元旦 
5.4.3.2.1・・・

あけましておめでとーっ!
オネーちゃんと一緒に新年迎えられるなんて、久し振りだね!
すっごくチイも嬉しいよぉ。
あけましておめでとうだよぉ!
まぁまぁ、チイもいい年なんだから、お正月ごときで、そんなに騒ぐんじゃないよ。

あ、そだ。
珍しく実家の父ちゃん、母ちゃんから、お正月くらいはいい物食べなってことで、仕送り届いてっから、このお金で今から神社に初詣に行って、その帰りになんか美味しいもんでも食べてこようか。
  賛成、賛成ぃーーっ!!
いやいや・・・待て待て。
違うね。
先ずは、お正月と言えば、お年玉だよね。

よしよし。
ソレじゃ、この仕送りはお年玉ってことで、あたしとチイとで按分しようか。

えーっと、1万円札が何枚あるのかな・・・
ひぃ、ふぅ・・・っと、ときに今は何時だお?
  0時だよぉ。
成程、成程、えーっと、ひぃ、ふぅ・・・2万円か。

うん。
ソレじゃ、あたしとチイとで仲良く半分こだね。
はい!
お年玉、1万円っ!!
  わーいっ!!
わーーいっ!!
お年玉、お年玉ぁっ!!
あたしもチイも仲良く1万円ずつだお。  
  オネーちゃん、ありがとう!!
あたしのお金じゃないから、父ちゃんと母ちゃんに御礼いいなよ。
そうだね、そうだね。
ソレじゃ、早速電話して、お正月の挨拶するよぉ。
うんうん。

あ・・・そだ、お正月早々お金のこと言うのもアレだから、ソコはお年玉ありがとうってだけで、いいかんね。
わかったよぉ。

(プルルルルルル・・・)

もしもし、お父ちゃん?
うんうん・・・
(くっくっく・・・。
 正月早々デッカい臨時収入っすわ。
 アホのチイには1万円でも多過ぎるくらいだお。
 姉であるあたしが3万円、妹は1万円というのは至極妥当な按分だお。
 ニシシシシシシ・・・。)
  コンコンコン  
ん?
誰だお?

(ガチャっ)
 
あ、あけましておめでとうございます。
おおぅ、クロちゃんやないかお。
あけあけ!!
初詣に行こうかと思いまして・・・。
あの・・・ソレで・・・よろしければ御一緒してくれませんか?
ええお、ええお。
丁度、あたしとチイも初詣行こうって話してたとこだし。
ってか、ソレならそうと、前もって言うてくれたら、よかったやないの。
え・・・ま、まぁ、そうですよね・・・。
でも、なんか誘いそびれてしまって・・・はい・・・。
なんかクロちゃんは遠慮しぃなとこあっからなぁ。
友達なのに、いつまで経っても他人行儀だおねぇ。
新しい年なんだし、今年は遠慮なく色々言っちゃってよぉ。
  そ、そうですよね!
今年も宜しく御願い致します!!
あ、オネーちゃん?
お母ちゃんが、オネーちゃんに代わってくれないか?
って言ってるけど・・・。
あたしは後からまた電話するからって言っといてよ。
クロちゃん来てるし待たせるのも悪いしね。
わかったよぉ。

うんうん。
ソレじゃあ、お母ちゃん、またね。
な、なにか申し訳ありません。
私が急に押しかけたばっかりに・・・。
ええよ、ええよ。
ソレじゃ行くとしますか。
 
あ、チイちゃん。
あけましておめでとう。
これ・・・私からチイちゃんにお年玉ってことで。
つかさおねーちゃん、あけましておめでとおぉっ!

わわわ・・・なんか大きな箱がきたよぉ。
ナニ、ナニ、これナニ?
散らし寿司です。
お正月ってことで、ちょっと具を贅沢にしときましたよ。
ワーイ!!
ワーーイッ!!
つかさおねーちゃん、ありがとうだよぉ!
クロちゃん、クロちゃん!!
あたしにはっ!!
あたしにはお年玉はないの!?
え?
・・・あ・・・あの私と藤さんとは同い年ですし・・・。
お年玉というのも失礼かな・・・と。
ちょっちょちょっ!!
さっき言うたばっかやないのっ!!
そんな遠慮はいらないってっ!!!
いえ・・・これは遠慮とかではなくって・・・あの・・・
くぅぅぅぅ。
チ、チイっ!!
そのお年玉も、あたしと半分こだかんね!!
だ、駄目だよぉ。
コレはチイが貰ったお年玉なんだから、チイのだよぉ!
こ・・・・この小動物がぁぁぁ。  
  御免ください。
よろしいでしょうか?
んみゅ?
誰だ・・・
おおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉっ!!!!
あけましておめでとうございます。
藤さん。
な、な、なんで、なんで、なんでっ!?
なんで、あたしの家にヒットマンがっ!?
ヒ、ヒットマン!?
ど、何処に、そのような者がっ!?
  ふ、藤さん、落ち着いて下さい。
柴田さんですよ。
し、柴田という名のヒットマンが・・・・。
オネーちゃん、呑み過ぎだよぉ。

柴田おねーちゃん、あけましておめでとうっ!!
よく、チイの家がワカッタねぇ。
あけましておめでとうございます。

お嬢様のお迎えの際に、コチラの前までよく車で来ていますからね。
もっとも、こうしてお訪ねさせて頂くのは、コレが初めてになりますが。

あ、そうそう。
光お嬢様から、藤さんとチイさんにお届けするよう頼まれまして。
此方、明智家御用達の料亭の特製お節料理御重になります。
宜しく御納め下さい。
ほげぇぇーーーーっ!!
あ、あ、明智財閥特製御節料理となっ!?

