それじゃ、イントロも終えたことだし、今日の勉強会からは、いよいよ担保物権の、それぞれの中身について学ぶことにするわね。 トップバッターを務めるのは、法定担保物件の1つである留置権ね。 |
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・・・法定担保物権って? | ||
ソレはイントロでやったよ・・・オネーちゃん。 当事者(債権者と担保権設定者)間の設定行為によらず、一定の要件が備わったときに、法律の規定によらず当然に成立するのが法定担保物権だって、光おねーちゃん話してくれたじゃない。 |
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・・・チイ。 チイの確認のために聞いて上げた、オネーちゃんに、そんな言い方はよくないと思うよ? |
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あっ。そうだったんだ。 ゴメンなさいっ! |
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大事なことは何度も反復しないとね。 これからも、オネーちゃんは、チイのために、ちょくちょくこうやって訊くことあると思うけれど、ソレはチイのためなんだかんねっ! |
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ありがとうっ! オネーちゃんっ!! | ||
なんて恩着せがましい物言いかしら・・・。 ナニが「チイちゃんのため」よ・・・ねぇ? ナカちゃん。 |
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ですです。 | ||
はい。それじゃ、今日から学ぶ留置権について、まずは条文の確認からね。 民法295条を、六法で確認してくれるかしら。 |
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民法第295条。 『(留置権の内容) 第295条 1項 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。 2項 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。』 |
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イントロでは時計屋を営むナカちゃんと、その時計屋に時計の修理を頼みに来たサルを登場人物にして説明したわよね。 下の図だったけれど、憶えているかしら? |
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留置権(295条)というのは・・・。 時計をナカちゃんに修理してもらったサルは、当然、ナカちゃんに時計の修理代金を支払わないといけないわけなんだけど、そのサルが、時計の修理代金を支払わなかった場合。 その場合、 サルの時計を預かっているナカちゃんは(『他人の物の占有者は』) 時計の修理代金(『その物に関して生じた債権』) を支払ってもらうまで(『その債権の弁済を受けるまで』) その時計を、手元に置いておくことができるわ(『その物を留置することができる』)。 つまり、サルが時計の修理代金の支払いをせずに、時計の返還をナカちゃんに求めて来ても、ナカちゃんは、このサルの請求を拒否することができる。この権利を留置権っていうってことだったわよね。 |
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うんうん、至極ごもっともな話だったよね。 | ||
つまり、留置権とは『他人の物』を『占有』する『者』が『その物に関して生じた債権』を有する場合に、『その債権の弁済を受けるまで』『その物を留置する』ことを法が認めることによって、債務者に、その債務の『弁済』をうながそうとする制度をいうわけよね(295条1項)。 | ||
こくこく(相槌) |
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じゃあ、質問ね。 このような留置権が認められる理由は何故だったか言えるかしら? |
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え? 修理してもらった人が、代金払うのは当たり前だからじゃね? |
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ソレは理由としては弱いわね。 ソレだと、お金を貸した一般債権者だって、貸したお金を返してもらうのは当たり前って話になっちゃうじゃないのよ。 |
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た、確かイントロの際の勉強会では、公平の原則から認められるって話だったです。 | ||
そうね。 留置権の制度趣旨は、当事者間の公平ということになるわ。 サルは、時計を修理してもらったことで、その時計の価値を修理前より増大しているわけよね。 だったら、その価値・・・つまり修理代金相当額の金銭は、その修理をした者であるナカちゃんに優先的に帰属させることが公平ってことだからよね。 |
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あぁ、そうだった、そうだった。 でもコレ、留置権が仮になかったとしたら、ナカたんはどうなるわけ? (留置権が、仮に認められなかったら、という意味でも可。) |
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その場合は、時計を修理したナカちゃんの修理代金債権は、債権者平等の原則に服することになるわ。 つまり、サルに他の債権者がいる場合は、サルの責任財産を、債権者の総債権額に応じて比例配分するってことになるわけよね。 この場合、サルの責任財産が、債権者の総債権額を上回るものでない限り、ナカちゃんは結局修理代金の全額は回収できないって結論になっちゃうわね。 |
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あらら・・・チビッ子、かわいそす。 | ||
だから、留置権が法定担保物権として認められているです! 私は「かわいそす」には、ならないです! |
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そうよね。 だからこその留置権制度なんだものね。 この留置権の性質には、不可分性、付従性、随伴性が認められているわ。但し、物上代位性だけは認められないから注意してね。 これは留置権が、目的物を留置することを認める権利であって、その目的物の交換価値を把握する権利ではないことが理由になるわ。 あ、留置権と同様の機能を営む制度として、双務契約における同時履行の抗弁権(民法533条)があるわけだけど、この説明については、また民法債権各論の勉強会でってことにさせてもらうわね。 |
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だったら言うな、とマヂレス。 | ||
えーっと、この流れで留置権の成立要件について・・・って思ったけれど、うーん、ちょっと長くなっちゃいそうだから、今日は短いけれど、ここまでにしちゃおっかな。 |
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えーーっ! 短いよぉっ!! まだ始まったばかりだよぉ。 |
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ゴメンね、チイちゃん。 ちょっと私、定期試験のテスト勉強もあって・・・。 |
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あ、そうですね。 論文提出のテストもありますからね。 私も来週までに提出しないといけない課題が・・2・・3つもありますね。 先端科目の課題が多いから、ちょっと苦しいんですよね。 |
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・・・論文提出課題かぁ。 (まぁ、あたしは、いつものように提出日までに、金満女のUSBからデータもらって見とけば、いっか。) |
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そう言えば、先日、憲法の先生に、私と、ある方のレポートが非常に親和性が高いって御指摘をされたわ。 一緒に勉強会をしているからではないでしょうか、って返答をしておいたけれど・・・私と似たような考え方をされる方がローにみえるんだなぁって思ったわねぇ。 ねぇ・・・木下さん? |
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へ、へ、へぇ〜。 な、な、ななな、なんで、あたしに、その話題を振るわけ? |
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べつにぃ〜。 ただの世間話じゃないの。ただの。 あ、でも、事務の方から、自習室での盗難もあるようですので、あまり高級な物は、自習室の机の上には置かないようにって先日言われちゃったわね。 ・・・USBも高級品に含まれるのかしらねぇ。 |
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ゆ、ゆ、ゆぅえすびぃは、入らないと、お、お、思うね。 う、うんうんうん。 |
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ただ、USBには日々の課題のデータや、まとめたデータなんかも入っていますからね。 パソコンに挿しっ放しにして机を離れるのは、万が一ってこともあるかと思うと怖いので、私は、いつも抜いて行くようにはしていますけどね。 |
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私も、そうしようかしら。 | ||
ひ、ひ、光ちゃんの自習室は横の席は、あたしじゃないの! だ、大丈夫だからっ!! あ、あたしが目を光らせているから、し、し、心配ないからっ! |
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・・・・。 (目を光らせて、隙を窺っているだけではないでしょうか?) |