かったんだと思うよ。 おそらく発表前に綿密に計算し、解析不可なことを知った上で、敢えて犯人像に仕立て上げたんだろうね。 そんな計算の可能な人物・・・ということになれば、ある程度優秀な鑑識ってことになるんじゃないのかな? ねぇ? そちらのオチビさん? |
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そ、それではゲソ痕も? | ||
最早、言うに及ばずだろうね。 市場に大量流通している女性用の靴を、犯人の物と言っておけば、それだけ捜査対象は増える・・・という計算の上のことじゃないのかな。 やってくれるね・・・お前ら。 |
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・・・・。 | ||
・・・もう帰ってよぉ。 | ||
くっくっく・・・。 まさに「ぐうの音も出ない」ってヤツか。 チビッ子共っ!! いやさ、世間様を騒がせる連続通り魔殺人犯『後ろの女』っ!! もう年貢の納め時だよ!! お前らの凶行も今宵限りだっ! 自分達の犯した罪の重さ・・・塀の中で死刑執行のその日まで震えて思い知るんだな!! あ・・・違うか、違うわ。ここで言わないとっ!! 『今夜は震えて眠れっ!』 |
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た、探偵っ!! ハードボイルドですっ!! |
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決まったよね? バッチリ決まったよね!? |
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わかったからっ! 気が済んだなら、もう帰ってよぉ! |
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見逃してくださいって言うのかい? その言葉は、お前らが情け容赦なく殺してきた被害者の人達に言うべき言葉じゃないのかい? |
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そんな証拠もないデタラメな推理で、犯人呼ばわりされても困るです。 | ||
そうだよねぇ。 この名探偵の『推理』で『犯人』とバレちゃったら『困る』よねぇ。 お前らの悪事が露見しちゃうわけだからねぇ。 |
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都合いい言葉だけ抜き出さないで欲しいです! ホントに捜査の邪魔なんです! 帰って下さいです!! |
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『帰って下さい』とはね。 今度は見苦しく命乞いときたか・・・。 ホント、お前ら悪党と来たら、最期の最期まで救われないな。 お前らにかける言葉はもうないよ・・・哀れ過ぎてね! 『女は唾棄すべき物を見るかのように殺人鬼共に一瞥をくれると視線を外した もうこれ以上見たくないものを目にしないように・・・』 ってか? どうどう? クロちゃん? ハードボイルドだよね? ハードボイルドしてるよね!? |
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た、探偵っ!! 今宵の探偵は、いつになく痺れますっ!! |
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もういい加減にして欲しいよぉ。 | ||
捜査の邪魔はするわ、証拠は破損するわ、挙句の果てには、真面目に捜査にあたっている私達を犯人呼ばわりするなんて、怒りで身体が震えてきたです! | ||
あの無能な刑事共相手なら見過ごされただろうけど。 この、あたし相手には、ほんのちょっとした言葉も命取りになってしまったようだね。 |
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流石、探偵ですっ! 2人の、僅かな言葉のアヤさえも見逃されない、神懸かった洞察力! まさに『天網恢恢疎にして漏らさず』とは、このことですね!! |
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また、あたしの武勇伝が出来ちゃったみたいだね? | ||
奇跡の瞬間に立ち会えたことを光栄に思いますっ! 警察が捜査員を動員しても逮捕し得なかった連続殺人犯を、探偵は僅かな会話だけを手掛かりに解決されてしまわれるなんてっ!! |
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い、いくらなんでも、もう許せないです! | ||
そうだよ、そうだよっ! ナニ言っても許されるってわけじゃないんだよっ!? |
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はいはい、そこまで、そこまでっ!! | 捜査一課敏腕刑事・光 |
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あっ! 明智刑事っ!! |
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竹中巡査、チイさん。 お疲れ様でした。 たった今、連続殺人事件の容疑者を確保して来ましたよ! |
光の後輩刑事・柴田 |
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今回程、捜査が後手後手に回ったことに歯がゆい思いを感じたことはなかったわね・・・。 目撃者も凶器もない犯行だっただけに、犯人を特定するに足りる証拠がないのが泣き所だったわ・・・。 |
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唯一の目撃者だった最初の被害者も、搬送先の集中治療室でお亡くなりになってしまった為に、モンタージュ協力も御願い出来ませんでしたしね。 | ||
そうね。 犯行現場がいつも人通りの少ない階段だったせいで、被害者の発見時には、犯行時刻から相当時間も経過していたし・・・それから捜査網を展開していたから、犯人を取り逃がすことになってしまっていたしね。 |
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そ、そんな犯人を、どうやって逮捕できたんですか? | ||
ここだけの話・・・囮捜査を仕掛けたのよね・・・。 | ||
