議院内閣制@ | ||
年末年始は、パンケーキやら、パンドーロやら、お汁粉やらで少し甘い物ばかり食べ過ぎていたような気がするわね・・・。 べ、べ、別に体重が気になるってわけじゃないけれど、あんまり甘い物ばかりって言うのも、どうかなっとは思うわよね。 |
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あたしは別に何とも思ってないお? 甘い物と言えば、最近は、ネージュ・ブロンシュも御無沙汰だし、今日あたりどうだお? |
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そうね、ネージュ・ブロンシュも最近あまり行ってないわね。 ただ、今日は判例検討もないし、つかさちゃんも居ないから、またの機会にした方がいいわよね。 |
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クロちゃんなら自習室におったお。 クロちゃん居ないからネージュ・ブロンシュに行かないってのなら呼んでくるお! |
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つかさちゃんには、つかさちゃんの学習計画があると思うから。 そういう自分の都合で、他人に迷惑かけるのは、どうかなって思うわ。 あんたも少し、つかさちゃんに甘えすぎているとこあるから自重しなさいよね。 |
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オイ・・・素直に言えお! 年末年始に美味いもんばっか、たらふく喰って、いい感じに脂肪つけちゃったんだろ? |
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そ、そ、そんなことないわよっ!! ホント、今日だって判例検討のある勉強会なら、つかさちゃんも参加しているだろうからネージュ・ブロンシュで勉強会もいいなぁって思っているんだからね! |
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じゃあ、次回以降の判例検討回には、ネージュ・ブロンシュで勉強会ってことでいいよね? | ||
そ、そ、そうね・・・。 (まぁ、私はコーヒーをブラックで頂くことにすればいいだけだし。 あぁ・・・でも、目の前でサルに美味しいケーキを食べられたら、私も欲しくなっちゃうかも・・・。あぁぁあぁぁぁぁ。) |
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はぁはぁ・・・。 遅れて、すみませんでした。 |
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ナカたん! 今度の判例検討あるときの勉強会はネージュ・ブロンシュ行けるよ! やったね!! |
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あ・・・もう固定路線なんだ。 なんでサルは、あんなに食べてるのに全然太らないんだろ・・・。 世の中不公平だわぁ・・・。 えーっと、ナカちゃんも来たことだし、今日の勉強会始めましょうか。 今回と次回の2回で、議院内閣制について勉強することにするわ。 内閣の論点は、この議院内閣制で、大体おしまいになるわね。 |
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判例検討は? 判例検討はあるの? ないの? |
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今回はないけれど、次回の論点には、百選掲載判例があるけれど、まぁ、各自で確認しておくっていうのもありじゃないかと私は思うんだけど、どうかしら? | ||
検討判例があるのなら、一緒に検討させてもらえると嬉しいです。 正直、百選を読むのは、まだ難しいです。 |
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そうだよね、そうだよね。 せっかくの勉強会だもんね。 |
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いつもグリーンマイルだ、長いだ、と文句しか言わないくせに・・・。 こういうときだけ都合がいいんだから・・・。 はいはい! もう諦めました! 次回の勉強会には、検討判例ありますから、ネージュ・ブロンシュで勉強会しましょうかっ! 言っとくけど、これだけ判例検討を煽った以上は、いつもみたいな態度だったら許さないからねっ!! じゃあ、そろそろ今日の勉強会の本題に入るわね。 議院内閣制・・・ってナニ? って話から始めようと思うわ。 議会(=立法)と、政府(=行政)との関係は、国ごとに様々な形をとっているの。 主だったところを挙げていくと、大統領制、議院内閣制、議会統治制などがあるわけね。 わが国(=日本)は、このうちの議院内閣制であると解されているわ。 |
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よし。 ワカッタ! 後は次回に廻すことにして、終わっておこう! ネージュ・ブロンシュの滞在時間を少しでも多くすることにしよう! |
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ナニ言ってんだか・・・。 一応、それぞれの立法権と行政権との関係について簡単に述べておくと・・・。 大統領制は、行政権の首長である大統領は、議会に対して政治責任を負わず、議会が大統領によって解散されることもないというものね。 また、大統領は議会によってではなく、有権者によって公選されるわ。 このシステムをとっている国の代表例としてはアメリカ合衆国よね。 議院内閣制は、行政権を担う内閣は議会に対して政治責任を負い、かつ、議会の少なくとも一院が解散されることが通例となっているわね。 わが国(=日本)は、このシステムをとっていると解されているわけ。 その根拠は、憲法67条、68条1項但書、66条3項、63条、69条、70条などに現れているとされているわ。 最後に、議会統治制は、議院内閣制とは異なり、行政権を担う内閣は辞職の自由を持たず、つねに議会の指令に従う必要があるというものね。 このシステムをとっている国としてはスイスが挙げられるわね。 |
