ウキキキキキっ! 広島カープが調子いいから、あたしもご機嫌だお! |
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私の応援する横浜は、今季も低迷しています・・・ブランコが早く戻ってきてくれないと、もう取り返しつかないところまでズブズブいっちゃいそうです・・・ | ||
あたしは大好きな横山竜士が現役続けてくれれば、それだけで満足! しかも、某金満球団に強奪された大ケケの人的補償で、一岡って投手を貰ったんだけど、これがまたスッゴいいいんだおね! |
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藤先輩の広島は今、首位ですものね・・・正直言って羨ましいです・・・ | ||
聞いてよ、聞いてよ。 一岡投手は、竜司って名前なんだおね。 名前に、同じリュウジに、同じ『竜』の文字っ! コレはもう横山竜士の、ドラゴンソウルを引き継ぐべくして広島に来た選手だと言っても過言ではないおね!! |
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過言に決まってんじゃないの! ナニ、ウチが育てた選手に大層な使命押し付けてくれちゃってんのよ! |
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ウチの育てた選手って・・・ 散々、他球団の育てた選手強奪してる球団を応援する人が言える台詞じゃないお・・・光ちゃん・・・。 |
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職業選択の自由は、憲法22条1項によって、全ての人に認められているのよ? 野球選手だって例外ではないわ。 行きたい球団に行くことは、その選手にとって認められた権利じゃないの? 大竹選手は、FAで彼の希望する巨人に入った。でも、一岡選手は好きで広島に行ったわけじゃないわよね? |
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憲法持ち出してまで擁護し始めたよ・・・ホント、金満球団ファンはイタいなぁ・・・ | ||
でも、民法では公平の理念が大事って、明智先輩教えてくれたじゃないですか・・・ 巨人だけが強いのは、公平ではないです・・・ |
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ナカちゃん、そんな顔しないでよ。 私、横浜は巨人の大のお得意様だから大好きなのに・・・。 あ! ということは、私とナカちゃんは横浜大好き同士ってことで、同じ横浜ファンって言えるわよね! |
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・・・・・・・・。 |
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オマエ、モウシネヤ・・・ | ||
ナニよ! 私とナカちゃんが、同じ横浜ファンってことで意気投合するのが気に入らないって言うの!? |
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・・・・明智先輩・・・ それ、ファンって言いません・・・ |
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えぇー? そうかしら? だって、横浜が巨人に貴重な勝ち星を一杯献上してくれているお陰で、巨人軍は安泰なんだから。私としては、横浜は本当に大好きなのよ? 特定球団を好きでいる気持ちは、ファンってことになるんじゃない? うーん、難しいわねぇ・・・ あっ! いつまで野球談議で盛り上がっているのよ! 今日は、人の権利能力の意義と、その始期について、まとめようって話で集まったんじゃなくって? |
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うえぇーー。 なんか、今日ばかりは素直に教えて貰いたくない気持ちなのは、あたしだけかなぁ? |
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藤先輩の気持ち、ちょっぴりワカッちゃうのが、私もツラいです・・・。 | ||
はいはい。 いつまでも、野球の話題引きずってちゃダメよ! どうせ今年も巨人の連覇に決まってんだから、広島や横浜なんて応援するだけ無駄なんだから。 それじゃ、今日の勉強のタイトルになっている 「権利能力」。 「権利能力」ってなに? って話から始めるわね。 権利能力とは、権利・義務の主体になり得る立場(地位)のことをいうの。 因みに、権利の主体となる私たちのことを、法的には「自然人」と呼ぶのよ。人の始期と終期ということは、自然人の始期と終期ってことね。 |
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・・・コイツ、今抜け抜けと、とんでもねぇ暴言はきよったで・・・。 | ||
じゃあ、次に、その権利能力は、いつからあるのか? ってことになるわよね。 コレが、権利能力の始期ってことよ。 はい、ここで見る条文は、前の勉強で見た民法3条1項。 『第3条第1項 私権の享有は、出生に始まる。』とあるわよね。 この条文は、権利主体となる時期はいつか、ということを示すと同時に、人は生まれさえすれば権利を享有できる、ということを明らかにしている、つまり、2重の意味を有する条文なのよ。 |
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あ、六法、1人でひいちゃったよ。 | ||
じゃあ、ここで赤ヘルファンの人に質問です! 私権の享有は、出生に始まる、と条文にありますが、出生とは、どの時点をもって認めるんでしょうか? |