こ・・・コレは初詣どころじゃねぇお。
チイ・・・オネーちゃんは、今、一刻も早く、このお節料理を拝みたいって思ってんだけど・・・。
  オネーちゃん、安心して。
チイもだよっ!!
あ・・・そ、ソレじゃ、初詣は・・・。
クロちゃん。
ナニ、初詣に変な遠慮してんの?
ソレどころじゃないでしょ?
・・・え・・・遠慮じゃないです・・・よね・・・。
よしっ!!
早速、御重の開封確認作業に入るよ!!
うんうん!
コタツにまで運び入れようよぉ!!
ちょっと!!
クロちゃんは、いつまで玄関開けっ放しにしてんの!!
寒いじゃないの!!
早く上がっておいでよ!!!
あ・・・は、はい・・・。
そ、ソレじゃ、柴田さんもよろしければお上がり下さい。
よろしいのでしょうか。
ソレでは御言葉に甘えて・・・。
あぎゃぁああぁぁぁぁああぁああぁぁあっ!!
な、な、なんぞ!!
なんぞ、コレはぁぁぁぁぁっ!!!
(ゴ・・・ゴクリ・・・)

す、す、凄いよ・・・凄いよぉ、オネーちゃんっ!!!
   凄いですね・・・。
こ、こ、こんな物を目の前にして食べないなんて、最早許されないお!!
チ、チイっ!!
早速御馳走になるお!!
  え・・・
あ・・あの・・・初詣・・・
クロちゃん!
神社は逃げないんだから、そんなの後、後っ!!
・・・逃げないっていうのなら御節料理だって・・・。
あ、そうそう。
これ、私から皆様へ・・・。
些少ですが、お年玉ということで。
  え?
チイがもらっていいの?
  私まで頂いて、よろしいんですか?
そ、そんなに喜ばれると、開けてガッカリされてしまうかも知れませんが・・・。
でも、黒田さんの分は預けておくつもりだったので、おみえになられたお陰で、こうして直接お渡し出来て私も嬉しいです。
ありがとうございます。
やっぱり幾つになってもお年玉って嬉しいものですね!
ですよね。

あ、藤さん。
これ少ないですけれど、私から藤さんへのお年玉です。
あけましておめでとうございます。
な、な、なんとっ!!
あたしにまでお年玉があんのかお!!
し、し、柴田さん・・・
あんまと、あんまとっ!!

んっ!?
なんで、あたしの分は2袋あるんだお?
1袋は、竹中さんの分です。
おみえにならないみたいですので、藤さんにお預けしておきますので、竹中さんへは藤さんから渡して上げて頂ければ、と。
・・・ほむ。

(・・・成程。
 ソレじゃコレは中身確認して、あたしの方で適正額にしとくか。
 ニッシッシッシッシ。)
ねぇねぇ。
せっかく美味しそうな御節があるんだし・・・
みんなで食べちゃおうよぉ!!
チ、チイちゃん・・・初詣に行ってからにしませんか?
いやいやいや、暖かいうちに食べないとね!
冷めてまったら、せっかくの御節が台無しだよ?
・・・御節は最初っから冷めているじゃないですか・・・
まぁまぁまぁ。
固いこと言わんと、早くオコタに入った、入ったっ!!
皆様、殊の外お喜びだった、と御嬢様にも御伝えしておきますね。
それでは、私はこれで。
ええぇぇーーっ!!
せっかく来てくれたんだし、柴田おねーちゃんも一緒に食べて行って欲しいよぉ。
いえ、御届け物をお渡しに来ただけですので、私は。
この後も御仕事があるのでしょうか?
でしたら、御引止めするのも御迷惑ですよね。
いえ、本日の仕事は、この御届け物を渡したら直帰して構わないとのことでしたので、特に予定はございませんが・・・。
あ、それなら、柴田さんも是非。
せっかくですし、この後一緒に初詣に行きませんか。
御誘い頂けるんですか?
それなら是非、御一緒させて欲しいです。
わわわっ! う、嬉しいです。
藤さんに、今年は新しい年だし遠慮せずに・・・って言葉を頂いたので、少し勇気を出して誘ってみたんですけれど。柴田さんが御快諾下さって・・・誘って良かったって思いました。
私の方こそ、思いがけぬ御誘いで嬉しい限りです。
御嬢様が御家族でお正月は海外に御旅行されてみえるので、元旦からの予定は特になかったんですよね。

あ、そう言えば、御嬢様からも、黒田さんはいつも少し遠慮がちだってお聞きしております。
藤さんではないですけれど、遠慮なんて御不要だと思いますよ。
うわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁっ!!
ど、ど、どうされたんですか!?
チイの方に置いた1段目の御重がぁぁぁあっ!!
  か・・・空っぽ・・・!?
だ、だ、大丈夫だよぉ。
オネーちゃん・・・。
ま、まだ御重は3段も残っているんだし・・・。
馬鹿もぉぉぉんっ!!
あたしは、数の子ちゃんを楽しみにしてたんだお!!
ナニ、お前、数の子ちゃんを全部独り占めしてくれちゃってんだお!!!
えーーっと、じゃ、じゃあ、コッチのタツクリは全部オネーちゃんので、いいよぉ。
お、おまっ!!
数の子ちゃんと、タツクリを等価交換なんて無法が、まかり通るとでも思ってんのかおっ!!!
えーーん、えーーーーんっ!!
ふ、藤さん・・・。
数の子でしたら、私の下宿の部屋に、実家からの仕送りで届いた物がありますから、少し御裾分けしますよ?
クロちゃん!!
遠慮はせんでええって言うたやないの!!
  え?
いや、だからソコはもう「少し」やなくって、「全部」あたしにくれちゃってええからっ!!!
・・・・いえ・・・ですから先程から「遠慮」の意味が、おかしいですから・・・。

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