えー。 今日、みんなに集まってもらったのは他でもありません。 みんなに紹介したい子がいるからなんだお。 あー、あー。 ところで、ソコの金満女は、ちゃんと手土産を持って来たのかお? |
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・・・私の顔見て「金満女」って言われたみたいだから、敢えて、うかがわせてもらうわね。 ソレ、私のことじゃないわよね? |
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も、も、もちろんだお・・・。 (ヤバす! 思わず言ってもぉたお。) |
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違うというのなら、どうして視線を合わせないどころか、背中を向けているのかしら。 不思議だわぁ〜。 |
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光ちゃん、「金満」は「お金持ち」という意味の言葉なんですから、そんなに怖い顔されなくってもいいと思いますよ。 ですよね? 藤さん。 |
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そうそう! ホント、そうだよね! もう、なんでもかんでも悪意で捉える人はダメだよねぇ。 |
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・・・。 (広島ファンの藤先輩の口にされる「金満」には、ジャイアンツを意識した非難の気持ちが根底にあるはずですから、アウトだと思うです。) |
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あっ! そだっ!! 無駄話しとる場合じゃなかったお。 今日は、みんなに会わせたい子がいるから呼んだんだった。 ちょっとぉ。話の腰を折るようなチャチャ入れないでくれる? |
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その言葉、そっくりそのまま勉強会のあんたに送りたいけどね。 | ||
まぁまぁ。 それで、藤さん。 会わせたい子って、どなたなんでしょうか? |
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・・・。 |
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今、クロちゃんの横に湧いた小動物だお。 | ||
小動物じゃないよ! チイだよ!! |
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うそっ!!! チイちゃんじゃない! 久し振りね! えーー! あの小さかったチイちゃんが、こんなに大きくなっているなんて。 |
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・・・ババくさい台詞だお。 お前は、親戚のオバさんかお・・・。 |
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チイ・・・ちゃん・・・? | ||
あっ!! よく話題に上がっていた、藤先輩の妹さんですかっ!? |
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ナカちゃん、大正解っ! サルの妹の、チイちゃんよ! 私が、子供の頃、一緒に遊んだこともあったのよね。 ね? チイちゃん? |
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光おねーちゃん・・・。 会えて嬉しいぃよぉー。 |
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ふ、ふ、藤さんの妹さんなんですか? は、は、はじめまして。 私は、藤さんのクラスメイトの、黒田つかさって言います。 お姉さんには、ホントに良くして頂いています。 |
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木下藤の妹の、木下小(チイ)です! コチラこそ、ヨロシクお願いします!! |
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は・・・はじめまして・・・です。 た、竹中半(ナカ)です・・・。よ、よろしくお願いするです。 あの・・・わ、私はロー生ではなくって、学部の法学部生なんですけれど、いつも勉強を教えてもらっているです。 |
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竹中さんは学部生なんですね! ワカリました! 大丈夫です! チイでワカルことなら、お力になるので、ワカラないことがあったら、何でも聞いて下さい! |
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ふえ!? | ||
待って、待ってっ! チイちゃん、たしかサルより5つ年下だったわよね? まだ高校3年生じゃない? ナカちゃんは、大学の3回生だから、チイちゃんの気持ちは嬉しいけれど、ちょっとナカちゃんを助けるのは難しいと思うわよ? |
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そんなことないですよ! チイは、来年からは、オネーちゃんの通うロースクールに既習1回生(=未習2回生と同回生)として入学するんです! 学部の方の質問くらい答えられないといけないと思います! |
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既習1回生? | ||
なんかねぇ。 大学飛び級して、ロースクールの、それも既習生の入学試験を合格しちゃったみたいだお。 |
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ええぇぇぇーーーーっ!!! さ、さ、流石、藤さんの妹さんですっ!! 藤さんのDNAの優秀さは、木下家の方々に共通されてみえるんですね! |
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ス、ス、スゴイですっ!! | ||
チイは、頑張り屋だもん! | ||
私も頑張っているつもりなんですけど、そんなことは出来そうにないです。 チイちゃん・・・アレ? 年下ですけど、既習のロー生ですし、教えてもらうことになるのですから、チイさん? えーっと、チイ先輩と御呼びした方がいいのでしょうか? |
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年上の竹中さんが、チイに先輩なんて、よくないですよ。 | ||
でもでも、私もこれから勉強教えて頂く人に「ちゃん」付けは、抵抗があるです。 | ||
いやいや、チイも、コッチには友達いないからさぁ。 ナカたんが、チイの友達になってくれたらって思って、今日はこうして紹介したわけなんだし、堅苦しいこと言わずに、ドッチも仲良く「ナカちゃん」、「チイちゃん」で、いんじゃない? |
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チイが「チイちゃん」はいいけれど、竹中さんは年上なんだから「ナカちゃん」なんて、おかしいよ! | ||
