そ、そ、そう言えば・・・。 また、この季節がやってきちゃったんだね!! |
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え? なんの話? |
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ちょっとちょっとぉ〜。 洞察力も観察眼も0なの!? お店の前に宣伝文句も出ていたじゃないの! |
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光ちゃんは、少し鈍いですからね。 私は先刻承知ですよ! 藤さん。 |
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だよね、だよね。 教えてあげて、教えてあげて。 アソコの察しの悪い方に。 |
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藤さんはカタラーナの季節だって言っているんですよ。 光ちゃん。 |
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あぁ〜あ。 そう言えば、去年のこの時期は、カタラーナ、カタラーナ騒いでいたわね、サル。 |
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藤さんのことなら、私は何でも分かってしまいますからね! | ||
・・・。 (でも黒田先輩は、洞察力、観察眼以前に、審美眼が0だと思うです・・・。) |
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お、お、オネーちゃんっ! カタラーナってナニナニっ!? |
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やれやれ・・・。 広島の片田舎で過ごしてきただけあるねぇ。 チイは、カタラーナも知らないの? |
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・・・。 (ふ、藤先輩も去年初体験だったのに、すっごい上から目線です!) |
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し、し、知らないよ。 ソレは食べ物なの? |
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「ソレは食べ物なの?」と来たかぁ。 いやぁ、参ったね。 仕方ない、今日はあたしはシュークリームを楽しみに来たんだけど、チイに付き合って、カタラーナを頼むことにしてあげようかな。 |
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・・・別に、あんたはシュークリームを頼めばいいじゃないのよ。 | ||
いや、カタラーナも知らない不出来な妹のためにさぁ。 こうやって食べるもんなんだよってレクチャーを交えながら食べて上げようかと思ってね。 |
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・・・そんな特殊な食べ方しないじゃないのよ、カタラーナなんて。 | ||
まぁまぁ。 あ、店員さん、すみませーん。 ココ、カタラーナ、とりあえず20個ぉ〜。 |
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ちょっとっ! とりあえずの量じゃないじゃないの! ソレっ!! |
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・・・あたしにはワカッている・・・。 チイが、カタラーナを喰った瞬間、目の色を変えることを。 おそらく、この20個・・・ あたしが食べられるのは、7・・・いや4個が限界か・・・。 |
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すっごく、どうでもいい考察してんのね、あんた。 まぁ、いいわ。 せっかく、みんな揃っているんだし、次に学ぶ先取特権について、ここで導入だけ話しちゃいましょうか。 |
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え? イントロなら前にやったじゃない。 いいよ、いいよ。 今日は心穏やかに、食事を楽しもうじゃないの。 |
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まあまあ。 軽く触れるだけだし、六法も開かない程度の話にするから大丈夫よ。 |
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まぁ、いいか・・・。 じゃあ、話してくれていいよ。 (あたし、聞き流すから。) |
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前回のイントロのおさらい方々、先取特権とは、どのようなものかって話をするわね。 まず、その前提として、債権者平等の原則があったわよね。 |
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債権者平等の原則とは、ある債務者について多数の債権者がいて、その債務者の総財産をもってしても債務の全部の弁済ができないときは、各債権者は債権の成立の前後を問わず、その債権額に応じて、債務者の総財産を比例的に配分されたものを受ける、という原則ですよね。 | ||
こくこく(相づち)。 | ||
美味しいぃぃぃっ!! な、な、なにこれ、なにこれっ!! プリンみたいでアイスみたいな感じだよ!? 冷たくって、甘くって・・・ショリっとしてるのに、プリンみたいに滑らかな食感もあったりして・・・。 あ・・・もう無いよ・・・。 |
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・・・よ、よ、読み違えたお・・・。 あたし、まだ2個目だってのに・・・。 この小動物、なんつーペースで食べてくれるんだお。 |
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・・・。 (は、は、はらぺこモンスターです・・・。) |
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チイちゃん。 冷たい物は、お腹にもよくないから、もう少しゆっくり食べるといいと思うわよ? |
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ち、違うよ・・・光おねーちゃん。 これ、オネーちゃんも食べたからだよ・・・。 チイは、多分、2つくらいだと思うんだけどなぁ・・・。 |
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おいおいおいおいっ!! チイが、そう思うのは勝手だけど、ソレ違うからっ!! あたしは、コレが間違いなく2個目だからっ! チイが1人で15個食べたんだからね! 頼むから、あたしのせいにするのは止めてよね! |
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・・・食べたかなぁ・・・そんなに・・・。 | ||
別に責めているわけじゃないわよ、チイちゃん。 チイちゃんの身体のことが心配になっただけだから。 そんなに気にいったのなら、お土産にしてくれてもいいし、ただ、冷たいお菓子だけに、あんまり一気に食べると大丈夫なのかなって思っただけだから。 チイちゃんが平気だって言うのなら、好きに食べてくれていいわよ? |
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ホント!? | ||
ええ、もちろん。 | ||
わーいっ!! それじゃ、とりあえず30個くださぁーいっ! |
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・・・。 (とりあえずの量ではないのに「とりあえず」を頭につけるのは、店員さんにも迷惑だから止めた方がいいと思うです・・・。) |
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えーっと、話が頓挫しちゃったわね。 先取特権とは、どのようなものかって話だったわよね。 どこまで話したんだっけ? |
