担保物権総論の第2回ね。 今日は、担保物権の種類には、どのようなものがあるのか、ということについて、もう少し踏み込んで話すことにするわ。 |
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こくこく(相槌) |
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担保物権には、 @留置権とA先取特権という2つの法定担保物権。 B質権とC抵当権という2つの約定担保物権があるってことは話したわよね。 法定担保物権とは、ある要件のもとで法律上当然に成立する担保物権、これに対して、約定担保物権は、信用の供与に際し、当事者間の契約によって設定される担保物権という違いがあるってことも前回話したわけよね。 そして、民法以外の法律に定められた担保物権として、仮登記担保(仮登記契約に関する法律)、法律の定めこそないものの取引上ひろく行われ、判例によって承認されている譲渡担保があるよってことも言ったと思うわ。 これら2種は、民法に定める以外の担保物権ということで、非典型担保と呼ばれている・・・ここまでが前回の話の中で伝えたことよね。 |
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はいはい、コピペ乙。 | ||
確認のために再度言ってあげたのに・・・感じ悪ぅ〜い。 今日は、これらの担保物権について、簡単な紹介をしていくわ。 とりあえず、今日は、@留置権とA先取特権について紹介することにするわね。 それじゃ、まずは@留置権からね。 六法で、民法295条を見てくれる? |
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民法第295条 『(留置権の内容) 第295条 1項 他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。 2項 前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。』 |
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留置権について簡単な説明をするわね。 例えば、ナカちゃんが時計の修理屋さんだとして、サルから、時計の修理を頼まれたとしましょうか。 |
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ふむふむ。 あたし、時計なんか持っていないけど、まぁ、例え話だから持ってることにしようか。 そんで、そんで? |
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当然、サルは時計をナカちゃんに修理してもらったんだから、ナカちゃんに時計の修理代金を支払わないといけないわけよね。 でも、サルが、時計の修理代金を支払わなかった場合。 その場合、 サルの時計を預かっているナカちゃんは(『他人の物の占有者は』) 時計の修理代金(『その物に関して生じた債権』) を支払ってもらうまで(『その債権の弁済を受けるまで』) その時計を、手元に置いておくことができるわ(『その物を留置することができる』)。 つまり、下の図のような場合において、サルが時計の修理代金の支払いをせずに、時計の返還をナカちゃんに求めて来ても、ナカちゃんは、このサルの請求を拒否することができるの。 これを留置権っていうのね。 |
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大層な名前がついとるけど、聞けば、そりゃ、そうでしょって話だよね。 | ||
まぁ、そうよね。 この留置権は、一定の要件を備えたときに当然に発生する法定担保物権だわ。 このような権利が認められる根拠は、公平の原理に求められるの。 考えてもらえばワカルと思うけれど、サルは、時計を修理されたことで、その時計の価値を維持してもらったわけよね。 だったら、その価値・・・つまり修理代金相当額の金銭は、その修理をした者であるナカちゃんに優先的に帰属させることが公平ってことよね。 |
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あ、少し間違えやすいところですので、ここで話しておきますと、債権各論で学ぶ同時履行の抗弁権(民法533条)というものがあります。 この同時履行の抗弁権も、留置権に類似した機能を果たすのですが、留置権は、同時履行の抗弁権と異なり、占有を要件とすること、また、必ずしも契約当事者間に生ずるものではない等の点で異なりますね。 |
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同時履行の抗弁権って? | ||
今、つかさちゃんが言ってくれたじゃないの。 ソレは債権各論で勉強するって。 |
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成程。つまり、今はいらん、ということだね。 うん、納得したお。 |
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ナニ、その納得は・・・。 はい、まだまだあるから、どんどん行くわね。 次はA先取特権ね。 ここも例え話で説明するわね。 モンキー商事って会社があったとしましょうか。 |
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うわっ! またきたっ!! モンキー商事っ!! |
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この前のは、モンキー株式会社だったじゃない。 まぁ、ドッチでもいい話だけれど。 えーっと、このモンキー商事には、従業員にチイちゃんが。 そして、モンキー商事に機械を売却・納品したナカちゃんがいたとしましょうか。 ところが、このモンキー商事。その月の従業員のチイちゃんへの給料も未払い、機械を納品してもらったのに、ナカちゃんへの代金も未払いのまま倒産しちゃったわけ。 |
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ふむふむ。 まぁ、倒産するくらいだし、お金がなかったんだろうから残当だよね。 |
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ただ、そうなると、チイちゃんや、ナカちゃんは、それぞれモンキー商事に対して、債権(給与・代金)を有する債権者ってことになるわけなんだけど・・・ その弁済を受けるにあたって、他の債権者(例えば銀行とか)と同様の地位にある、ということになると「債権者平等の原則」から、他の債権者と同じ比率でしか弁済を受けられないってことになっちゃうわけよね。 |