ほほー。 姉のあたしの言うことに意見するとは・・・。 偉くなったもんだねぇ。チイも。 |
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ナ、ナ、ナカちゃんでいいよ。 | ||
あんた、ナニ? まだチイちゃんをイジメてんの? チイちゃん? もし、サルにヒドいことされたら、私に相談するのよ? 私が、きちんとサルを懲らしめて、そんなことさせないようにするからね! |
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光おねーちゃんっ!! | ||
でも、飛び級で、それも既習で入学なんて、ホント凄いですよね。 どんな勉強をされれば、そんなことができるのか、すごく興味深いです。 |
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あ、ソレは私も聞きたいわ! ねぇねぇ、チイちゃん、よかったらどうやって勉強してきたのか教えてくれない? |
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知りたいです、知りたいです! | ||
努力と根性です! | ||
努力と根性だけじゃ、ダメだと思うんだけどなぁ。 具体的には? |
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チイは、小学1年生の頃から、オネーちゃんの宿題をやらされてきました。 小学生になったばかりのチイに、オネーちゃんは小学6年生の宿題を、やれって言ってきたんです。 |
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ヒドい無茶ぶりです!! | ||
もちろん、チイも最初は全然出来ませんでした・・・。 でも、宿題やらないと、おねーちゃん頭突きしてくるし、お風呂入ったら窓から水かけてくるし、お布団入っても布団ひっぺがして無理矢理起こしてくるし、チイにだって宿題あるのに、ソレはお前のじゃないか、って言って教えても手伝ってもくれないし・・・。 |
||
ふむふむ・・・。 ソレで、ソレで? |
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小学2年生になったら、オネーちゃんは、今度は中学校の宿題をチイに持ってくるようになって・・・。 ドンドン難しい勉強ばかりになって、もう出来ないよぉーって言ってるのに、オネーちゃんは「なせばなる」の一点張りで許してくれなくって・・・。 |
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「なせばなる」って話じゃないです。 | ||
小学4年の夏は特にキツかったです・・・。 チイの夏休みの宿題とは別に、オネーちゃんの高校受験の勉強が重なって、チイはまだ算数しか教えてもらっていないのに、数学の問題聞かれて、ホントに苦労しました。 |
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無茶ブリするほーもするほーですけれど、その無茶ブリに応えるチイちゃんが、凄すぎるです。 | ||
一番苦しかったのは中学1年のときです・・・。 オネーちゃんの大学受験があって、赤本やら、センター試験やら、チイの知らない世界の試験問題が山積みになって襲ってきたんです・・・。 |
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ひぃぃぃぃいぃっ!! | ||
うんうん。 あたしの英才教育があってこその今のチイってわけだお。 オネーちゃんへの感謝の念を、努々(ゆめゆめ)忘れるでないぞ? |
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あんた、ナニ、自分にいいように解釈してくれちゃってんのよ! どんだけチイちゃんを酷使したのかワカッテんの!? |
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でもでも、今のチイがあるのは、確かにオネーちゃんのお陰だと思います。 オネーちゃんが、小学生の頃からずっと、ずぅぅぅぅーっとチイをスパルタで鍛えてくれたから、チイは勉強で困ることはなかったんです。 |
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そのとーりだお! | ||
だから、今度はチイがオネーちゃんに恩返しするときだと思ってます! オネーちゃんと同じ学年なら、一緒に勉強できます! 今まで、オネーちゃんがチイを、スパルタで鍛えてくれたお陰で、今のチイがいるんですから、今度はチイが、オネーちゃんをスパルタで助けてあげたいです! そう思って、チイは既習として来年からオネーちゃんと一緒に勉強できる、このロースクールを選んだんです! |
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ほえ? | ||
まぁ、なんて麗しい姉妹愛なのかしら。 よかったわねぇ。木下さん。 |
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『姉より優れた妹なぞ存在しねぇ!!』 | ||
あうあうあうあう。 ジャギ兄さん同様、存在しているだけに余計に泣けるです・・・。 |
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でも、チイちゃんがお出来になる理由が、よくワカリました。 一朝一夕の努力ではなくって、姉の藤さんの優しい愛が注がれ続けた賜物だったということなんですね。 「天才」なんて言葉は安易には使いたくないですけれど、少なくとも「努力」することにかけては、チイちゃんは、その言葉に値するだけのことをされてきたと思います。尊敬しちゃいました。 |
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あれ? つかさちゃん、今の話、聞き流していたのかしら? ドコに、「優しい愛が注がれ続けた」下りがあったの? |
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垂れ流された宿題しか見当たらなかったです・・・。 | ||
違います、違います! チイが、弱音を吐いても、オネーちゃんは「甘えるな」って厳しく叱ってくれました! チイが、もう出来ないって泣き出しても、オネーちゃんは「やるまで寝るな!」って怒ってくれました! いつも、オネーちゃんは、チイを励ましていてくれたんです! |
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・・・まぁ、そのチイちゃんへの言葉は、当の本人であるサルに、一番言いたい言葉だっていう大問題こそあるけれどね。 | ||
でも、そのお陰で、チイは、こうして飛び級でロースクールにも入学できました! オネーちゃんの勉強をいつも一緒にやっていたからこそだと思っています! |
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「一緒に」はやっていないわよね・・・。 チイちゃんだけがやらされていたわけなんだから・・・。 |