ええっ!? | ||
コレは捜査本部のトップシークレットだからね。 ただ市民の命を、これ以上危険に晒すことには、私達捜査本部の人間は我慢が出来なかった・・・ 来る日も来る日も、ろくに睡眠時間もとれず捜査本部に詰めっ放しの日々を過ごすものの、決め手となる証拠もなく第2、第3の犯行を許してしまったことに、最後の賭けに出ることにしたの・・・。 |
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その囮捜査を志願したのは・・・ | ||
柴田よ。 年齢的な問題や、犯人に突然襲われた際に最低限の自衛がとれる囮捜査を仕掛けられる捜査員ということになると、なかなか適任な人材もいなくってね。 柴田を見張る後詰めは、私が務めることにしたんだけれど、今回の一番の御手柄は、間違いなく柴田よね。 |
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先輩みたいな推理は私には真似できないですからね。 でも、私にも出来ることはあるんだってワカッて貰いたかったんです! |
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ソレは違うわ、柴田。 私には、柴田のような格闘術や狙撃の腕はないもの。 でも、だからこそ私達はいい相棒だって思っているわ。 お互いに補い合える2人ってことだものね! |
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先輩っ!! その言葉・・・すごく嬉しいです!! |
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でも今日の柴田の姿は、今まででも一番格好よかったわ! 背後から来た相手が、柴田の背中を押そうとした、正に、その瞬間に相手の腕を掴むなんて芸当、誰にだって出来ることじゃないもの。 背中に目でも、ついているんじゃないの? ねぇ、柴田!! |
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私も咄嗟のことに無我夢中だっただけです・・・。 正直、うまくいったことに一番ホッとしているのは私ですよ。 |
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やっぱり御2人は凄いです! あ・・・でも囮捜査をされた御2人が、犯人を確保された・・・ということは、今視界を遮るために架けられている、あのブルーシートの向こうにいるのは・・・。 |
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お察しの通り・・・かしらね。 4件目の犯行の被害者ではなく、今夜の囮捜査によって検挙できた4件目の犯行に及んだ加害者・・・よ。 今、自供も得られたから、本庁に連行する段取りだから。 |
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・・・警察関係者による囮捜査。 と、と、とんでもない真実の暴露を耳にしてしまったお・・・。 まさにハードボイルド・・・ |
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はっ!! あ、明智刑事っ!! ど、ど、どうして、こんな部外者のいるところで、そんなトップシークレットを口にされたんですか!? |
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そ、そうだよ、そうだよぉ。 寄りにも寄って、こんな信用の出来ない人に聞かせていい話じゃないって思うよぉ! |
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でも『冥土の土産』って言うじゃないの。 私も鬼じゃないからね。 事件にとかく首を突っ込みたがる探偵さんに、最後に事件の顛末くらいは聞かせて上げないと、死んだ後に枕元に立たれても困るかなって思ってね。 |
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ん? ん? 全然話が見えない。 なんでだろ、あたし、この無能刑事の言っていることが1ミリも理解でけないんだけど、つまり、どういう意味なのか説明してくれる? |
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ナニも難しい話はしていませんよ。 毎回犯行現場に勝手に乱入しては、捜査の邪魔ばかりする犯罪者を速やかに排除しようという結論に達しただけですから。 |
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むむむっ!? そんな許し難い悪が居るっていうの? よしっ! ここは、ハードボイルド探偵のあたしもソイツの逮捕に協力してやんよ! |
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いえ、大丈夫です。 御手を煩わせることは何もないですから。 (ガシャンっ! ・銃の撃鉄を起こす音) |
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な、な、なにをするつもり・・・だ、だ、だお!? | ||
さぁ、ナニが起きるのかしらね。 銃の名手の柴田が、その銃を用意するようなことなのかしらねぇ? |
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大丈夫です! ここには、事件現場にいつも一番最初に到着する所轄の警察官も、本庁から臨場する鑑識もいるです! どんな事件も、どんな証拠も、私達さえ居ればキチンと隠蔽してみせるです! (ドヤ!) |
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うんうん。 心配は要らないよぉ。 (ニッコリ) |
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ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!! こ、こ、殺されるぅぅぅぅぅぅぅっ!!! |
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はいはい。 騒がない、騒がない。 今、何時だと思っているの? 市民の皆様の静かな眠りを妨げるつもり? |