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うんうん。 まぁ、仕方ないんじゃない? |
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仕方なくなんかないよっ! 従業員のチイからしてみれば、給料もらえなかったら生活できなくなっちゃうよ! |
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そうよね。 従業員のチイちゃんの賃金債権は、チイちゃんの生活を支えるためには、なくてはならないお金よね。 ソレに、賃金債権は、通常、額もそれ程大きいものではないわ。 ということは、この賃金債権に対して比例配分としてしまうと、従業員のチイちゃんに与える打撃は極めて大きいものとなってしまうわけよね。 |
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ん? 比例配分っていうのが、よくワカラナイんだけど、どういうこと? |
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あ、そうね。 例えば、債務者のモンキー商事の財産(責任財産、引当財産)が50万円しかなかったと仮定してみてくれる? この財産に対して、債権者側の有する債権総額が全部で1千万円だったとしましょ。 そうなると「債権者平等の原則」から、債権者は全員、それぞれの債権額の5分(50万円は1千万円の5%にあたるため)しか比例配分されないという結論になってしまうわ。 この場合、チイちゃんの賃金債権が20万円だったとすると、チイちゃんは1万円しか貰えないってことになるわけよね。 |
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な、なるほど・・・ソレは流石にないわぁ。 | ||
そうよね。 また同様に、ナカちゃんの納品した機械の未払い代金についても考えて欲しいんだけど。 ナカちゃんは、納品した機械についての代金を受け取っていないのに、その納品した機械が、モンキー商事の他の一般財産として、他の債権者全員のための弁済の原資にされて、他方、自分の未払い代金については比例配分っていうんじゃ、あまりに不公平だと思わない? |
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うんうん、確かにソレはあるね! あたしだったら、ソレ、あたしの商品じゃないか!って思うからなぁ。 |
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さらに、もう少し考えて欲しいんだけど。 今、挙げたような賃金債権や、代金債権というのは、予め、債権の確保のために担保をとっておく、ということも通常は期待できない債権なのよね。 そこで民法は、このような債権者の債権について他の債権者に優先する地位を認める必要性から、法律上当然に担保物権が成立するという制度を設けたわけ。 それが先取特権という制度なのよ。 |
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成程ねっ! 先取特権って、そういう物権なんだ。 |
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ただ、先取特権は、あらかじめ公示することも困難な場合が多いのよね。 そこで、公示を必要としないで、今述べたような優先権を認める必要があるわ。 ただ、そうすると公示もされていない、つまり外部からはワカラナイために、他の債権者に与える影響も大きいといえるわけよね。 だから、先取特権の効力は、それ程強いものにはされていないの。 法は、そのようなバランスをとることで、先取特権で保護されるべき債権者の地位と、これによって害される他の一般債権者の地位との均衡を図っているといえるわ。 |
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バランスかぁ。 いい言葉だね。 あたしも大好き。 |
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・・・。 (藤先輩には欠片も見当たらないです・・・。 あ、自分に無いものだからこそ求めるってことでしょうか?) |
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民法は、先取特権が認められる債権として、15種類のものを規定しているわ。 また、この内容については、先取特権の勉強の際に、細かく見ていくことにしましょう。 今日は、最初に言ったように軽い紹介だけだからね。 |
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あ、少し補足になりますが、民法以外の法律によって認められる先取特権も多いですね。 代表的なものとしては、租税債権がありますね(国税徴収法8条)。 |
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いやいや、先取特権が大事っていうのは、よくワカッタかな。 | ||
私は、時計屋の話を聞いて、留置権の重要性が改めてよくワカッタです。 事案の人物が、自分に置き換えられていると、教科書で読んでいるときより、なんだか親身に感じてワカリやすかったです。 |
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そうね。 事案を読む際に「甲、乙」とか「X、Y」ではなくって、自分や、親しい友達をソコに当てはめて考えてみると、よりイメージが湧きやすいっていうのは、あるかもね。 私、いつも侵害相手はサルに置換して読む癖がついているからね。 「あ、また邪魔しにきたんだぁ」って感じで、どうサルを法的に懲らしめるか・・・って感じで事案を検討すること多いもの。 |
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だからか・・・。 光ちゃんの出す事案では、ことごとく、あたしが悪いことばっかしとるのは。 |
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でも、ソレいいねっ! チイも真似するよ! オネーちゃんは、ホントいつも邪魔ばっかりしてくるから、イメージにピッタリだしね! |
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・・・おい。 お前のせいで、あたしのイメージが、どんどん低下しているじゃまいか。 罰として、ネージュ・ブロンシュで、あたしにシュークリームを食べさせるんだお。 |
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「あ、また邪魔しにきたんだぁ」 |