長かった物権法総則も終わったし、今日から、それぞれの物権の内容を見ていくことにするわね。 まずは、物権法の第2章。 占有権からね。 民法180条から205条までが、その内容となっているわ。 今日は、占有権の勉強会の1回目ってことで、導入を話すくらいにしておくわね。 まぁ、ナニも見ずに話しても、ちょっと空中戦になっちゃうから、占有権の条文の確認くらいはしておきましょうか。 六法で、180条を見てくれる? |
||
民法第180条。 『(占有権の取得) 第180条 占有権は、自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。』 |
||
占有と、それを基礎として認められる占有権というのは、現実に物を所持している状態そのものを保護しようとする制度なのね。 この占有権を認める理由については、占有しているという事実、その平穏な状態を重視し、これを保護するという意図があるわ。 そうね。 例えば、平穏な事実状態を重視するということから、一定期間継続した状態に対して法の保護が与えられる場合があるということについては、既に学習済みなんだけれど、パッと出てくる? |
||
よゆうッチ! 取得時効だよねっ!! ぶっちゃけ、民法総則で学んだ中では錯誤と時効は、あたしの中の不動の2トップだかんねっ! 絶対に忘れないおっ! |
||
なんで錯誤と時効が、あんたの中で、そんなにも重要視されているかは知らないけれど、そうよね。取得時効があったわよね。 えーっと、話を戻すわね。 占有権とは、現実に物を所持している状態そのものを保護しようとする制度ってことなんだけど、実際問題として、占有には、その占有の裏づけとなる(=法律上正当化する)権利が備わっている場合と、備わっていない場合とがあるの。 |
||
うんうん、ワカルよぉ〜。 (まぁ、そうだよね。 ぶっちゃけ、あたしの沖縄別荘計画なんて、光ちゃんの沖縄の別荘を、光ちゃんの物だってことを知った上で、時効取得しようって計画なんだもん。 最初の占有の段階で、法律上正当化する権利が備わっているはずないもんね。) |
||
今日は随分と飲み込みが早いみたいね。 この裏づけとなる権利についても、触れておくと・・・。 例えば 所有権(206条) 地上権(265条) 永小作権(270条) 留置権(295条) 質権(342条) 等があるわ。 地役権(280条)、抵当権(369条)、先取特権(303条)等は、権利自体が物の占有を内容とするものではないからね。 ここまでは物権になるけれど、債権であっても物の占有を裏付ける権利となるものはあるわ。 例えば 賃借権(601条) 使用借権(593条) 等がそうね。 占有権に対して、その占有権を裏付けるこれらの権利のことを『本権』というの。 |
||
おうおうおう、まぁ、よくもベラベラと知らない権利を並べ立ててくれるもんだねぇ。 最後の一文だけで良かったんじゃないの? 占有権に対して、その占有権を裏付ける権利が『本権』ってことだけ言ってくれればいいんじゃないの? |
||
『本権』の内容を言っただけじゃないのよ。 まぁつまり、例えば、サルが物を占有しているという場合に、サルが、その物について本権を有して、それに基づいて占有している場合と、その物について本権を有さないで、その物を占有している場合とがある、ってことを抑えておいてくれればいいわ。 |
||
こくこく(相槌) |
||
でっ! 占有権による保護が必要なのは、占有者が『本権』を有していない場合なのね。 このことについては説明は不要よね。 |
||
いやいや、勝手な判断はやめてよ。 なんで、『本権』をもっていない場合には、占有権による保護が必要になるのか、ちゃんと説明してくれない? |
||
だって、本権があるんだったら、その本権を根拠に保護が与えられるもん。 | ||
あぁ〜。今の言い方、オネーちゃん傷ついたなぁ。 ナニ、そのアホの子に対して「やれやれ」的な感じの言い方は。 |
||
そんなこと思ってないよっ! でも、そうでしょ? 本権があるんだったら、ナニも物を事実上支配していることを保護する占有権を主張するよりも、その本権を主張すればいいってことになるよ! |
||
うわぁ〜。 絶対自分は間違ってません的な、その物言い・・・。 オネーちゃんはチイのそういう態度はよくないと思うなぁ。 |
||
・・・藤先輩は、ドコからでも因縁をつけてくるです・・・。 | ||
あんた、チイちゃんに難癖つけるのは、やめなさいよ。 ただ、チイちゃんが言うように、占有者が本権を有している場合には、その占有者の保護は、本権を根拠として与えられるということになるわけだから、占有権による保護が必要になってくるのは、占有者が本権を有しない場合ということになるわよね。 ある物について、本権を有しない占有者を、その物を占有しているという、その状態において保護しようとするのが、占有権の制度だからね。 |
||
成る程です。 | ||
でも、占有者が本権を有さずに、ある物を占有しているという場合・・・。 占有者とは別に本権を有する者がいるということになるわけよね。 |
||
んんんん? どういうこと? | ||
例えば、サルが私から、このペンを借りたとするわよね。 はい、コレ持って。 |
||
ほいほい。 | ||
今、私からサルにペンを貸したわよね。 当然、私のペンはサルに貸しただけなんだから、ペンの所有権(本権)は私にあるわけよね。 でも、ペンを現実に今、占有しているのはサルよね。 ということは、サルは占有権者ということになるわ。 私とサルとの間では、本来は、ペンの所有権は私にあるんだから、その占有も私に回復されるべきものということになるわ。 ただ、サルは、私以外の者との関係では、サルがペンの占有を有する占有権者であるということだけで保護されるの。 コレが占有権の特徴といえるわ。 そして、場合によっては、本権(所有権)を有する私であっても、占有者に一歩譲らなければならない場合さえあるの。 民法202条2項などがその場合にあたるわけなんだけど、またソレは勉強することにしましょ。 |
||
ほむほむ。 イントロだけど、なんか占有権が、ちょっとワカッタような気がするお。 |
||
まだ始まってもいないじゃないの。 今日は導入よ? |
||
うんうん。 あ、このペンは返したほーがいいの? |
||
当たり前じゃないのよ。 理解をする上で、ワカリやすくしようと思って使っただけなんだから返して頂戴。 |
||
光ちゃん、書き心地よさそうなペン使っとるんだね。 見てよ、あたしのペン、これ下の購買で1本88円のだよ? |
||
・・・見たけど、ナニこのペン・・・。 噛み痕ついているんだけど・・・コレ、そういうデザインなの? |
||
あぁ、コレはアレだね・・・アソコの小動物が噛んだ痕だね。 あの小動物、お腹が空き出すと、そこら中にある物に噛み付き出すんだおね。 |
||
・・・な、な、内緒なのに。 言わないでよ、オネーちゃん・・・。 |
||
まぁ、でも口に入れても食べなくなっただけ、チイも成長したなぁって思っているお。 昔は、口に入れた物なら何でも食べようとしてたからねぇ。 |
||
・・・い、い、言っちゃダメだよ・・・ソレも。 | ||
は、は、はらぺこモンスターがいる・・・。 |