象徴天皇、皇位継承、国事行為 | ||
サルっ! 今日は、天皇制について勉強するわね。 今までの勉強と違って、天皇制は、具体的な制度だから、少しは解りやすいんじゃないかな? それじゃ、サルがどのくらい天皇制について把握しているか確認する意味で、質問しちゃうわよ。 質問! 明治憲法と、日本国憲法の下での天皇制の違いを言ってみて。 |
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天皇主権から、国民主権になった! | ||
合ってるけど、相変わらずザックリとした答えなんだからぁ。 その言葉を内容的に理解してるのかしら? 天皇主権から国民主権に転換したことで、天皇の地位が主権者である国民の総意に基づくものとなった・・・ってことよね。 つまり、そのことにより、天皇制は絶対的、不可変更的なものではなく、国民の総意により可変的なものとなったわけよね。 また、天皇の地位が、主権者から象徴へと変化したことで、天皇はいかなる政治的権力をも行使できず、また、政治的表現をはじめ多くの権利が制約されることとなったわけ。 |
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そうかぁ。 天皇陛下って、いつもユックリ話すから、なんでだろ?って思っていたんだけど、自分の発言が政治的表現を含むものにならないよう吟味して話しているからなんだ! |
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まぁ、それだけじゃなくって、記者の人への配慮とかもあると思うけどね。 聞き取りやすいように気を遣ってみえるんじゃないのかな? でも日本の政治家は、舌禍事件も多いから、陛下のように発言を吟味することは見習うべきよね。 |
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天皇制の違いは、まだ他にもあるわよ。 かつては、憲法と皇室典範とが並列的関係にある国法二元主義がとられていたけれど、今は国法一元主義に転換されたわ。このことにより、皇室典範が憲法体系のもとにおかれることとなり、皇室自律主義も否定されることとなったのよ。 このことにより、天皇大権が否定されることになり、内閣の責任政治が確立し、天皇の権限を内閣の監督責任の下におくことで、立憲主義を完全なものとすることができるようになったのよ! |
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なるほど、なるほど。 今日のは、よくワカル。 ウキキキっ! |
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じゃあ、質問しちゃうわよ? サルも、今の天皇陛下のことを象徴天皇って呼ぶことは知ってるわよね? じゃあ、この「象徴」の意味は知ってる? あ、憲法第1条を見て考えてくれていいわよ。 |
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1条を、まず見てみよっと。 『第1条【天皇の地位・国民主権】 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。』 象徴って、例えば「鳩は平和の象徴」って感じで使う言葉だよね。つまり、本来は、抽象的や無形的なものを、具体的、有形的なものをつかって表す言葉でしょ? え? この「象徴」の意味を考えるってどういうこと? よくワカラナイんだけど・・・ |
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ちょっと難しかったわね。 でも、しっかり考えてくれたことはいいことよ。 この「象徴」の法的意味については、確認説と、創造説とがあるの。 確認説は、憲法1条は、かつて権力の衣を纏っていた象徴的性格をも有していた天皇が、権力の衣(上図での赤い服)を脱いだことを確認するものであるとする考え方をいうの。 これに対して、創造説は、旧憲法とはまったく異なる新たな象徴天皇制を創設したのであるとする考え方なの。 |
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そんな答え、あたしが出せるわけないじゃん! 聞く質問がえげつないよ、光ちゃん! |
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だって、聞いてばかりじゃサルがサボるんだもん。 適度に頭をつかってこその勉強よ! じゃあ、次は皇位継承について、まとめるわね。 「皇位」というのは、国家機関としての「天皇の地位」をいい、その「継承」というのは、それまでの天皇の地位から、新しい天皇の地位に、新しい人がつくことをいうのよ。 まぁ、これは説明不要だったかな? じゃあ、憲法2条を六法で確認してみて。 |
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2条ね。了解っ! 『第2条【皇位の継承】 皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。』 なんか継承って、格好いい言葉だね! 北斗神拳みたいだよ! 北斗神拳継承者は、一子相伝なんだよ!! |
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ナニそれ? またマンガの話してるの? ホクトシンケン? ソレは知らないけど、天皇の皇位継承は、万世一系なのよ。 ソレも125代世襲されている万世一系なのよ、凄くない? ところが、この万世一系の世襲であることが、憲法14条との関係で問題になるのよね。 憲法14条は、「法の下の平等」を述べているわよね。つまり、男女平等ってことになるんだけど、そうなると、天皇を男系男子のみとして、女子の天皇即位を否定することは、この男女平等の原則に反するのではないか、という問題になるわけよ。 サルはどう思う? |
