憲法訴訟の意義、第三者の憲法上の権利の援用@ 
それじゃ、今日からは憲法訴訟の中心的な議論に入っていくわね。
おおおお・・・。
震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!』って感じすんね!!
あら、やる気じゃないの、嬉しいわ。
 
うんにゃ。
やる気は微塵もない。
ただ、この台詞が言いたかっただけだお。
  もうっ!
オネーちゃんは黙っててよぉ。
まったくだわ!
今日は、先ずは憲法訴訟とはナニ
っていう、入り口から抑えていくわね。

今更かも知れないけれど、民事訴訟法刑事訴訟法のような憲法に関する訴訟の法律はないわ。
実際、憲法訴訟法なんて法律は聴いたことないでしょ?
確かに、そうだね。
え!?
じゃあナニ?
憲法訴訟とかって言うけれど、現実には、そんなものはないわけ?
憲法訴訟はフィクションってこと!?
実在の人物・団体とは一切関係ございませんって例のアレ?
ちょっとナニを言い出すのよ。
だって、これまでだって憲法訴訟判例は見てきたわけでしょ?
憲法訴訟という言葉はあるし、現実に憲法訴訟と呼ばれる訴訟はあるわ。

この憲法訴訟の意義についてだけど。

憲法訴訟とは
特別の訴訟形態を指すのではなく、一般に何らかの憲法上の争点を含む訴訟の総称である。
 そこで憲法訴訟の裁判は、第一に通常の訴訟の場合と同じように、司法権の一般的制約に服し、その制約の範囲で行われる。
 そして第二に、議会・内閣といった政治部門との緊張関係の中で、それらの権限と立場に十分に配慮しながら行われる

ものであると説明されるわね。
野中俊彦・他『憲法T・U 第5版』 有斐閣 286頁)

この憲法訴訟に対する裁判所の態度には
@司法消極主義
A司法積極主義
という憲法訴訟に対して、消極的か、積極的か、という違いからの区別が存在し、我が国の裁判所の態度は、一般に@司法消極主義なものであると看做されているわね。

もっとも、樋口先生なんかは、我が国の裁判所について
最高裁は、たしかに違憲判断には消極的だが、憲法判断をすること自体については、全体として積極的であり
その結果として合憲判断を下すことに積極的
といったことから、憲法判断積極主義ではあるが、違憲判断消極主義であるとする評価をされてみえるわね。
樋口陽一『憲法【第3版】』創文社 2007年 461頁)
へぇ〜。
成る程、成る程って感じすんね、ソレ。
憲法訴訟の訴訟要件論の詳しい内容については、憲法の勉強会に入る前に紹介した野中俊彦・他『憲法T・U 第5版』 有斐閣の基本書の289頁から303頁を、しっかり読んでおいて欲しいわ。
・・・。
(聞こえない、聞こえないっと。)
憲法訴訟という訴訟形態はないってことよね。

ということは、我が国は、付随的違憲審査制度をとっているわけなんだから、まずは『法律上の争訟』(裁判所法3条1項たる事件であることが必要になってくるわけよね。
この『法律上の争訟と言えるか否か、というテーマについては、勉強会でも相当回を使って話したところだから大丈夫よね。

そして、民事・刑事、行政事件の各訴訟法が要求する訴訟要件訴訟条件が充足されていなければならないわ。
そして、これらの要件を満たし成立した訴訟において、憲法上の争点が提起された場合、その訴訟は、憲法訴訟と呼ばれるってことになるわけね。
そかそか・・・。
憲法訴訟なんて形態はないってことは、訴訟形態としては、民事か、刑事か、行政事件かって話になるわけね。
そうね。
そして、憲法上の争点を提起する憲法訴訟を起こすためには
まず当事者が違憲を主張する国家行為によって個人の法律上の利益を侵害されねばならぬことを要件とする。
 しかし、単なる法律上の利益の侵害だけでは十分ではない。
 それは当事者に対する現実的・実質的な侵害--いいかえれば、憲法訴訟においては、憲法上保護された権利・自由に対する直接かつ特別の侵害--でなければならない。
 したがって、個人的な法律上の利益に対する侵害の可能性だけでは十分ではない

とされるわ。
芦部信喜『憲法訴訟の理論』有斐閣 1973年 61頁)
・・・あれ・・・でも、おかしいなぁ。
チイは、当事者に対する現実的・実質的な侵害じゃなくっても、憲法上の訴えが提起できるって理解しているよ?
第三者の憲法上の権利の援用の話ね。
流石、チイちゃん、よく勉強しているわね。
ただ、下の図を見て欲しいんだけど・・・。
図のチイちゃんが、自己の権利侵害を、つかさちゃんを相手に争う
これが普通よね。
もう1枚、下の図を見て欲しいんだけど・・・。
図のチイちゃんが、図のナカちゃんの権利侵害を理由として、つかさちゃんに対して争うことが出来るのか
これが、第三者の憲法上の権利の援用の話になるわ。

でも、第三者スタンディング禁止の原則という考え方が、先ず前提になるのね。

つまり、第三者の憲法上の権利の援用は、原則としては認められないという理解になるわ。
その理由だけど、

@権力分立体制のなかでは、裁判所は自らの位置を配慮して、不必要な憲法判断を回避するため
A第三者の自律的決定を尊重するため
B第三者が、最も鋭利かつ効果的な主張をするであろうから、第三者が法廷に存在する場合のみ、裁判所はその法的権利につき判断すべきであるため


といったものが挙げられるわ。
成る程、成る程。
でも、なんかワカルよねぇ。
だって、あたしの憲法上の権利が侵害されとるって言って、チビッ子1号や2号が勝手に裁判して負けたら、それはそれで腹立つもんねぇ。
チビッ子1号、2号が誰と誰なのか言ってもらいたいです!
  ん?
秘密w
ぐぬぬぬぬぬぬぬ・・・。
そのあだ名は、私は大嫌いです!!
ちょっと、ナカちゃんに嫌な思いをさせてまで中断するのは、やめてくれない?

確かに、今、まとめたような理由から、原則として第三者の憲法上の権利の援用は禁止されているわ。

ただ、裁判所が、その裁量的配慮をする必要性がないと考えるときは、その例外・・・つまり、第三者の憲法上の権利の援用を認めることができるのね。
つまり、例外的に認められる場合がある、ソレってどういうとき
というのを学んでいこうってことになるわけね。
・・・うわ、なんかごっつ難しい話が始まりそうな予感が既にヒシヒシと。
うーーんと、そうね。
もう少し先まで進めておくべきかも・・・だけど、今日は引用紹介させてもらった大事な考え方も多いことだし、ここまでにしておこうかしらね。

次回からは、今日、最後に話した第三者の憲法上の権利の援用について学んでいくことにするわね。
新司法試験でも問われた重要な論点ですからね。
しっかり学びたいって思ってます!
私もしっかり理解しているか怪しいところあるからね。
あ、そうじゃないんじゃない?
って思ったら、ドンドン突っ込んで欲しいって思っているわ。
 掲示板等等でのツッコミも大歓迎です!)
おい! コラ!!
最近、うまいモン食わせてもらってねぇーぞ!!
なんか食べさせろや、コラっ!!
・・・そういう突っ込みはいらないから。

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