はぁ・・・。 めっちゃ気が重い・・・。 ソレもコレも、あのゴリラがストーキング宣言をかましてくれたからだお・・・。 ってか、あの金満も金満で、なんつー提案してくれんだお。 マヂで、頭おかしいんだよなぁ、あの金満豚ときたら。 |
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あ、サル、丁度よかった! | ||
な、なになになに!? あたし、なんにも言ってないよ、ホントホントっ!! |
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別に、なんにも言ってないじゃないのよ。 柴田さんからのラインがきてたから、サルに伝えておかないとって思ってね。 あのね。 今週から暫く夜勤になるから、時間の都合で、約束の警護は暫く待って頂きたいって御伝え下さいってことだから。 ちゃんと伝えたからね! |
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・・・。 (明智財閥が、超ブラック企業と化して、一生労働時間として、あのゴリラを拘束してくんないかなぁ。 無理な話だよなぁ・・・はぁ・・・。 ) |
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残念そうじゃないのよ、サル。 柴田さんにラインで伝えておくわね。 『サルも、ソレを聞いて残念そうにしていました』・・・っと。 |
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お、お、お前なぁぁぁあぁあぁっ!! | ||
あ・・・そうよね。 柴田さん、人一倍責任感強い方だからね・・・約束を早く守らないとって気持ちだと思うから、サルが残念そうにしていた、なんて伝えたら余計に気にされちゃうかもね。 |
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アカン・・・全く話が通じとらん。 こりゃ、本格的にアカン。 |
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すみません、少し遅れちゃいましたね。 | ||
ナカちゃん、早く、早くぅ! | ||
チイちゃん達と本屋さんに居て、遅れてしまいました。 ごめんなさい。 |
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気にしないで。 それじゃ、今日の勉強会に入りましょうか。 今日の勉強会のテーマは、抵当権の効力の及ぶ被担保債権の範囲は、どこまでか? って問題について学ぶことにするわね。 |
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は? 被担保債権の範囲? そんなもの借りたお金が、そのまんま範囲じゃないの? |
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借りたお金・・・ってことは、利息がつくって思わない? | ||
あ、言われてみれば。 |
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抵当権の被担保債権は多くは金銭債権なのよね。 そして、金銭債権では利息がつくことが多いわけよね。 そして、利息は債務が弁済されるまで、段々増えていくわけよね。 |
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なんか怖い・・・けど、確かに、そうだよね・・・。 | ||
仮に、元本が1000万円だとして、そこに年5%の利息が約定されていたとしてよ? 単利計算でも、元利金は2年で1100万円。 5年だと1250万円になるわけよね。 抵当権者にしてみれば、この利息も、抵当権によってカバーしたいって考えるのが普通よね。 |
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こくこく(相づち)。 | ||
まだ話していなかったことなんだけれど、ある不動産を目的とした抵当権は併存することができるのか? ってことを、先ず説明するわね。 例えば、サルがお金を借りるに際して、自分の家に抵当権を設定したとしてみてくれる? 最初にお金を貸した、つかさちゃんが抵当権の設定を受け・・・。 次に、お金を貸したナカちゃんが、サルの同じ建物に抵当権の設定を受けた・・・というような場合よね。 |
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このような場合において、同じ建物に、つかさちゃんの抵当権とナカちゃんの抵当権とが並存するのか? ってことよね。 答えから言えば、併存するわ。 この場合の抵当権には、順位がつくわけ。 先に設定された、つかさちゃんの抵当権が1番抵当権。 後から設定された、ナカちゃんの抵当権が2番抵当権となるわけね。 (※ 正確には、登記の先後) ちょっと、六法で民法373条をみてくれる? |
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民法第373条。 『(抵当権の順位) 第373条 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。』 |
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このような2人以上の抵当権者がいる場合において、サルの建物が競売された競売代金が配当される際には、この順位に従って配当がなされることとなるわ。 先ず、1番抵当権者のつかさちゃんに債権全額が支払われ、余剰があれば、後順位抵当権者のナカちゃんに配当されるってことになるわけね。 |
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ふむふむ。 余剰がなかったら、ナカたんは配当なしってことになるわけね。 |
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そうなるわね。 いわゆる担保割れ物件とかの場合よね。 えーっと、この理解を前提として、今日の勉強会の話になるわけだけど、今の事案を例えにすると、つかさちゃんは、サルにお金を貸した以上、元本も利息も、抵当権によってカバーしたいわけよね。 でも、後順位抵当権者であるナカちゃんにとっては、仮に、先順位の抵当権の被担保債権の元本が1000万円であるとしても、利息が増えると、その被担保債権額が、どこまで膨らむかわからないってことになるわけよね。 そして、先順位の抵当権が、いつ弁済されるのか、ということも後順位抵当権者にとってはコントロールしようがないことよね。 |
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ですです。 これでは私が、藤先輩にお金を貸そうにも、先に抵当権の設定を受けた黒田先輩の被担保債権額が幾らになるのかワカラナイので困るです・・・。 |
