国会の活動 | ||
今日の勉強会のテーマは、国会の活動ね。 国会は、1年中活動しているってわけじゃないの。 つまり、国会が活動能力を有するのは、議員の任期中の常時ではなくって、一定の期間に限られているのね。 そして、この一定期間のことを「会期」っていうの。 |
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夜の鏡の前に立ったら、あたししか居ないはずなのに、背後に人の姿がっ! 車のヘッドライトが、誰もいない路上に、人影だけを写しているっ! コンビニエンスストアの防犯カメラに映った女性の顔は、口が耳まで裂けていたっ! |
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ひぃぃぃぃぃぃっ!!! | ||
ナニを言い出すのよ、あんたは。 | ||
怪奇っ! |
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だ、だ、ダメですぅぅ。 私は、怖いのは苦手ですぅぅ。 |
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死んだはずの爺ちゃんが、夜、目を覚ますと、ずっとあたしの顔を覗き込んでいるっ! 神社に御参りに行った友達が、それっきり姿を見せなくなったっ! 産まれたての赤ちゃんが、「お前は今晩死ぬよ」って歯も生えていない口で話しかけてきたっ! |
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あうあうあうあうあうあうああうあうあうあうあうあうあうっ! | ||
しつこいっ!! ナカちゃん、嫌がっているんだから、やめなさいよ!! |
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・・・。 (嫌がっているんだから、やりたいんじゃないかお。 コイツ、なんもワカッテないんだから、イヤんなっちゃうお。) |
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怪奇じゃなくって「会期」だからね! この国会の会期制度については、憲法上の明文規定はないわ。 でも、憲法52条、53条、54条1項に、それぞれ、常会、臨時会、特別会の規定があるのよね。 このことから、憲法は、会期制度を予定していると解されているわ。 会期の種類だけど、今いった3種類になるわね。 つまり 常会(憲法52条) 臨時会(憲法53条) 特別会(憲法54条1項) の3種類ね。 |
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国会議員は、税金を貰っているのに、会期なんて設けて、働かない期間があるなんて、けしからんお! | ||
学生なのに、勉強しないなんて、けしからん・・・ って自分に対しても憤りを感じて欲しいものだけどね。 まぁでも確かに、常識で考えると、会期を設けて働かない期間があるのは、どうなの? っていう疑問はあるかもね。 でも、この会期制度には、重要な意味があるのよね。 会期制度には、次の2つの原則があるわ。 会期不継続の原則 と 一事不再議の原則 ね。 会期制度と、この両原則とを考えると、何故会期制度が設けられているのか、ということがワカルと思うわ。 |
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あうあうあうあう。 ま、ま、まだ震えが止まらないです。 |
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11月に入って、大分、寒くなってきたもんね。 (2014.11更新) |
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なにを、さも季節のせいにしてんのよ! あんたのせいじゃないの!! えーっと、それじゃ、まずは会期不継続の原則の説明からするわね。 会期不継続の原則とは、会期ごとに国会の意思は、各々独立しており、前の会期の議会意思は、後の会期には継続しないという原則ね。 |
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あぁ。知ってる、知ってる。この原則。 でも、この原則いるかなぁ? この原則のせいで、散々時間つかって討議した法案が、国会の会期終了ってことで、議決に至らずに廃案になっちゃうわけでしょ? |
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そうね。 サルがいうような批判も有り得るところよね。 ただ、逆に、会期切れによって廃案に追い込む・・・というのは少数政党にとっては大きな抵抗手段といえるわ。 国会中継で、見たこともあるかも知れないけれど、「牛歩戦術」というのも、この会期切れがあればこその議会戦術だからね。 そうなると、会期は重要ということも言えるわよね。 もっとも、会期を延長して、廃案に追い込もうとする側にとって不利に働く対応策もあるわけだけど。 また、会期不継続の原則があればこそ、より煮詰めた議論も可能となる、という意見もあるわ。 |
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成程ねぇ〜。 まぁ、確かに、「牛歩カード」を敢えて目的地駅の直前で使ってゴールインを狙ったりすることもあるからなぁ(ゲーム『桃鉄』より)。 要は、使い方次第ってことなのかなぁ。 |
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・・・恐ろしく意味のない同意をしているです。 一体、ナニが「成程ねぇ」なのかサッパリです! |
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給食で肉料理が出るたびに、生徒数が減っていく小学校・・・。 トンネルの中なのに降り止まない雨・・・ 鍵をかけずに出掛けたのに、帰宅したら中からチェーンロックまで・・・ |
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? ・・・ソレは怖くないで・・・ |
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あうあうあうあうあうあう! ちょっと考えたら、どれも怖くなってしまったですぅぅぅ! |
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え? なんで、なんで? ナニが怖いの? よくワカラナイんだけど。 |
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光ちゃん、頭固いからなぁ。 まぁ、別に解説するまでもない話だから、ワカラナイなら、それでいいんじゃない? |
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なんか面白くないわね。 ちょっと話が頓挫しちゃったけれど、この会期不継続の原則に対しては、 『この原則の功罪をめぐっては、多大な労力を費やした法案が廃案になることに鑑みて、その抜本的な見直しが説かれる一方で、それは少数派の合法的な対抗手段であるという側面も強調される』 という指摘もあるわね。 (大隈義和編『憲法U』法律文化社 170頁) |
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うんうん。 ドッチも納得いくかな。 |
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ナカちゃんが、さっきから震えてばっかりで、勉強会に参加できていない気がするんだけど、先に進めちゃっていいのかな? 会期制度における、もう1つの原則である一事不再議の原則とは、ひとたび議決した案件については、同一会期中には再び審議しないという原則ね。 この原則の例外には、憲法59条2項があるわ。 六法で、憲法59条2項を確認してくれる? |
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ナカたん、ナカたん。 出番だよ? |
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あうあうあうあうあう・・・。 震えのせいで、うまく六法がめくれないです。 |
