美味しいですっ! 私、こんなお菓子食べたの初めてですっ! |
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うんまっ!! ナニこれ!? アイスなの? プリンなの? |
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目の前での、フランベがないのは残念だったけれど、この味は秀逸ね。 クレームブリュレのような濃厚さが、フローズンスタイルのお陰で、一際面白い味になっているわよね。 |
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光ちゃんが言っている内容は微塵もワカラナイけれど、カタラーナの美味しさは、スッゴイワカルよっ! | ||
カラメルの苦味が、カタラーナの濃厚なプリンの甘味と合わさって、なんとも言えない美味しさを醸し出しているんですね。 | ||
そんな解説いらないよっ! 美味しいもんは美味しいでいいじゃんっ! 光ちゃん、あたし、カタラーナ大好きだよ! |
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良かったわね。 それじゃ、カタラーナも頂いたことだし、そろそろ勉強の続きやっちゃう? |
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まだ食べてるじゃない! もう少し食べさせてよ! まだ、あたし、ショコラ味もスフレチーズ味も食べたいんだもん! |
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あんた、ソレ8個目じゃないの・・・ 言っとくけど、カタラーナってそんなにバクバク食べるお菓子じゃないわよ? 一体何個食べるつもりなのよ? じゃあもう食べながらでいいから、勉強会しちゃうからね? さっきは、法人の権利能力について勉強したわよね。 今回は、法人の行為能力について勉強することにするわね。 法人は、さっき学んだ権利能力の範囲内において、法人の代表者の行為(代表行為)によって、具体的な権利・義務を取得することになるの。 法人は、法的に擬制された人格で、法人そのものが行為をすることはできないんだから、法人の代表者の行為が、法人の行為となるってことね。 |
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成程、成程。 法人って言っても、実際の行為は、自然人が行うってことね。 ワカル、ワカル。 あ、ショコラ味のカタラーナくださぁーいっ! |
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食べすぎてお腹壊さないでよ? 法人の代表者たる理事の代表権については、理事会が設置された法人であるか否かによって異なるんだけど、理事会設置の一般社団法人・一般財団法人を前提として説明するわね。 理事会の設置されている法人においては、理事会で選任された代表理事のみが、代表権をもつことになるの。 つまり、他の理事は、代表権をもたないことになるわけね。 この代表理事は、法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有するのよ(一般法人法77条1項〜4項)。 この権限については、定款や総会決議によって制限を加えることが出来るわ。 でも、この権限に制限を加えても、善意の第三者には対抗できないのよね(一般法人法77条5項)。 あ、ここでいう「善意」とは、定款や総会決議によって、代表理事の権限内容に制限が加えられたことを知らないこと、を言うことになるわね。 |
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うんうん。 ワカッタ、ワカッタ。 ショコラ味最高っ! もう1個お願いしまーす! |
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ホントに聞いててくれてる? じゃあ、質問しちゃおっかな。 サル漁業協同組合は、定款で、代表者たる組合長のサルが、固定資産の取得または処分に関する行為を行うには、理事会の決定が必要であると規定していたの。 ところが、漁業協同組合の組合長のサルは、その理事会の決定なしに、第三者であるナカちゃんとの間で、組合の土地を売却する契約を締結し、その手付金を受け取ってしまったの。 他方、ナカちゃんはと言えば、サル漁業協同組合の定款の定めは知っていたんだけど、理事会の承認があったものと思い込んでいたのよね。 その後、ナカちゃんは、サルとの間で締結した契約は有効であるとして、漁業協同組合に対して、売却された土地の移転登記請求を提起したんだけど、果たして、ナカちゃんのこの請求は認められると思う? (最判昭和60年11月29日 百選T 31事件に基づく質問) |
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代表理事は、法人の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を有する(一般法人法77条1項〜4項)けれど、この権限は、定款や総会決議によって制限を加えることが出来るんですよね。 そして、この権限への制限は、善意の第三者には対抗できない(一般法人法77条5項)ということは・・・。 私は、藤先輩の漁業協同組合の定款の定めは知っていたんだから、「善意」とは言えないことになりますから、漁業協同組合は悪意である私に対しては、対抗できる(=契約が有効に成立していないと主張できる)ことになりそうですね。 でも、私は、藤先輩が理事会の承認を得たものと思い込んでいたわけですよね。 でもでも、やっぱり、それだけでは保護してもらえないのでしょうか? |
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え? なになに? カタラーナにフルーツ乗せてるのもある? じゃあ、それも食べたいから下さい! なに? ナカたんが悪意ってことだから保護されない? じゃあ、そうなるんじゃないの? |
