・・・参ったなぁ。 | ||
チイちゃん? 浮かない顔をしていますが、どうしたです? |
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昨日、交流戦で広島の試合があったんだけどね。 (2015.6.2 対日本ハム第1戦) 4対2で迎えた9回に、相手チームが5点とって逆転負けしちゃったみたいなんだよね。 |
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・・・広島の中継ぎ陣は、ヒドいって専らの評判です。 | ||
オネーちゃん、マエケンだし、今日は勝てる、勝てるって喜んで、ウキウキしながら試合観戦してたんだよね。 チイは、試合見てないから知らないんだけど、TVの部屋からものすっごい罵声が聞こえてきて、その後、悲鳴が続いて、その後号泣したオネーちゃんが、泣きながらお風呂に駆け込んで、全然出てこなかったんだよね・・・。 あぁ、また広島が負けたんだぁってチイもワカッタんだけど、お風呂から出てきたオネーちゃんが、抑えがどうだの、監督がどうだの、もう、どうでもいい話を、延々し始めちゃって・・・。 |
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・・・実は、私も今季は私の応援する横浜が、すこぶる調子がよくって首位なので、野球の話題は避けているです。 開幕前は、藤先輩が、今季の広島をすごく楽しみにしていたので、なんだか申し訳なくって話しづらいです。 |
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ナニナニ? なんの話題? |
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あ、光おねーちゃん・・・。 オネーちゃんが、野球で応援しているチームが、勝てないって、いつも文句ばっかり言うから困っているんだよ・・・。 |
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ソレは迷惑この上ない話ね。 激辛カレーを頼んでおいて、辛いって文句言うみたいなものだもんね。 |
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・・・。 (ソレは、弱いチームを応援しておいて、負けて文句を言うなって意味でしょうか? 明智先輩は、ホント野球の話題だけは、まったく頼りにならないです。) |
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でも心配いらないわよ! チイちゃんのオネーちゃんは、いつも騒々しいけれど、基本、物事を引き摺るタイプじゃないからね。 |
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・・・でも、その日の鬱憤をブツけて来るのも、チイはイヤなんだけどなぁ。 | ||
あうあうあうあうです。 お察しするです。 |
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あ、みんな来とるお。 ほいほい。来たよぉ〜。 |
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すみません。 少し講義が長引いてしまいましたので。 |
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あ、気にしないで。 それじゃ、今日の勉強会からは、所有権について学ぶことにするわ。 でも、とりあえず今日は、イントロダクションって感じで、軽く聞いててくれればいいから、そのつもりでね。 民法物権、第三章、第一節、第一款、所有権を定める条文のトップバッターは、第206条から始まるわ。 まぁ、イントロとは言え、六法も読まずに法律の勉強もないわよねってことで、六法で206条を見てもらおうかしら。 |
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民法第206条。 『(所有権の内容) 第206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。』 |
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え? なんか当たり前のことじゃないの? ソレって。 |
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そうね。 所有権の性質を考えると、この206条は当然のことを言っているように読めるわ。 でも、その意味するところは深いわ。 『自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する』ということから、所有権は物を全面的に支配する権利だとされるわ。 |
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なるほど、なるほど。 あたしの物だったら『煮て食おうが焼いて食おうが自由』って感じだね。 |
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あんた、そういう言葉好きそうだもんね。 そうね、俗に、そんな言い方をされることもなくはないわね。 ただ、この所有権という権利が、私達の生きる現代社会における財産制度の根幹をなしているのよね。 もう少し噛み砕いた言い方をするなら、自由な所有権を基礎にした、物の自由な流通が、私たちの取引社会の中心にあるってことなの。 前の所有者から所有権を譲り受けることによって、譲り受けた人は、その物について、他の誰からも干渉を受けることのない全面的な支配権を取得できる、このことが保障されて初めて、私たちの取引社会は成り立っているわけよね。 |