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え? え? 出生? ・・・赤ちゃんのヘソの緒を切ったとき・・・とか? |
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斬新な説を出してくれるじゃないの・・・ あるのかなぁ、そんな説。 通説は、全部露出説とされているわ。 赤ちゃんの身体が、母親の身体から全部露出した時をもって、「出生」とみるという考え方よ。 これに対して、刑法の各論で学ぶんだけど、刑法は法益保護の見地から、一部露出説(赤ちゃんの身体の一部が、母親の身体から露出した時をもって、「出生」とみる)をとっているの。 択一で、たまに聞かれるところだから抑えておいてね。 |
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明智先輩。 戸籍への出生届出は、出生には関係しないのですか? |
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戸籍への記載は、出生の際には届出義務があるわよね。 戸籍の記載には、一応の推定力があるのよ。 でも、戸籍の記載は、確認のためのものであって、真実の出生が、戸籍によって左右されるわけではないのよ。 あくまでも「推定」されるにとどまるものだから、真実と異なる記載が戸籍になされている場合には、他の証拠によって覆すことができるわ。 |
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戸籍・・・ 移籍・・・ 兄貴ぃーーっ! 辛いさぁーーんっ!! |
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だから、いつまで野球の話題ひきずるつもりよ! しかも、そんないなくなった金本選手や新井選手を呼んだところで帰ってくるわけないじゃないの。 次は、今日の勉強の中では、抑えて欲しい重要なところよ。 検討すべき論点は、胎児の権利能力ね。 つまり、お母さんのお腹の中にいる赤ちゃんに、権利能力は認められるか? っていう問題よ。 さぁ、じゃあ、この質問は、巨人のお得意様、横浜銀行のファンの方に聞こうかしら。 |
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そんな呼び方されるなら答えたくありません・・・ | ||
マヂでいっぺんヌッ殺してやんよ!! 無担保無利息で過剰融資させられてんだから、取り付け騒ぎ起こすぞ、ゴラァっ! |
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ちょっとー、ナニを怒っているのよ? 質問してるんだから、わけのワカラナイこと言ってないで答えてくれないと、勉強進まないじゃないの。 胎児は、民法上は「人」」ではないという扱いをされるのよ。 そして、民法第3条第1項が、『私権の共有は、出生に始まる。』としていることから、原則として、まだ生まれていない胎児には、権利能力はない、ということになるわ。 これは、条文上明らかな原則だから、ナカちゃんならスラスラ答えてくれると思ったのになぁ。 |
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・・・・・え? ・・・ちが、明智先輩・・・ え? え? |
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光ちゃん、野球のこととなると、バランス完全にぶっ壊れちゃってんのな・・・ | ||
で・・・。 原則があるってことは、当然、例外があるってことよね! そこで、次に問題になるのは、胎児であっても、例外的に権利能力が認められる場合は、どんな場合か? って問題なのよ。 民法は、3つの場面を想定しているわ。 さぁ、コレは、ドッチでもいいから答えてみて。 |
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うーん、ドラフトで1位指名されたとき・・・ スタメンから外されたとき・・・ 育成契約を言い渡されたとき・・・とか? |
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ふ、ふ、藤先輩・・・ | ||
当てる気ない答えなら言わないでよねっ!! しかも、ナニ、その転落野球人生はっ! 悲し過ぎて聞いてられないじゃないの!! 相続(民法第886条1項) 遺贈(民法第965条による886条の準用) 不法行為による損害賠償請求権(民法第721条) の3場面よっ!! あっ! サルがあんまりにもデタラメ言うから、つい答え言っちゃったじゃないの! |
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こくこく(相槌) | ||
相続、遺贈については、親族相続編で。 不法行為による損害賠償請求権については、債権各論で、それぞれ改めて勉強する機会をもつ予定だけど・・・。 一応、事案を話すから、その中で、胎児が権利能力を認められることとは、どういうことかっていうのを理解してね。 ある男性がいました。 その男性には、奥さんと、お年を召したお母さんが居たのね。 奥さんのお腹の中には、男性の赤ちゃんがいて、もうすぐ出産予定だったのよ。 ところが、男性は、赤ちゃんの誕生を見る前に、突然の交通事故によって亡くなってしまったの。 男性を轢いた相手は、飲酒運転での事故だった・・・ という、やり切れない話を考えてみて。 この場合、原則通り、胎児には権利能力は認められない、とすると、男性の財産の相続人は、奥さんと、お母さんってことになって、お腹の中の赤ちゃんには、相続分はないということになるのよ(詳しくは親族相続編にて)。 でも! 民法第886条1項を読んでみて。 |
