はい、それじゃ、今回と次回との2回に分けて、用益物権の内容である地上権、永小作権、地役権の3つの物権について勉強するわね。 今日は、このうち地上権と永小作権の2つを抑えることにするわ。 それじゃ、まずは地上権からね。 前回も確認したけれど、六法で265条を見てくれる? |
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民法第265条 『(地上権の内容) 第265条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。』 |
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そうね。 地上権というのは『工作物又は竹木』の所有を目的として『他人の土地』を利用することを内容とする権利だったわよね。 ここにいう『工作物』というのは、建物に限られないわ。 道路、橋梁、銅像、記念碑、トンネル、電柱などなど、一切の地上、地下の建造物を意味するわ。 |
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建物についてですが、不動産登記規則111条は 『建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。』 と規定していますよね。 また、何度も言っていて恐縮なんですが、建物は、土地とは別個の不動産として独立して登記できる土地の工作物ですね。 |
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つかさちゃん、補足してくれて、ありがとうね。 えーっと、地上権は、不動産に関する物権だから、その対抗要件は登記になるわ(177条)。 ただし、借地借家法の適用がある場合には、特殊な対抗要件が定められているのよね。 一応、条文を確認しておきましょうか。 借地借家法10条を見てくれる? |
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借地借家法第10条 『(借地権の対抗力等) 第10条 1項 借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。 2項 前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から二年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。 3項 民法(明治29年法律第89号)第566条第1項 及び第3項 の規定は、前2項の規定により第三者に対抗することができる借地権の目的である土地が売買の目的物である場合に準用する。 4項 民法第533条 の規定は、前項の場合に準用する。』 |
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特殊な対抗要件として定められているといったのは、この借地借家法10条1項になるわ。 前回の勉強会でも話したけれど、借地借家法は民法の特別法にあたるから、借地借家法の適用がある場面では、民法に優先して適用されることになるわ。 だから大事な条文は、しっかり抑えておいてね。 |
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だってさ。チイ。 |
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うんっ! チイ、しっかり借地借家法についても勉強するよ! |
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あんたもよ、サルっ!! ちなみに、名前こそ地上権という名称が付されているけれど、空中または地下の一定の範囲を区切って地上権を設定することもできるわ。 |
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地下や空間に設定されるのに「地上権」なんて、いいわけ? | ||
空中廊下や、地下鉄などが社会の発展と共に出来てきたから、後に枝番として追加された条文があるからね。 六法で、269条の2を見てくれるかしら? |
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民法第269条の2 『(地下又は空間を目的とする地上権) 第269条の2 1項 地下又は空間は、工作物を所有するため、上下の範囲を定めて地上権の目的とすることができる。この場合においては、設定行為で、地上権の行使のためにその土地の使用に制限を加えることができる。 2項 前項の地上権は、第三者がその土地の使用又は収益をする権利を有する場合においても、その権利又はこれを目的とする権利を有するすべての者の承諾があるときは、設定することができる。この場合において、土地の使用又は収益をする権利を有する者は、その地上権の行使を妨げることができない。』 |
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成程ねぇー。 つまり、地上権って名前だけれど、地下又は空中の一定の範囲を区切って設定することもできるってわけね。 |
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ソレ、私の言った言葉を、オウム返ししているだけじゃないのよ。 ナニを、さもワカリマシタ的な顔して言ってくれてるのよ。 あ、じゃあ次は、六法で266条を見てくれる? |
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民法第266条 『(地代) 第266条 1項 第274条から第276条までの規定は、地上権者が土地の所有者に定期の地代を支払わなければならない場合について準用する。 2項 地代については、前項に規定するもののほか、その性質に反しない限り、賃貸借に関する規定を準用する。』 |
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地上権については、この後で学ぶ永小作権とは違って、地代の支払いは要件とはなっていないわ。 有償、無償、いずれの地上権もありえるってことね。 また、存続期間の制限もないわ。つまり、理論的には永久の地上権も認められるってことね。 あ、でも借地借家法3条を見てくれるかしら? |
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借地借家法第3条 『(借地権の存続期間) 第3条 借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。』 |