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ナカちゃんは、しっかり検討してくれているのが伝わってくるんだけど・・・サルは、カタラーナのことしか考えていないんじゃないの? この質問のポイントは、相手方が、定款に制限があることを知っていたんだけど、この制限の下でなされた行為であることを信じていた場合には、どうなるのか? ってところなのよね。 確かに、ナカちゃんが言うように、代表理事のサルの取引相手方のナカちゃんは、定款の制限の存在を知っていた以上、「善意」とは言えないわよね。 一般法人法77条5項の定めに、善意の第三者には対抗できないとされている以上、悪意であるナカちゃんは保護されないとも考えられるところよね。 でも、この質問の基にした最高裁は、次のような判断を下しているの。 『第三者が右にいう善意であるとは言えない場合であっても、第三者において、理事が当該具体的行為につき理事会の決議等を得て適法に漁業協同組合を代表する権限を有するものと信じ、かつ、このように信じるにつき正当の理由があるときには、民法110条を類推適用し、漁業協同組合は、右行為につき責任を負うものと解するのが相当である。』 (最判昭和60年11月29日 百選T 31事件) としているの。 まぁ、質問の基となった判例の事案では、第三者の方は、理事会の決議があったと信じ、かつ、そのように信じることにつき正当の理由を立証できなかったので、正当事由はなし、って判断されちゃったんだけどね。 私の質問でも、ナカちゃんが、そう「思い込んだ」だけというのでは、ちょっと正当の理由とは言い難いから、請求は認められないという結論になるかな。 |
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あたしの言ったとおりじゃない! やっぱりね。 あ、フルーツって、苺なんだ! ヤバい、コレ、もう見ただけでマヂで美味そうなんだけど! |
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うう・・・ なんだか悔しいです。 納得いかないです。 |
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質問の当事者を、逆にしてあげればよかったかな。 ゴメンね、ナカちゃん。 民法110条は代理の規定なんだけど、この条文については、総則の後半で勉強することになるから、ここでは踏み込まないわね。 因みに、「類推適用」というのは、当該条文を直接適用できない場合に、その法の趣旨を読み込んで、当該条文を適用する際に用いられる言葉ね。 本件事案は、代理そのものではないから、類推適用ということとなっているわけね。 まぁ、この類推適用についても、代理のところで、しっかり抑えることにしましょうか。 |
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私が思い込んだことは、確かに私の過失だと思います。 ですから、売買契約を結んだ土地が、私のモノにならないということについては、私の思い込みには正当事由が認められないと言うのであれば諦めます・・・。 でも、藤先輩が、私に取引を持ちかけてきたから、こんなことになったんだから、このことは、やっぱり許せないです! |
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じゃあ、ナカたんも、この苺の乗ったカタラーナ頼めばいいじゃん! あたしだけが、こんな美味しいモン食べてるのが許せないんでしょ? |
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誰もそんな話してないわよ! そうね。 ナカちゃんの主張はいい線いってるのよね。 つまり、相手方に過失があるとして、民法110条の表見代理の成立が認められない場合において、その相手方は、どんな主張がとれるか、という問題よね。 その場合、相手方は、法人の不法行為責任(一般法人法78条)を追求することが可能だと考えられるわ。 不法行為責任は、相手方に過失があっても、なお成立しうるからね。 まぁ、ただ過失があると言っている以上、過失相殺によって賠償額が減額されることにはなると思うけどね。 (※ 「不法行為」「過失相殺」については債権各論で勉強します) |
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そうですよね! 藤先輩が悪いんだから、私にだって認められる主張があると思ったんです。 |
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例えば、村議会が一時借入決議をした旨の村長名義の証明書を偽造して、村の収入役が、銀行から村名義で金銭の借入を行い、村の債務支払いに充てた事案において、判例は、不法行為の成立の可能性を認めてるわね(最判昭和44年6月24日)。 つまり、ナカちゃんが言うように、表見代理の類推適用が成立しなくとも、不法行為責任での追求は可能ということになると言えるわね。 一般法人法78条の法人の不法行為責任は、法人は機関としての代表者を通じて利益を得ている以上、その過程で生じた不法行為による損失についても責任を負担すべきとする報償責任の考えによるものなのよね。 この考え方は、民法715条の使用者責任とも関連付けて理解することができるんだけど、それは、また改めて債権各論で不法行為を勉強した際に、言うようにするわね。 |
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ぱちぱちぱち(拍手) わーい、わーいです! |
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美味しいよね! 苺の乗ったフルーツカタラーナ! 何個でも食べられちゃうよね! |
