民法物権編 第4章から第6章。 条文で言うと265条から294条までは、地上権、永小作権、地役権の3つの物権について定めているわ。 これらの物権を総称して「用益物権」と呼んでいるのね。 前回まで勉強してきた物権は所有権だったわよね。 所有権は、物の価値の2つである交換価値と利用価値、その全ての支配を内容としているわ。 これに対して、用益物権は、利用価値のみの支配を内容としている物権なの。 今日からは、この用益物権について学ぶことにするわね。 |
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地上権に永小作権、地役権かぁ。 ・・・なんか、あんまり聞き馴染みのない物権だね。 |
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そうね。 所有権よりは聞き馴染みはないと思うわね。 まぁ、新しく学ぶ用益物権ってことだし、今日は軽いイントロにしようと思っているわ。 |
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うひょひょひょひょひょっ!! 軽い勉強会は大歓迎だおっ! そだそだ。 今日は、軽い勉強会のあと、なんか美味しいものでも食べに行こうっ! チイ、チイからも御願いするんだお! |
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え? 別にいいよ。 光おねーちゃんと一緒だと、いつも光おねーちゃんが御馳走してくれるから、チイ、申し訳ないもん。 |
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そんなこと気にしなくっていいわよ! 私も、みんなで食べるご飯は美味しいもの。 じゃあ、せっかくのサルの提案だし、今日は勉強会の後、ナニかお食事に行きましょうか。 チイちゃん、ナニか食べたい物はないの? |
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あ、じゃあ、チイ、廻るお寿司屋さんに行ってみたいよ! | ||
バ、バカっ!! チイっ! どうせなら、もっと高い物が食べられるお店をチョイスするんだお! |
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・・・藤先輩は、ホントにここぞとばかりに人の厚意に付け込んでくる人です。 | ||
ひ、光ちゃん? チイはこう言っているんだお。 目が廻るくらい、お値段の高いネタを出してくれるお寿司屋さんに行きたいらしいお? |
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・・・ナニを意味のワカラナイ解釈論を展開してくれてんのよ。 あんたの通訳なんて要らないわよ! ワカッタわ。 それじゃ、今日の勉強会の後は、回転寿司に行きましょうか。 |
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わーいっ!! 廻るお寿司屋さんっ!! やった、やったぁっ!! |
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・・・チェっ。 つかえない小動物め・・・。 チャンスをフイにしよってからに。 |
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はい。それじゃ勉強会に戻るわね。 それじゃ、今日は軽く、それぞれの用益物権が、おおよそどのようなものかってことを知ることにしましょうか。 まずは、第4章に定められる地上権からね。 六法で、265条を見てくれる? |
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民法第265条 『(地上権の内容) 第265条 地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。』 |
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そうね。 地上権とは『他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利』をいうわ。 じゃあ、次は第5章に定められる永小作権ね。 六法で、270条を見てくれる? |
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民法第270条 『(永小作権の内容) 第270条 永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。』 |
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そうね。 永小作権とは『小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利』をいうわ。 それじゃ、最後に地役権ね。 六法で、280条を見てくれる? |
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民法第280条 『(地役権の内容) 第280条 地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。』 |
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そうね。 地役権とは『設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利』をいうわ。 |
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・・・条文読んだだけじゃないかお。 | ||
それぞれの権利の内容を定めた条文があるんだから、権利の内容は、その条文を読んで理解するのが一番でしょ? ナニか問題でも? |
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オネーちゃんは、なんにでもケチつけたがるから、光おねーちゃんは気にしないで、いいよ! | ||
おやおや。 お寿司を御馳走してもらえると聞いて、姉のあたしを売り飛ばすとは、見下げた根性の妹だお。 |
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・・・お寿司は関係ないです。 チイちゃんの指摘は、もっともです。 |
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ねぇ? サルは、ホント、クレーマーだもんねぇ? えーっと、これらの物権は、いずれも『他人の土地』を利用する物権なのね。 この性質から、他人の所有物の上に成立する物権ということで「他物権」と呼ばれるわ。 また、他人の所有権を制限する内容の物権であることから「制限物権」ともいわれるわね。 後者の「制限物権」という言葉は、よく出てくるから抑えておいて欲しいわ。 |
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他人の土地を利用する権利としては、賃貸借契約(民法601条以下)または使用貸借契約(民法593条以下)によることも可能ですね。 賃貸借や、使用貸借であれば、使用の目的による制限もありません。 但し、賃借権や、使用借権は債権であって、物権ではありませんけどね。 |
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そうね。 ただ、実際には、他人の土地を利用する権利としては、用益物権よりも、賃借権によることの方が多いわ。 これが何故かっていうことについては、また債権各論の勉強で学ぶことにしようと思うけどね。 |
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・・・じゃあ、今は言わなきゃいいお。 | ||
聞こえているわよっ! ソコのクレーマーさん? |
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横山秀夫の小説にも、あったなぁ。 『クレーマーズ・ハイ』って作品。 |
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藤さん・・・ソレは、多分『クライマーズ・ハイ』です。 | ||
はいはい。 『最高に「ハイ! 」ってやつだァァァァ』 |
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『わけがわからないよ』・・・です。 | ||
・・・ドコまで脱線するつもりよ。 じゃあ、イントロだし、コレで最後にするから。 建物の所有を目的とする地上権と土地の賃借権、これらをまとめて「借地権」というわ。 借地権については、借地借家法2条1号に定義されているわね。 答案を書く際に、地上権と、借地権とを混同してしまうことが、ままあるから気をつけて欲しいわ。 一応、条文を確認しておきましょうか。 六法で、借地借家法2条1号を見てくれるかしら? |
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借地借家法第2条1号 『(定義) 第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 1号 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。』 |
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この建物所有を目的とする地上権と、土地の賃借権については、民法だけではなく、民法の特別法である借地借家法の借地に関する規定が適用されることになるわ。 ただ、気をつけて欲しいのは、土地の使用貸借および、建物の所有を目的としない地上権、賃借権には、借地借家法の適用はないからね。 借地借家法は、新司法試験受験六法にも掲載されていて、抑えておかないといけない法律の1つだから、必要に際して、条文を確認していくことにしたいと思っているわ。 |
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借地借家法・・・なんか、たまに聞く名前だね。 ソレも、勉強せんとならんのか・・・面倒だお(ボソっ) |
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あんた、最後の最後まで文句しか言ってないじゃないのよ! 借地借家法は、事案によっては、必ず見ないといけないこともある法律だから、そんな投げやりなことでは困るわよ? |
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まぁまぁ、今日はイントロってことでしたし、これくらいで、よろしいのではないかと。 | ||
え? もうお仕舞い? | ||
だって、今日は、この後、チイちゃんご所望の廻るお寿司屋さんが待っているじゃないの! | ||
あ、そうだったね! わーーーーいっ! わーーーーいっ! |
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よしっ! あたしは、かつて超えられなかった55皿を超えてみせんよ! |
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オネーちゃん、55皿も食べるんだ。 スゴーいっ! よーし、チイも負けないからねぇーっ!! |
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食事は楽しくするものであって、勝負するものじゃ・・・ | ||
バチバチっ! | ||
・・・聞いてないわね。 |