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まだ、その前提としての債権者平等の原則の話までですね。 | ||
そうそう。 でも、例えば、その債務者の従業員が、それまで働いた分の賃金をまだ貰っていないという場合、その従業員の賃金債権まで等しく債権者平等の原則に従わせていいものかって問題についてはイントロで話したわよね。 |
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チイが、オネーちゃんの会社の従業員の話だよね。 ペロペロ、シャクシャク。 |
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そう、その話ね。 通常、そのような賃金債権は金額も小さく、また、債権者平等の原則のもとでの分配は僅かな金額しか得られないことになってしまうわ。 そして、賃金債権は、従業員にとっては、その人の生活を支えるものであるわけだし、場合によっては、その人のみならず、その人の家族の生活までも支えるものよね。 そうした性格の債権が大きく減額されることは、その生活を直接脅かすことになってしまうわ。 そこで、このような債権者には、何らかの形で優先的な地位を与える必要があるということになるわけよね。 |
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先取特権は、このような要請にこたえようとするものなんですよね! | ||
そういうことよね。 珍しいわね、つかさちゃんが合いの手なんて。 |
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フランクな感じでの勉強会ってことでしたので、ちょっと割り込んじゃいました。 すみません。 |
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ううん、全然気にしなくっていいわ。 むしろ、ちょっと嬉しかったくらいだもの。 えーっと、話を戻すわね。 このような要請に対しての先取特権制度ではあるものの、先取特権は、従業員の賃金債権のような債権に、優先的な地位を与えるもの・・・つまり、債権者平等の原則を破るものであるわけよね。 そうなると、他の債権者に与える影響も極めて大きいものということになるわよね。 |
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そうだよね。 あの事例では、チイは従業員の立場だったから保護して欲しいって思っていたけれど、他の一般債権者の方にしてみれば、ただでさえ不足している債務者の総財産が減額するわけだもんね。 モグモグモグ。 |
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そうよね。 だから、先取特権によって保護される債権というのは、法律によって特に認められたものに限られるわ。 |
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いわゆる法定担保物権ということですよね。 | ||
そういうことよね。 そして、法律によって、それらの債権について優先的な地位を認める際にも、それらの債権の保護の必要性については十分に注意を払うことが求められることになるわけよね。 |
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でも、社会の多様化に伴って、政策的に保護を要請される債権も増大していますよね。 民法の認める先取特権だけではなく、特別法による先取特権制度の拡張が行われてきているのも、そうした要請からのものですよね。 |
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そうね。 今なお拡張傾向にあるとされているし、それだけ社会の多様化が進んできているといえるわよね。 |
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あ、そうだ。 多様化と言えば、ネージュ・ブロンシュのカタラーナは、プレーンなカタラーナだけじゃなかったんだお! すみませーん。 フルーツカタラーナと、スフレチーズ味のカタラーナ、それからショコラカタラーナを、とりあえず10個ずつ御願いしまーす! |
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え? え? カタラーナには、色々な種類があるの? オネーちゃん、チイもそのカタラーナ食べたいよっ! |
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ちょっ!! チイっ!! チイも食べるなら別に頼みなよ! こ、これはあたしのカタ・・・あ・・・ひどい・・・ショコラカタラーナ、もう全部いかれてもぉとるお・・・。 |
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美味しい、美味しい、美味しいっ!! | ||
サルっ! 仲良く食べなさいよ! |
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・・・いや、ソレはチイに言ってよ。 | ||
チイちゃんは、さっきから勉強会にも参加しているけれど、あんたは全然参加してきてないじゃないのよ。 どんだけ食べることに集中してるの? って話じゃない。 |
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・・・そりゃ、チイはやたら食べるの早いから、食べながら参加出来るだけだって。 | ||
まぁ、いいか。 今日は、軽く話しているだけだし、肝心の内容は次回以降の勉強会ってことにするわけだしね。 えーっと、続けるわね。 民法の認める先取特権は、その目的となる債務者の財産の種類に応じて、大きく3種に分けられるわ。 @債務者の総財産を目的とする一般の先取特権 A債務者の特定の動産を目的とする動産の先取特権 B債務者の特定の不動産を目的とする不動産の先取特権 の3種ね。 @に対して、AとBを合せて特別の先取特権という呼び方もされるわ。 |
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一般の先取特権が4種。 動産の先取特権が8種。 不動産の先取特権が3種。 の計15種の債権が民法上の先取特権によって担保されることになりますね。 そして、さっきも少し触れましたが、民法以外の法律によって先取特権ないし、これに準ずる優先権の認められる債権があるということになります。 |
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そういうことね。 次回以降の勉強会では、条文と共に、これらの先取特権の内容についてみていこうと思うわ。 特別法で認められる先取特権については、まぁ、民法の勉強会ではあるけれど、少しくらいは紹介したいって思うかな。 |
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ですよね。 | ||
さてと。 まぁ、こんなところかしらね。 今日は、先取特権がどのようなものかってことを、少し丁寧に話しただけなんだけどね・・・って、な、な、ナニこれ!? |
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・・・い、いつの間にか机の上に大量のカタラーナの空き皿が山のようになっているですっ!! | ||
オネーちゃんとチイが食べたカタラーナかな? | ||
言っとくけど、これ8割方、チイだかんねっ! | ||
あれぇ? チ、チイ、こんなに食べたかなぁ? でも、オネーちゃんもずっと食べていたじゃない。 チイが8割って言うのは、絶対嘘だよ!! |
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チイ・・・。 お前は『自分が悪だと気付いていない 最もドス黒い悪』だお。 |
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・・・。 (まさかまさかの自分の妹をJOJOのプッチ神父呼ばわりです! どれだけカタラーナを横取りされたら、ここまでチイちゃんを悪く言えるんでしょう・・・。) |