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なんか激しい温度差があるように感じるのは私だけかな? そうそう。 民法110条の類推適用と、一般法人法78条(法人の不法行為責任)の適用のいずれも可能であるという場合において、いずれを優先させるべきか、という問題もあるわね。 この問題については、判例の態度は一定していないのよね。 表見代理を排他的に優先適用する考え方や、当事者の選択に委ねるべきとする考え方等々あるんだけれど・・・。 まぁ、表見代理優先適用説でいいんじゃないかな? 取引的不法行為においては、可能な限り法律行為としての効力を認めるべきと言えるしね。 このあたりは、また代理のところで、やることにしましょ。 |
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温度差? ナニ? 光ちゃん、寒くなってきちゃったの? そうだよね。このカタラーナ美味しいけど、冷たいから食べすぎると、ちょっと身体冷えちゃうかもね。 |
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御心配なく。 私、カタラーナ1つ食べただけですから、 身体が冷える程じゃありませんから。 |
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うんうん。 じゃあ、大丈夫だね。 あたしも、温かいキャラメルマキアート一緒に頼んで頂いてるから、心配ご無用だからね! |
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藤先輩・・・ カタラーナ、それ何個目なんですか? |
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わかんない! でも、まだまだ全然食べられるよ! 心配しないで大丈夫だよ! |
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あんたの鉄の胃袋に、なんの心配がいるのよ! なんか、せっかく勉強の続きをしているって言うのに、肝心のサルがろくに聞いていない気がしちゃうのが残念だなぁ。 あ、さっき私、思わず「取引的不法行為」っていう言葉を使っちゃったけれど、不法行為の加害行為には、2つの類型があるのよね。 事実的不法行為と取引的不法行為なんだけど。 まぁ、詳しくは債権各論の不法行為で勉強するつもりなんだけど、一応予習がてら話しておいた方がいいかな? |
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こくこく(相槌) |
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それじゃ、満を持してスフレチーズ味のカタラーナを頂くことにしないとね! すいませーん。 スフレチーズ味のカタラーナをくださぁ〜い! |
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絶対聞いてないしぃ〜。 まぁ、ナカちゃんのやる気には応えてあげたいから一応説明しちゃうわね。 ついでに、せっかく法人の勉強をしているんだから、法人が不法行為責任を負うべき職務上の行為と言えるかどうか、という点についても考えられる問題にしちゃおっかな。 質問ね。 会社の代表取締役のオジさんが、通勤途中の満員電車の中で、女子高生のお尻を執拗に触る痴漢行為を働いた場合、会社は不法行為責任を負うでしょうか? そして、この代表取締役のオジさんの行為は、事実的不法行為でしょうか? それとも取引行為的不法行為でしょうか? |
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最低です! でも、その代表取締役の人の行為は、その人が悪いことだと思います。そんな行為にまで法人が責任を負うというのは、おかしいと思います。 取引的不法行為と、事実的不法行為の定義がちょっとわからないのですが、取引的不法行為にあたるとは、ちょっと思えないです。 |
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そうね。正解よ。 この代表取締役の行為は、ナカちゃんが指摘するように全くの個人的行為である事実的不法行為であるから、法人が不法行為責任を負うことはないわ。 そして、事実的不法行為か、取引的不法行為かの線引きは、当該法人(会社)の取引に関連してなされたものかどうか、で判断するの。 通勤途中であるとは言え、この代表取締役の行為は、会社の取引に関連してなされた行為でなければ、代表取締役の職務上の行為でもないのだから、事実的不法行為となるわね。だから、会社が責任を負わないと言えるわけね。 ちなみに、この質問とは異なる場合・・・つまり、代表取締役の行為が、会社の不法行為と認めらるような場合には、会社が不法行為責任を負うのは勿論なんだけど、当該不法行為を働いた代表取締役自身も、不法行為責任を負うことになるからね。 これは、理事は、法人の代表機関であると同時に、一個の自然人である以上、理事個人が、賠償責任を免れるとする理由はないからよね。 理事の責任は、民法709条の不法行為責任になるわ。 すなわち、法人に不法行為責任が生じる場合には、その不法行為をした理事等も、民法709条に基づき個人的な責任を負うとするのが判例の立場よ(大判昭和7年5月27日)。 付け加えて言っておくと、この場合の法人の責任と、理事の責任とは、不真正連帯債務の関係に立つんだけど、これはまだ勉強してないから、一応でいいわ。 |
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こくこく(相槌) | ||
ちょっと、今回の法人のところは、まだ勉強していない他の民法の分野にまたがる論点が多かったから、大変だったわね。 また、勉強した後で読むと、理解が違うと思うから、復習はしておいてね。 債権各論の不法行為の勉強の際には、私も、このあたりの議論も思い出すような説明をするように心掛けるつもりだけどね。 |