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そうよね。 例えば、サルの家(不動産)が2000万円の価値があるとして、そこに1000万円を貸した、つかさちゃんの先順位の抵当権がついている・・・。 この場合、ナカちゃんは残存担保枠が幾らまであると見ていいのか、ってことよね。 ここで、民法375条を見てくれるかしら? |
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民法第375条。 『(抵当権の被担保債権の範囲) 第375条 1項 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。 2項 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の2年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して2年分を超えることができない。』 |
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この条文は、後順位抵当権者の保護が趣旨なのね。 注意すべき点を2つ話しておくわね。 まず、この条文にいう『最後の2年分』というのは、実際には、抵当権が実行され、競売代金が配当されるときに、その時点から遡って、2年分のみが先順位抵当権者に配当されるということを意味するわ。 これと異なる考え方もあるけれど、実務的には、そのような処置がとられているみたいね。 さっきのサルの話を例にして話すと、一番抵当権者のつかさちゃんの債権が、1000万円の元本で年5%の利息として計算すると、サルが一度も元利金共に弁済しなかったと仮定すると、1100万円が、一番抵当権者のつかさちゃんに配当され、その残りが後順位抵当権者のナカちゃんに配当されるってことになるわね。 この場合において、一番抵当権者である、つかさちゃんの債権の利息が5年分たまっていても、2年分しか配当されないことになるわ。 |
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3年分の利息については、あたしはマヂで飯ウマっ! ってことになるわけ? |
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ちょっとナニ言っているのかワカラナイんだけど、3年分の利息については、抵当権のついていない債権として残ることになるわね。 | ||
なんだ・・・つまんね。 | ||
・・・。 (一体、ナニを期待していたですか・・・。) |
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因みに、債務者が弁済期限に遅れていると、期限後については遅延損害金が生ずることになるわ。 遅延損害金は、損害賠償であって、利息ではないのよね。 でも、利息と同じように年利率で表示され、遅延利息って呼ばれたりするのよね。 この遅延損害金も、通算して2年分になるってことね(375条2項)。 この遅延損害金については、予め当事者間で期限内の利息よりも高目に設定されることが多いわね。 例えば、年10%ってな感じでね。 さっきの、つかさんちゃんがサルに1000万円貸した、という事案で説明するけれど、例えば、競売代金配当時点で、サルが弁済期限より1年遅れていたとした場合、1年分は10%で、もう1年分は5%で計算された元利金になるから、1150万円が、一番抵当権者のつかさちゃんに配当されるって計算になるわけね。 |
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アホの管理人め・・・。 数学苦手なのに、頑張ってるじゃまいか。 |
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藤さん・・・コレは数学ではなくって、算数のレベルです。 | ||
多分、あのアホは、数学と算数の違いもワカラナイくらいのアホだから大丈夫。 | ||
ソレでナニが大丈夫、という認識になるのかワカラナイのですけれど、藤さんが大丈夫って、おっしゃられるのなら、その認識で、いいんでしょうね。 | ||
・・・メ、メタは駄目ですぅぅ。 | ||
いいかしら? 注意すべき点の2点目を言うわね。 この民法375条の制限は、あくまでも後順位抵当権者との間の利益調整を図ったものなのね。 だから、もし後順位抵当権者がいなくて、抵当権設定者(サル)と、抵当権者(つかさちゃん)の間だけで競売が行われ、その代金が抵当権者に支払われる、ということであれば、抵当権者である、つかさちゃんは、それまでの元利金全額の弁済を、そこから受けうるってことになるからね。 また、設定者(サル)が、被担保債権を弁済して、抵当権を抹消してもらおうってするときには、元利金の全額を弁済しなければ、抵当権を抹消することはできないってことになるわ。 このことは、抵当権設定者が、債務者ではなくって、物上保証人の場合も同じことになるわ。第三取得者の場合も同様とされているわね。 |
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ふむふむ・・・。 よくワカッタ。 つまり、あたしが抵当権者になったとしたら、取りっぱぐれることのないよう、利息だけでも、しっかり返してもらうことが大事ってことだね。 |
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そういう理解になるわね。 あんた、そういう理解だけはホント早いわよね。 ・・・どうせ、貸す側に廻るより、借りる側に廻りそうなだけに、その理解が必要かどうかは知らないけど。 |
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・・・なんか、すっごい余計な一言があったお。 いいのかお!? そんな態度だと、将来、光ちゃんがスッゴイお金に困って、あたしを頼ってきても貸してやんないお? |
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構わないわよ。 サルに借りたら、とんでもないことになりそうだし。 |
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そうだよ、そうだよ! チイも、お財布にお金足りなくって、オネーちゃんに10円借りただけなのに、借りたお金には利息がつくんだよって言って、1000円取られたもん! |
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世知辛い世の中だお・・・。 | ||
暴利行為という言葉が温く感じるくらいの悪行っぷりね、あんた。 | ||
ウキっ! |