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まぁまぁ、光ちゃん。 済んだことは、もういいじゃない。 お陰で、こうして、チイも一緒に勉強できるわけだし、そこは水に流しちゃおーよ。 それより、手土産、ちゃんと持ってきてくれたんだよね? |
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ナニ、結果オーライで済ませようとしてんのよ。 まぁ、チイちゃんが前向きに捉えているのに、第三者の私がアレコレ言うのも違う気がするから、いいけどね・・・。 あ、手土産だったわよね。 デコレーションケーキ3つよね? もうすぐ宅配される頃じゃないかしら。 |
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ぴんぽーんっ! | ||
あ、来たんじゃね? (イソイソ) |
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えー。明智財閥のお嬢様から、チイの歓迎ってことで、デコレーションケーキが届きましたぁ〜。 ありがたく、美味しく頂きましょ〜。 |
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ケーキ!! ケーキだよ、オネーちゃん!! |
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うんうん。 ケーキだねぇ。チイ。 |
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食べてもいいの? 食べてもいいの? |
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チイちゃんが、そんなに喜んでくれて私も嬉しいわ。 さぁ、召し上がれ。 |
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いや、待ってっ!! あっ!!! |
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っ!!! | ||
ケ・・・ケーキが1つ机の上から消失したです!! | ||
美味しぃぃぃぃぃ〜っ!! | ||
・・・「待って」って言ったじゃない。 チイは、大食いな上に、早食いなんだよ・・・。 ちゃんと、取り分けておかないと、全部持ってかれてまうんだお。 |
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・・・知らなかったんだもん。 | ||
チ、チイちゃん・・・すっごく食べるの早いんですね・・・。 で、でも、もう少しゆっくりお食べになった方が、身体にもいいかと思いますよ? |
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あ・・・チイもそう思うんだけど、チイはずっとオネーちゃんと一緒にご飯食べてきたから・・・。 | ||
よくワカラない理由なんだけど、聞いてもいいのかしら? | ||
お皿に取り分けていないオカズは、オネーちゃんがいつも先に食べちゃうんです・・・。 チイが、まだ食べてないよ! ってオネーちゃんに言うと、お前が食べるのが遅いのが悪いんだって頭突きされるから、チイは、オネーちゃんよりも早く食べないと・・・って思っているうちに、気付いたら、すっごく早く食べちゃうようになってて・・・。 |
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人は環境の動物だ・・・という話だね。 なかなか深いよね。 |
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おぉぉぉぉっいっ!! すっ呆けたこと言ってんじゃないわよっ!! あんた、どんだけチイちゃんに迷惑かけ続けてきたのよ!!! |
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チイちゃん、大丈夫よ? ここには、チイちゃんのケーキを取り上げるような悪い人はいないから、味わって、ゆっくり食べてくれていいからね。 |
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光おねーちゃんっ!! | ||
もっとも、チイは、既に1つケーキ食べちゃったんだから、もうチイの分はないけどね。 ざまぁっ!! |
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えぇーーー。 ヤダヤダヤダっ!! チイもケーキ食べたいよぉぉ! |
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まだ2つもケーキは残っているじゃないのよ! 今日は、チイちゃんの歓迎会なんでしょ? ナニ、主賓のチイちゃん泣かせているのよ!! |
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仕方ない。 ソレじゃ、チイにもケーキ上げるから、チイの食べた分を埋め合わせるため、なんか追加で注文しようよ。 そうだ。 宅配ピザ食べてみたい。 あたし、あんな高い贅沢品頼んだことないし! |
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なんか腹立たしいけれど、チイちゃんのために追加注文することにするわ。 誤解するといけないから最初に言っておくけれど、コレは、チイちゃんのためであって、あんたのためじゃないからね!! |
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うんうん。 (どうせ頼んでまえば、誰のためもナニもねぇお。) |
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光おねーちゃん、ごめんね。 | ||
いいから、いいから。 あ、どうせならチイちゃんが好きなトッピング選んでくれていいわよ。 1枚で足りないのなら、2枚でも3枚でも頼んでくれていいからね。 |
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チイっ!! せっかくだから10枚くらい頼んどきなっ! 余ったら、冷凍庫に入れておけばいいんだしさ! |
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オネーちゃん! そんなの出来るわけないよ! |
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そうよ! チイちゃんは、あんたと違って、そういう人の厚意に厚かましく踏み込んでくるような真似はしないのよ!! |
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だって、10枚じゃ余るわけないもん! 冷凍庫に保存したいのなら、50枚はないと、チイ1人で食べちゃうよ? |
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・・・・は、は、はらぺこモンスターがいる・・・。 | ||
・・・・。 (藤先輩の御実家が、貧しいっていうのは、絶対に2人の食費が原因だったに違いないです・・・。) |