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こくこく(相槌) |
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いや・・・なんか小難しく言っているけど、ソレって当たり前の話じゃないの? キバヤシみたく大層な言い回ししとるんで「な、なんだってーー!」って言いそうになってまうけど、ソレみんな知ってる話じゃね? |
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そうよね。 現代に生きる私たちにとっては、このことはごくごく当たり前のことのように映る話なのよね。 でも、この一見当たり前に見える事柄も、歴史的な産物であるということも知っておいて欲しいわね。 このような自由な所有権の制度は、人間が封建的な身分関係から解放された近代社会に至って、初めて確立されたものだわ。 封建的な支配からの人間の解放、つまり、人は生まれながらにして自由かつ平等である、という原則が確立されてはじめて、自由な所有権ということも実現しているわけ。 逆を返せば、人と人との関係が、生まれながらの身分によって規定され、あらゆることが、その身分を基礎に形成される社会では、自由な所有権は実現できないこととなるわ。 自由な所有権という観念は、このような人間の身分からの解放という、封建制から近代社会への革命的な転換に伴って確立されたものだということを、まず知って欲しかったの。 |
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光おねーちゃん、スゴいよ・・・。 法律の勉強なのに、なんか歴史スペクタルみたいな感じしてきちゃったよ。 |
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光おねーちゃん、スゴいお・・・。 イントロなのに、なんかどうでもいいみたいな感じしてきちゃったお。 |
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ちょっとっ!! 現代物権法における、所有権のもつ意味について知っておいて欲しいなって思えばこそ、わざわざイントロを設けて話しているのに、ナニよ、サルのその態度はっ!! |
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いやぁ、あたし、歴史の話は苦手なんだよね・・・。 正直、もう終わったことだし、いいじゃんみたいな気持ちになっちゃうんだよねぇ。 |
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・・・私は歴史の話は好きなので、今度、藤さんから野球の話を聞かせて頂いて、お返しに、私が歴史の話をさせて頂くってことでもいいですよ。 | ||
つかさちゃん、それなら、私と話しましょうよ。 私が巨人の歴史について教えて上げるから、つかさちゃんは私に歴史の面白話を聞かせて欲しいな。 |
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ひ、光ちゃんは私よりも詳しそうですし・・・私、歴史の話は好きですけど、そんなに詳しいってわけでもないですし、ちょっと偏っているとこありますし・・・。 | ||
じゃあ、2人がお互いに歴史の話をしあって、その後、2人にあたしが広島の話をしてあげるってことで、どうだお? | ||
ナニ、あんた、自分の苦手な歴史の話を華麗にスルーしようとしてんのよ! しかも、さり気に広島のステマをしようなんて、どんだけ図々しいのかしら。 |
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オネーちゃん、歴史は戦争や合戦のところだけ読んで、後は放置だったんだよ。 試験前は一夜漬けで乗り切っていたけど、試験終わると同時に空っぽになって、試験のたびにソレを繰り返していたんだよね。 |
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律令政治がぁ〜とか、日宋貿易がぁ〜とか言われてもピンと来ないからなぁ。 | ||
あんた、法律の勉強だってピンと来ないことばっかりじゃない。 あ、ちょっと脱線しちゃったわね。話を戻すわね。 自由な所有権という観念が、封建制から近代社会への転換によって確立された、という事実は、土地の所有権においても例外ではなかったわ。 でも、土地は、人間が流通におくべくして作り出す商品とは異なり、自由に作り出すことの困難な有限な資源よね。 そこで、自由な所有権である以上、民法206条が定めるように、土地についても所有者による自由な使用収益が認められなければならないものの、土地の有限性という性格上、いくつかの法令による制限に服する、という縛りもあるわけよね。 憲法29条2項、3項は、そのことを定めているわ。 民法の勉強会ではあるけれど、一応確認しておきましょうか。 六法で、憲法29条2項、3項を見てくれる? |
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憲法第29条。 『第29条 1項 財産権は、これを侵してはならない。 2項 財産権の内容は、公共の福祉に適合するように、法律でこれを定める。 3項 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。』 |