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あ、それって最近、愛子様のことで話題になってたよね? うーん、よくワカラナイ・・・。 |
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頭つかってよ! もぉっ! 皇室典範1条は、『皇位は皇統に属する男系の男子がこれを継承する。』としているのよね。 ただ、先の説明のとおり、今は国法一元説がとられているため、皇室典範も憲法のもとにおかれているわけだから、憲法に反する皇室典範は認められないこととなるわ。 そうなると、男系男子から男系男子への世襲制をとり、女子の天皇即位を否定することは、本来、民主主義の理念及び平等原則に反するものとも考えられることとなるわ。 でも、憲法は2条で「皇位は世襲のものである」と定めているわよね。そうすると、日本国憲法は天皇制を存置するためには必要であると考えて、世襲制を規定したものと考えられるわ。 したがって、世襲制を認めている以上、女子の天皇即位を否定する男系男子主義を採用することも、憲法14条の男女平等の原則の例外として許される、と考えることができるということとなるわけよ。 |
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へぇー。 愛子様の話題では、そんなことも議論されていたのかぁ。 勉強になるねぇ。 |
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勉強しているのに、勉強になるねぇって、ナニよ、それは! 当たり前じゃないのよ! じゃあ、次は天皇の権能について説明するわよ。 六法で、憲法4条ををひいてみて。 |
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・・・・・・あ、そろそろ集中力が。 やべ。光ちゃんに怒られてまうお。 4条ね。うんうん。4条、4条っと。 『第4条【天皇の権能の限界、天皇の国事行為の委任】 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。』 ん? 国事に関する行為ってナニ? |
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国事に関する行為、というのは「国事行為」のことよ。 具体的な国事行為の内容については、憲法6条、7条(4条2項も含まれるとされる)にあって、その内容から判断するに、国事行為とは、政治(統治)に関係のない形式的・儀礼的行為をいうものといえるわ。 この権能(国事行為)行使の要件は、「内閣の助言と承認」よ。憲法7条の柱書を読んでみて。 |
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7条・・・あい、あい。 『第7条【天皇の国事行為】 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。』 あ、ホントだ。 「内閣の助言と承認により」って言うとるお。 |
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その「内閣の助言と承認」と国事行為の実質的決定権の問題が論点になるの。 少し難しいから、ちゃんと聞いててね。 コレは、「内閣の助言と承認」が、実質的決定権を含むものなのか、含まないものなのか、という議論よ。 含まないと考える説は、天皇の国事行為は、すべて形式的・儀礼的行為であり、「助言と承認」は、そのような形式的行為に対して行うことが要求されているものとするの。 これに対して、実質的決定権を含むと考える説は、内閣が「助言と承認」を行う前提として、行為の実質的決定を行っても、その結果として天皇の行為が形式的・儀礼的なものになるならば、憲法の精神に反しないとするものなの。 例えば、憲法7条3号にいう「解散権」。 「衆議院の解散」という国事行為に対する「内閣の助言と承認」(実質的決定権)を根拠として、内閣の自由な解散決定権が認められると考えるわけね。 |
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・・・・。 少しどころか、相当難しいお。 あのねぇ。光ちゃん。 あたし、カスタードクリーム一杯詰まったシュークリームが食べたひ。 |
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ちょっとサルっ! ナニわかりやすい現実逃避しちゃってんのよ! |
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違う、違うよ。 糖分が足りないから集中力を欠いているんだなぁ、って思ってさぁ。 まだまだ勉強したいから、ここで燃料入れとこーって思ったんだお。 |
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あ、それじゃ続きは駅前のお店でする? あのお店のシュークリームは秀逸だもんね。 |
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うわっ・・・ まだやる気なんだ・・・ ちょっと、あたしもフリ間違えたかなぁ・・・ |
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サルのやる気は嬉しいから、シュークリームは私が買ってあげるわよ! | ||
・・・。 (シュークリームだけ貰って帰りたいなぁ・・・ 多分、ソレはダメなんだろうなぁ・・・) |
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