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お父さんが子供生まれる前に亡くなるなんて悲しい話だなぁ。 あ、民法第886条第1項ね。 『(相続に関する胎児の権利能力)第886条第1項 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。』 |
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そう。 886条1項の、みなし規定によって、相続の場合には、胎児には例外的に権利能力が認められているのよ。 ということは、どうなるかというと。 胎児に権利能力があるということは、胎児が相続権を有することになるから、男性の財産は、奥さんが2分の1、お腹の中の赤ちゃんが2分の1の割合で、それぞれ相続して、男性のお母さんは相続できない(民法第900条1項)って結論になるわけ。 あ、ついでに886条2項も読んじゃって。 |
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民法第886条第2項ね。 『(相続に関する胎児の権利能力)第886条第2項 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。』 ってことは、死産の場合は、残念ナシよ! ってことだね。 |
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そういうことになるわね。 今の事案だと、不法行為による損害賠償請求権についても説明できるんだけど、ちょっと総論の勉強の中で、あれもこれもってしちゃうと、サルの理解が追いつかないといけないから、それはまた債権各論で、しっかりやりましょうね。 ここで、択一でも問われる論点あるから、ソッチは今ちゃんと抑えてね。 民法第886条第1項は『胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。』ってしてるわよね。 胎児の権利能力を認める法文(上記参照)は、いずれもこの『既に生まれたものとみなす。』って表現をとっているの。 ここで、この法文の読み方が問題になるんだけど。 抑えて欲しい考え方は大きく2つ。 解除条件説と、停止条件説よ。 解除条件説は、胎児の段階で、生まれたとみなされる事項について、既に権利能力を認め、生きて生まれなかったときは、遡及的に権利が消滅するって考えるの。 これに対して、停止条件説は、胎児の状態では権利能力を取得することなく、生きて生まれた場合に、出生前の問題となっている時点に遡って生ずるって考えるのね。 判例の立場は、停止条件説とされているわ(大判昭和7年10月6日 百選T 2事件)。 因みに、学説は、かつては判例と同じ停止条件説が通説的見解だったんだけど、今は、解除条件説が有力になっているわね。 この判例と学説の立場の違いの理由として、判例が、胎児の権利能力について、より慎重な姿勢を示しているのは、昔は、お産が大変なことで、死産も多かったために、停止条件説の考え方が妥当であるとされていたためなの。 でも、今は医学の進歩・発展により、死産の可能性は大幅に減ったために、胎児が無事に生まれてくることを前提として、胎児の保護をより強く図ろうとする解除条件説が学説では、有力になってきたというわけなのよ。 |
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ほえほえほえほえ・・・ んで・・・ぶっちゃけ法文の読み方が違うと、ナニか変わるの? |
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ドッチの説とっても、結論変わらないのなら問題にならないでしょうに。 停止条件説と解除条件説の、最大の相違は胎児の時点での代理の肯否にあるわ。 停止条件説だと、生きて生まれてきて初めて胎児の権利能力が認められる、という考え方をとるため、胎児中の代理は考えられない、ということとなるのよ。 胎児の代理を否定する根拠としては、規定の不存在や、胎児の段階での代理を認めることは、胎児にとって不利な法律行為がなされるおそれのあること等が挙げられるわ。 他方、解除条件説の立場に立てば、胎児の代理が認められることとなるのよ。 但し、代理を認めるとすると、その代理権の範囲がまた問題になるんだけどね(保存行為限定説、無限定説等)。 でもまぁ、判例は、停止条件説とされているので、停止条件説がどのような考え方なのか、そして、両説の最大の相違は、どこにあるのか、を抑えておけばいいと思うわ。 |
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こくこく(相槌) | ||
もぉ、今日は始期と終期の両方抑えて終わろうと思っていたのに、野球の話題をサルがフったせいで、始期だけになっちゃったじゃないの! | ||
うん・・・ 責任の一端は感じているお・・・ |
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でもまっ、私とナカちゃんが、同じ横浜を好きな者同士ってことがワカッタのは収穫だったから、ソレは嬉しかったよ! | ||
はい? | ||
・・・。 コレは本格的にアカンでぇ〜。 |
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私、東京ドームの年間シート持ってるから、今度一緒に、横浜戦を応援しようね! ナカちゃんっ!! 大丈夫よ、番長来ようが、久保が来ようが、巨人打線の前には敵じゃないわよ! |
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・・・お断りします! | ||
もぉ、遠慮しなくっていいのにぃ〜。 | ||
遠慮じゃないんよ! っていうか、おまえ、いい加減自重しれっ! |