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借地借家法の適用がある場面では、この規定によることになるわ。 | ||
・・・借地借家法かぁ。 コイツ、ちょいちょい顔出してくれるなぁ。 ぐぬぬぬぬ。面倒な奴だお。 |
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地上権については、土地所有者と、地上権者の設定契約によって成立することが普通なんだけれど、法律の規定によって地上権が成立するという場合もあるわ。 法定地上権(民法388条、民事執行法81条)などがあるんだけれど、この法定地上権については物権の勉強会で、また後で改めて学ぶことにしましょうか。 |
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抵当権の勉強会で学ぶことになりますね。 もっとも、抵当権は、もうすぐですし、ソレほど先の話ではないですから安心して下さいね。 |
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・・・。 (ナニを安心すればいいんだろ・・・。 勉強しなくっていいのなら安心できんだけどなぁ。) |
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地上権は、譲渡性を有するわ。 つまり、地上権を所有する者は、その地上権を、土地所有者(=地上権設定者)の承諾なしに、譲渡することができるの。 例えば、地上権に基づいて建てられた建物を譲渡すると、地上権も譲渡したことになるわけなんだけど、この譲渡については地上権設定者の承認は不要ってことね。 前回、話した賃借権の場合は、その譲渡には土地所有者の承認が必要となるわ。 コレは、地上権と土地賃借権との大きな違いの一つよね。 |
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あぁ、ソレ、判例でやったね。 あたしが土地所有者で、貧乏人の光ちゃんに土地を貸してあげたって判例あったもんね。 あんときは確かに、あたしの承認なしに勝手に、地上建物の譲渡をしたことが問題になってたよね。 |
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せっかくいい合いの手を入れてくれたなぁって思ったのに、余計なこと言わなくってもいいじゃないの。 誰が貧乏人よ、誰がっ! |
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そうやって、すぐにキれるところじゃない? 心が貧しいんだよねぇ。 必ずしも物的に満たされているからって、貧しくはないとは言えないってことなんだよ。 |
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・・・。 (敢えて、人が怒るようなことを言っておきながらの、この返しはヒドいです・・・。) |
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(腹立つ・・・このサル、腹立つぅ〜っ!) えーっと、地上権については、これくらいかな・・・。 次は、永小作権ね。 六法で、270条を見てくれる? |
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民法第270条 『(永小作権の内容) 第270条 永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。』 |
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永小作権とは『耕作又は牧畜』を目的として『他人の土地』を利用できる権利をいうわ。 永小作権も物権ではあるんだけれど、戦前から実際には、賃貸借(601条以下)で行われることが多かったみたいね。 戦後は、御存知、農地改革が行われ、自作農主義がとられた結果、小作形態は、ほとんど使われていないといわれているわね。 現在では、農地法によって小作は規制されているわ(農地法6条など)。したがって、民法の適用される場面というのは、ほとんどないと言っていいわ。 私も、永小作権については、これくらいしか説明できないから、これでお終いにさせてもらうわね。 |
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私も、光ちゃんの説明に加える程の知識はないですね。 それぐらいの理解でいいかと思います。 |
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うん。こんなところかしらね。 それじゃ、次回の勉強会は、地役権についてってことで。 |
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借地借家法に農地法かぁ。 チイは、まだまだまだまだまだ勉強が必要だね! |
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相変わらず、チイちゃんは勉強熱心ね。 でも、借地借家法はともかく、農地法については、そこまで抑える必要はないわよ? |
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そうなんだ。 | ||
うんうん。 でも、その前向きな姿勢は大事だと思うし、チイちゃんのいいとこだって思うわ。 ・・・あのサルとは違ってね! |
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おいおいおい。 せっかく綺麗にまとめてんなぁって思ったら、余計な一言つけてくれちゃってんじゃねぇお。 一言、言わないと気が済まないのは年のせいかお? |
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ナニ、過敏に反応してんのよっ! あんたは、心が豊かなんでしょ? 余計な一言くらいスルーすればいいじゃないの! |
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いやぁ、友人として、友達が他人の嫌がることをワカッて、敢えて、心無い発言をしているのを見過ごすことは出来ないよねぇ。 そういうことを指摘して上げれてこその友達じゃないのかな? 少なくとも、あたしはそう思っている。 |
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ふ、ふ、藤さんっ!! 光ちゃんは、藤さんのような素敵な友達を持てて、幸せですっ!! |
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・・・死ねばいいのに・・・このサル。 | ||
ウキッ! |