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たぁーーすけてくれぇーーーーっ!!! | ||
ハードボイルドは、そんなことで騒がないんじゃなくって? 命乞いなんて格好つかないわよ? |
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ふっ・・・好きにするさ。 | ||
それでは御言葉に甘えて。 | ||
ヤダヤダヤダっ!! 今の、言いたかっただけだからっ!! ハードボイルドっぽくニヒルに決めてみたかっただけだからっ!! やめて、やめてぇ、やめてぇぇーーっ!! |
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た、探偵ぇーーっ!! | ||
明智先輩っ! 暴漢が1名、私に襲い掛かって来たであります! あ、しかも見て下さい! 暴漢の手には、ロシア製拳銃トカレフであります! あ、危ないっ!! 発砲して来ました!! |
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うんうん、見てるわよ、柴田! これは、応戦の必要性ありと判断したわ! 正当防衛が成立する状況といえるからね。 |
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ちょっ! おまっ!! 目ぇつぶってナニが見えるってんだお!! う、う、嘘こけお!!! あたし、なんも持ってないやないかお!! な、なにがトカレフだお!! 無理矢理、正当防衛になるような状況をデッチ上げてんじゃねぇーお!! |
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先輩っ!! 威嚇射撃も効果がありません!! 説得にも応じる様子がないです!! |
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ちょまっ!! や、やめれっ!! い、いつ説得したんだお!! こんな茶番、いつまで続けるつもりなんだお!! |
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やむを得ないわね・・・対象への発砲を許可します! | ||
硝煙反応は、後からちゃんとチイが処理しておくから大丈夫だよ! | ||
チイさん、ご配慮感謝致します!! それでは先輩の許可も下りたことですし、これ以上の狼藉を許すわけには行きませんからね!! 御覚悟をっ!!! |
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やだやだやだやだやだぁあぁぁあぁああっ!! 権力横暴ぉぉぉぉっ!! こ、こんなことして許されるとでも思っているのかおぉぉぉっ!! |
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アラ、昔から言うじゃないの。 『死人に口なし』ってね。 誰も証人は居ないんだし、許すも許さないもないじゃないの。 あんたは警察官の私たちに向けて、あろうことか違法拳銃で襲い掛かってきたのよ。 私たちは、必死の説得を試みるも、あんたは一切耳を傾けず、発砲してきたため、已む無く私たちも拳銃で応戦。 つまり正当防衛という状況下で、あんたに当たった柴田の拳銃の弾によって、あんたは射殺される・・・って筋書かな。 ねぇ、竹中巡査? |
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ハードボイルドっぽく格好よく散って下さいです! (ドヤ!) |
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ぎゃぁぁぁぁああぁぁぁぁああぁぁぁああっ!!! | ||
・・・。 | ||
あら・・・気を失っちゃったみたいね? | ||
まだ一発も撃ってないのに、随分と気が早いですね。 もう少し怯えさせてやりたいと思っていたのですが・・・。 |
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・・・・。 | ||
探偵っ!! 探偵っ!!! |
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はいはい。 ソコも騒がないで! まぁ、これだけ脅かしておけば、これに懲りてもう来なくなるでしょうよ。 |
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ですね。 | ||
ホントだったら、このまま縛り付けて海にでも沈めてやりたいところだけど、まぁ、このあたりで勘弁して上げるわ。 | ||
ええぇ? これで許しちゃうのぉ? せめて、どっかの池でいいから沈めてこようよぉ。 今日なんて、竹中巡査とチイを犯人扱いしてきたんだよぉ? |
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あら、そうだったの? ソレは聞き捨てならない話ね。 うん。 ソレじゃ、警察署の裏手の池にでも逆さ吊りにしておきましょうか。 |
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藤探偵ぃぃぃぃっ!!!! | ||
~File3~「後ろの女」 完 |
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掲示板でのおおもりさんのアイデアを受けて、ハードボイルドに憧れるサル探偵に挑戦してみました。 いかんせんサルは、基本口だけのヘタレでハードボイルドには縁遠いので、様にならないわけですが。 第一弾、第二弾と、幾らなんでも、この探偵はやりたい放題過ぎるな・・・という気持ちから、今回はいつも調子にノッているサル探偵が懲らしめられるという話です。 まぁ、第三弾は、さらに調子にノッていたので、当然の報いでしょう、ええ。 今年(2016年)の3月3日の札幌地裁で出された警察の囮捜査の違法性を認めた再審決定の報道を見て、囮捜査の違法性を考えることがあったので、ネタに取り入れてみました。 まぁ、コメディなので、現実との整合性なんて、そもそも考えてはいませんけどね。 アホの管理人こと私として結構お気に入りなネタ話なのですが、勉強会がお目当ての御訪問者様には御呼びではないって御気持ちがあることは自覚してはおります。 連載は、あと2本で一先ず休載の予定でおりますので、今しばらく御付き合い下さい。 アホの管理人(2016.3.9) |