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こくこく(相槌) | ||
また、議院内閣制は、歴史的変遷を遂げているものでもあるのね。 かつて国王が大臣の任免権をもっていた19世紀においては、内閣は議会と国王の2つに対して政治責任を負っていたの。 そのため、内閣の基礎が2つの権力(国王と議会)により支えられている政体であったことから、二元型議院内閣制だったわけ。 でも、その後、国王の権力が名目上のものとなり、内閣は議会に対する政治的責任のみを負うことになっていくわ。 このような内閣の基盤が一つ。つまり、議会のみに依拠している政体である一元型議院内閣制へと移行していったわけ。 日本の内閣も、天皇に対して政治的責任を負っているわけではないから、この一元型議院内閣制といえるわよね。 |
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OKOKっ! 大変よくワカリますた! よし、今日はここまでだお!! |
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藤先輩・・・。 まだ始まったばかりです。 もう少し落ち着いて聞いて下さい。 |
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そうよねぇ。 あんた、年下のナカちゃんを見習いなさいよ! 少し説明が言葉足らずなところがあるから、ココは質問をして理解を促すことにさせてもらうわね。 旧司法試験の択一からの質問になるけれど・・・質問! 『議院内閣制は、議会と政府の間の厳格な権力分立を特徴とする大統領制や、議会に権力を集中することによって政府の独立性を弱めてしまう議会統治制とは区別され、議会と内閣との柔軟な権力分立を特徴とする。 また、議院内閣制は、内閣と主権者国民との間に議会を位置づけることで、民主制原理を内閣にまで及ぼす一つの形態となっている。』 (旧司法試験 平成20年択一問題より) 正解は○? それとも×? |
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・・・マ、○? でしょうか? |
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正解っ! 択一の肢別の正解文章は、短く、その論点についてのまとめになっているという特徴があるから、しっかり読んで理解するといいわ。 「成程、成程」って感じでね。 問題文が述べているように、議院内閣制の特徴は『議会と内閣との柔軟な権力分立を特徴』としているのよね。 また同様に、議院内閣制は、『内閣と主権者国民との間に議会を位置付けることで、民主制原理を内閣にまで及ぼす』という民主的コントロールを重視するシステムだといえるわね。 まぁ、このあたりの理解は、この後に話すつもりの議院内閣制の本質の議論の話にも踏み込んでしまっているんだけどね。 |
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問題文を、後でもう一度しっかり読んでおくです! | ||
そうしてくれると理解も深まると思うわ。 因みに、議院内閣制について、解散権による分類を図ることもなされているわ。 この解散権による分類によれば、 政府優位型と呼ばれる、内閣が議会の不信任に対抗する形ででも、内閣の裁量ででも議会を解散できるというものと。 (イギリスなどが代表例) 議会優位型と呼ばれる、憲法上解散権は存在したものの死文化し、議会による不信任決議があれば自動的に総辞職することとなってしまっていたものとがあるわね。 因みに、この議会優位型の代表例としては、フランス第三共和制が例として挙げられるわね。 言うまでもなく、日本は政府優位型ってことになるわね。 俗にいう『7条解散』とかしているからワカルとは思うけれどね。 |
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なんかアレだね・・・。 抽象的な議論ばっかだね。 |
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仕方ないじゃないの。 そんな文句言ってたら、次の論点なんて、もっと抽象的な話よ? ただ、択一でも問われるところではある以上、スルーするってわけにはいかないんだけどね。 議院内閣制の本質について・・・という論点ね。 議院内閣制の本質については、 均衡本質説 と 責任本質説 とがあるわ。 均衡本質説によれば、議院内閣制の本質は、内閣が解散権をもつことで、内閣と議会とが拮抗できることにある、と説かれるわ。 責任本質説によれば、議院内閣制の本質は、内閣が議会に政治的責任を負っていることにあり、解散権の有無は問わない、と説かれるわね。 解散権の根拠をどう考えるのか、という視点で、両者は大きく異なるということになるわね。 因みに、ここでは均衡本質説からの発展的議論として、国民内閣制という考え方も遡上に上がることになるんだけれど、そこまでは問われないって思っているから割愛しとくわね。 ・・・うーん、でも新司の択一科目が3科目になったし、問題の難易度もググっと上がっちゃうからなぁ・・・どうなのかしら? |
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知らねぇお。 | ||
冷たい返しね・・・。 解散権の有無を問わない、とする責任本質説については、もう少し説明が必要よね。 責任本質説は、民主的抑制の要請こそが、議院内閣制の意義であると考えるわけ。 『議院内閣制とは、国会と内閣の関係において、国会に、内閣の在立を左右するほどの優位が認められ、内閣の成立と存続とが国会の意思に依存せしめられている制度をいう。 これによって、行政部は、かなり強く立法部のコントロールを受け、したがって、権力分立制はゆがめられることになるが、そのかわり、そこには、国民ー議会ー内閣という直線的連結が民主主義の実現に適するばかりでなく、行政部が、立法部と密接に結びつき、立法部を背景として、これと共動することによって、その行動に柔軟性と弾力性とが与えられ、国政のより円滑な能率的遂行が期待されるという利点が考えられる』 (清宮四郎『憲法T【第3版】』有斐閣 1979年) と説明されるところね。 |