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『財産権は、これを侵してはならない』ものではあるものの『公共の福祉に適合するよう』また『公共のために用いる』ことがが出来るように一定の制限に服するとされているわけよね。 この憲法29条の具体化として、公法上の制限である都市計画法や、国土利用計画法、建築基準法などによる制限があるってことになるわね。 まぁ、これらの法律の現実の運用における問題については、行政法で学ぶわけよね。 まぁ、マメになるけれど、鉱業法3条の鉱物を掘採する権利は、土地の所有権には含まれず、国または国から与えられた鉱業権によることとなるわ。 そう言えば民法総則の23回勉強会で、学んだ話は憶えている? 六法で、207条を見てくれるかしら。 |
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民法第207条。 『(土地所有権の範囲) 第207条 土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。』 |
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帝愛グループの地下帝国の話だねっ!? | ||
どういう憶え方をしてくれてるのよ! そんな話はしなかったじゃないの! 207条を前提として、大深度地下利用法(「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」)などが、土地の利用の範囲を画する法令の一例として挙げられるって話をしたわよね、ってことを言いたかったの! 大深度地下利用法っていうのは、首都圏等において、地下40m以上の空間を「大深度地下」として、道路・地下鉄・上下水道などの公共性の高い事業を進める場合には、原則として、土地所有者の同意や補償は必要としないことを定めた法律だったわよね。あの話よ! |
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帝愛グループって? | ||
チイちゃん、スルーしちゃっていいです。 藤先輩が言っているのは、関係のない話ですから。 |
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うわっ!! 当時は、ノリノリで話にノッかって来たのにっ!! | ||
あんた、ろくな憶え方していないのね・・・。 そんなことで大丈夫なの? えーっと、民法で学ぶ土地所有権に対する制限としては、代表例としては相隣関係があるわね。 次回からの勉強会では、この相隣関係を中心に学んでいくことにするわ。 それじゃ、今日はイントロってことだったし、これくらいかな。 |
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あれ? もう終わりなの? | ||
イントロからの相隣関係の説明ってことになると、少し間延びしちゃうからね。 短いなぁとは私も思うけれど・・・ゴメンね。 |
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あ、じゃあじゃあ、今日は大学の生協に連れて行ってよっ! 大学には、生協の食堂があって、栄養バランスのある食事が、安く食べられるって話を聞いたよ! |
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安いって言っても無料じゃないし、自炊の方が安いよ? チイ? ソレに生協も、小麦とかの材料費が高騰しているせいか、値段改定して料金UPしたからなぁ。 |
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・・・でもでも、あんまり言いたくないけれど、チイ、モヤシ料理ばっかりだから、たまには違うモノが食べたいんだよ・・・。 | ||
な、な、なんとっ!!! 昨日も美味しい、美味しいって、お前、言うとったやないかっ!! |
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オネーちゃんのモヤシ料理が不味いって言ってるんじゃなくって、たまには、モヤシ料理じゃない晩御飯が食べたいって話をしてるんだよ。 | ||
そうよねぇ、ワカル、ワカル。 モヤシ教の教祖様でもないと、あの食生活には耐えられないわよねぇ。 うんうん、今日は、おねーちゃんが御馳走してあげるから、生協で好きなモノを食べてくれていいわよ? |
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わーいっ!! 唐揚とか、ハンバーグが食べたいよ! |
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・・・この裏切り者のユダめ・・・。 と教祖様はお怒りなのであった、まる。 |
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・・・・。 (今度、私の実家の民宿で採った山菜を差し入れに持っていくです・・・。 チイちゃんも育ち盛りですし、きっとモヤシだけじゃ物足りないに決まっているです。 野球の愚痴だけじゃなく、モヤシ三昧にまで付き合わされて、チイちゃんはホントに大変です・・・。) |
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・・・・。 (いくら藤さんのモヤシ料理が美味しいって言っても、流石に毎晩モヤシ料理ではチイちゃんにも酷ですよね。 私も、なにか適当なお料理でも用意して藤さんの御宅に遊びに行ってもいいですよね、コレは。) |