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世話がやけるなぁ。 日本国憲法第59条2項。 『第59条【法律案の議決】 2項 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。』 |
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あうあうあうあうあう。 ふ、ふ、藤先輩のせいです! |
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そうよねぇ? ナニが、世話がやけるなぁ、よ! 自分のせいで、こうなっているっていうのに、なんて言い方よ! 会議の開閉については、特に論点はないわね。 開会についてだけど。 天皇による召集は、内閣の助言と承認により行われ(憲法7条2号)、その実質的決定権は内閣に属するってことになっているわね。 臨時会については。 内閣の決定の他、いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったときは、内閣は臨時会の招集を決定しなければならない(憲法53条)とされているわね。 休会については。 会期中に、国会または一議院が議決によって、その活動を休止することと、国会法15条に定めがあるわね。 閉会については。 閉会までに議決に至らなかった案件については、会期不継続の原則が適用されるっていうことは、先の説明の通りよね。 |
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ふむふむ。 | ||
ナカちゃん、大丈夫? 少し待っていた方がいい? 会議の原則についての説明しちゃうけど、いいかしら? 定足数 と 表決数 というものがあるんだけど。 ナカちゃん、少し待ってようか? |
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だ、大丈夫です。 ようやく震えが収まってきました。 |
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それなら、再投下するまでよ! | ||
いい加減にしなさいよっ!! 勉強会進まないじゃないのよ! えーっと、定足数というのは、会議体において、会議を開き、審議を行い、そして議決するために必要な最小限の出席者数をいうのね。 本会議における定足数については、憲法56条1項に定めがあるわ。 六法で、憲法56条1項をみてくれる? |
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明智先輩、ありがとうございます。 ・・・藤先輩、「この恨みはらさでおくべきか」です・・・。 日本国憲法第56条1項。 『第56条【定足数】 1項 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。』 |
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ん? ん? 今、ナニか不穏当な発言があったような、なかったような。 |
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気のせいじゃない? そんなことより。 定足数は、『各々その総議員の3分の1以上』とされているわよね。 ・・・と今、サラっと言ってしまったけれど、この『総議員』については、2つの考え方があるの。 法定議員数説 と 現在議員数説 の2説ね。 先例としては、法定議員数説がとられているわ。 法定議員数説をとる理由としては、@定足数が一定であることから、ある時点における定数を捉えることが容易であること、Aもともと3分の1という低い数が定められているのであるから、それをさらに緩やかにするような解釈は望ましくないこと等が挙げられるわね。 尚、この定足数を欠く議院の議決は、憲法56条1項違反により無効となるわ。 但し、定足数を欠いているか否かの認定は、議院の自律権に属し、裁判所の審査権は原則として及ばないこととされているわね。 (最高裁昭和37年3月7日大法廷判決) |
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こくこく(相槌) | ||
次に、表決数ね。 表決数というのは、会議体において、意思決定をするのに必要な最小限の賛成者数をいうわ。 比例相対多数、絶対多数(いわゆる過半数)、特別多数、といった考え方があるところだけれど、憲法は、絶対多数(過半数)主義を採用しているわね。 一応、六法で確認しておきましょうか。 憲法56条2項を見てくれる? |
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日本国憲法第56条2項。 『第56条【表決】 2項 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。』 |
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この『出席議員』の中に、棄権者や無効(いわゆる白票)投票者を算入すべきか否かについては、算入説と、非算入説とがあって、先例上は、必ずしも一義的な取り扱いがなされていないんだけど、多数説としては、算入説による理解になるかしらね。 私は、この取り扱いについては、議院自律権に委ねられていると理解しているんだけどね。 |
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・・・。 (やべぇお。 チビっ子に、怪奇話して、また恐怖のドン底に叩き込んでやりたくって、たまらねぇお。) |
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会議の公開についても説明しておくわね。 本会議は、公開が原則ね。 これは憲法57条1項にも定められているわ。 ここでの『公開』は、会議録の保存・公表・頒布にとどまらず(憲法57条2項)、国民による傍聴の自由および報道機関による報道の自由も含むものと解されているわね。 六法で、憲法57条1項を見てくれる? |
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日本国憲法第57条1項。 『第57条【会議の公開】 1項 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。』 |
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そうね。 本会議は公開が原則。 この例外は、憲法57条1項但書きにある秘密会ね。 あ、ついでに委員会については、これは非公開が原則ね。 これは、国会法52条1項に定めがあるわ。 ただ、実際には、YouTube等に動画が上がっているんだけどね。まぁ、これは例外ということになるわけよね。 うん。今日はここまでにしておこうかしら。 |
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ねぇねぇ。 ナカたん、ナカたん。 今日は一緒に帰らない? |
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藤先輩の考えていることなんてお見通しです! 絶対にお断りです!! |
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・・・。 | ||
(家路に着こうとした竹中半は、気付くと自分が墓地の真ん中に立っていることに気付いた・・・。 来たはずの道を振り返ると、後ろは切立った崖・・・。 しかし、周囲は濃い霧に包まれていて、何も見えない・・・。 狼狽する彼女の肩を、背後から掴む腕がっ!! ) |
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ひぃぃっ!!! | ||
ちょっとっ!! あんた、ナニやったのよ!! |
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いやいやいや。 とんだ濡れ衣だお。 御覧の通り、ナニもしていないじゃないの。 (コレはいいお! 面白いお!! ) |
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ヒドいです。 ヒドいです。 藤先輩はヒドいです。 |
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ウキっ! |