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難しいおっ!! | ||
じゃあ、ここは司法試験の択一問題を幾つか考えるってことで、この論点の理解の定着を図ることにしましょうか。 まぁ、似たような問題を幾つか解いていると、少しずつでもワカッてくるものだからね。 質問! 『責任本質説によると、内閣が衆議院の解散を決定できるのは憲法第69条の場合に限られることになるから、均衡本質説の方が日本の議院内閣制を民主的に機能させることができる。』 (旧司法試験 平成18年択一問題より) 正解は○? それとも×? |
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責任本質説は、議院内閣制の本質は、内閣が議会に政治的責任を負っていることにあり、解散権の有無は問わないって言ってるだけでしょ? 『内閣の解散が決定できるのは憲法第69条の場合に限られる』なんて言ってなくない? えーっと、つまり、間違っているから×かな? |
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アラ、珍しいっ! まともに理由まで答えて、正解を導くなんて! そうね。正解はサルのいうとおり問題文は誤っているから×ね。 責任本質説は、サルがいうように議院内閣制の本質は、内閣が議会に政治的責任を負っていることにあり、解散権の有無は問わないとしているだけであって、解散権を積極的に否定しているわけではないわ。 だから、7条解散だって肯定しているんだから、69条の場合にしか解散できない、とする文章は誤りということになるわね。 |
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すみません・・・さっきも明智先輩が言っていたんですけど、7条解散というのが、よくワカラナイです。 | ||
あ、ゴメンね。 解散については、次回の勉強会で、解散権についてしっかりやる予定だから、そこで説明することになるわ。 まぁ、ザックリした説明だけしておくなら、憲法7条による衆議院の解散を、7条解散って言うのね。 因みにだけど、衆議院の解散は殆どが、この7条解散なのよね。 |
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あ、あたし、ソレ以外の解散知ってるぅ。 バカヤロー解散とか、神の国解散とかでしょ? |
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よく知っているわね・・・と言いたいところだけど、ソレ違うから。 今、あんたが言った「バカヤロー解散」も「神の国解散」も7条解散だからね。 ソレは、あくまでも解散の原因となった発言などから付けられた俗称や通称だから。 |
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うわ・・・。 たまには、あたしも知ってるアピールできるかと思ったのに。 |
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そんなアピールしなくったって、真面目に勉強アピールしてくれればいいから! じゃあ、最後にもう1問出しちゃおっかな。 さっきのサルの回答良かったしね。 質問! 『議院内閣制に関する責任本質説は、内閣の国会に対する連帯責任、衆議院の内閣不信任決議権、内閣の衆議院解散権を、議院内閣制の必須の要素としている。』 (新司法試験 平成20年択一問題より) 正解は○? それとも×? |
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あ、コレ、マヂでワカッちゃった! エヘへへへ。 ナカたん、答えていいよ。 |
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うう・・・ソレなら私も是が非でも当てておきたいです! えーっと・・・○でしょうか? |
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はいっ!! ざぁ〜んねぇ〜んっ!!! 正解は×でしたぁ〜っ!!! ダメだねぇ、チビっ子は! もうホント、ぜっんぜんワカッてないんだから、イヤんなっちゃうお。 ドコをどう考えたら、○になるのか逆に教えて欲しいよねぇ〜。 責任本質説は、議院内閣制の本質は、内閣が議会に政治的責任を負っていることにあり、解散権の有無は問わないって言ってるわけでしょ? なのに問題文は『責任本質説』は『内閣の衆議院解散権を、議院内閣制の必須の要素としている。』なんて寝言こいてんだよ? いやぁ、まさかこぉぉぉんな簡単な問題で間違える人がいるなんて、いや斬新だよねぇ〜。 なになに? 狙っちゃった? ウケ狙っちゃったっ!? |
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ぐぐぐぐぐぐぐぐ・・・。 | ||
ちょっと!! サルっ!! あんた、どんだけ言うつもりなのよっ!! たまに合ってたからって、よくもまぁ、そこまで言えるものよね! |
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く、く、悔しいです・・・。 まさか、ここまで言われるなんて・・・。 |
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ナカたん・・・。 コレも、ナカたんが、その悔しさをバネに奮起してくれれば、という思いからだお? |
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・・・嘘くさぁ〜い。 | ||
そりゃ、そーだお。 だって嘘だもーん! |
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ぐぐぐぐぐ。 (このうらみはらさでおくべきか・・・です・・・。) |