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明智先輩、丁寧に教えて下さって、今日も、ありがとうございます。 | ||
くぅぅぅぅぅ。 スフレチーズ味美味しぃ〜! 光ちゃん、連れて来てくれて、ありがとぉぉぉ! あたし、カタラーナに出会えてホント良かったよ! |
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御礼の対象が、今日の勉強会での態度を如実に物語っているわね。 じゃあ、そろそろお暇(いとま)しましょうか。 |
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え? もうお開き? もう少し勉強しようよ! あたし、まだまだ勉強できるよ? |
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あんた、ろくに聞いていないじゃないの! ナニが、まだまだ勉強できるよ! そもそもやっていないのに、まだまだなんて言わないでよ! |
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・・・うぅぅぅぅ。 まだ食べたい・・・。 (あ、そだっ!) |
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ひ、ひ、光ちゃん! あたし、このスッゴク美味しいカタラーナを、クロちゃんにも食べさせてあげたいって思うんだけど、お土産にしてもいいかな? |
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あ、それは名案ね! つかさちゃんも絶対このカタラーナなら気に入ってくれると思うわ! 私が美味しいって思う味だから、間違いないわ。 |
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うんうん! それじゃ、クロちゃんのお土産にってことで、カタラーナ一杯買ってこっ! |
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つかさちゃん、あんたみたいな大食らいじゃないんだし、1つで十分よ。 ナカちゃんに1つ、あんたにも1つ買ってあげるから、それで十分でしょ? |
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あたしにも1つって言うのは、それぞれの種類毎に1つということでいいよね? いいよね? いいよね? |
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嫌よ! あんた、ろくに今日の勉強会で話聞いていなかったのに、なんで、そこまで甘やかせないといけないのよ! |
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・・・。 (くそぉぉぉ。 こうなったら、メガネの分のオミヤは、あたしが食ってやんよ! 悪く思わないでね! クロちゃん! 悪いのは、このドケチの金満女なんだかんね!!) |
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・・・・藤先輩・・・。 私、黒田先輩の家まで、一緒にお土産届けに行きたいです・・・。 |
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え? なになに? このチビっ子・・・ まさか、あたしの思惑を先読みしてない? |
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そうよね。 カタラーナは、明日渡すのは、ちょっと不適だし、ナカちゃんの提案に私も賛成かな。 一緒に、みんなで行くことにしましょうか。 |
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・・・あのね。 光ちゃん・・・ フルーツカタラーナと、ショコラ味のカタラーナは甲乙つけ難いから、ドッチもクロちゃんに食べさせてあげたいんだけど・・・。 |
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サルは優しいんだね。 でも、大丈夫よ? また、近いうちに、みんなで一緒に食べに来ればいいんだから、お土産は1つで十分だからね。 |
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うう・・・ 手強い・・・。 |
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藤先輩・・・。 私のカタラーナ差し上げますから、黒田先輩にもカタラーナ食べさせて上げて下さい。 |
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いいよ、いいよ。 流石のあたしも、そこまで食い意地張ってないから。 ナカたんの分まで取り上げるなんてことは出来ないお。 |
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藤先輩・・・。 | ||
ナカたんは、チビっ子だから、三分の一もあれば足りるでしょ? あたしは、三分の二あれば十分だからさ。 |
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藤先輩・・・・。 | ||
ちょっと、そこの餓鬼みたいな方っ! わかったわよ! じゃあ、あんたには、それぞれ1つずつ買ってあげるから、もうこれ以上、みっともないやり取りをしないで下さる? |
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神よ・・・ あたしを祝福しろっ・・・! |
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カイジ? |