東京地裁昭和55年7月24日判決
〜日商岩井事件〜
  事案は、さっきも言ったけれど、ちょっと再現に不向きだから、説明という形にさせてもらうわね。

航空機疑惑に絡む不正事件の捜査過程で、民間航空機等の売り込みのために、日本側代理店だった日商岩井が、元防衛庁長官に対して5億円を贈ったことが問題になった事件なの。

この問題で参議院予算委員会が国政調査権をつかって、関係者らを同委員会に証人喚問したんだけど、そこで証人が証人として宣誓したにもかかわらず、それぞれ自己の認識に反する陳述をしたことが問題となったの。
  ん?
事案再現していないせいかな?
この事件の争点が、よくワカラナイんだけど・・・。
あ、少し私の説明に問題があったかしら・・・

参議院予算委員会の証人喚問によって証言をすることになった日商岩井の副社長らの証言に、証人ごとの食い違いがあったの。

そのため、委員会で、彼らが虚偽の証言をしたのではないか?
という疑いが生じることになったのね。
そこで、宣誓したのに虚偽の証言をしたということで、議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律違反という罪が、彼らの罪に加わることになったわけ。

この罪に対して、証人喚問を受けた日商岩井側から、この参議院予算委員会の証人喚問は、国政調査権の範囲を逸脱するもので違法だ、という反論がなされたっていう経緯があるわけ。

つまり、この事件での憲法上の争点は、

国政調査権の及ぶ範囲はどこまでか

そして、勉強会とのテーマと絡めると、

国政調査権と検察権との関係での限界は、どこにあるのか

ということになるわね。
  うん、ワカッタ。
・・・っていうか、最初っから、そうやって丁寧に説明しとけばいいのに・・・って思ったけれど、それは敢えて言わないね!
言ってる、言ってる。
思いっきり言ってる。
 
  あ、でも私も今の説明のお陰で、よくワカったです。
藤さんは、いつも竹中さんの目線を大事にして下さっているんですよね。
他人の気持ちを大事にされる藤さんが素敵です! 
バレちゃった?
(嘘つきなさいよっ!
 完全に自分目線での発言だったくせにっ!)

判旨は次のものね。

憲法第62条所定の国政調査権は、議院等に与えられた独立の権能ではなく、議会又は議院の憲法上の諸権能を有効適切に遂行するために必要な派生的、補助的権能であると解する補助的権能説のが一般であるところ、予算委の所管事項は「予算」のみであり〜中略〜予算委における国政調査の範囲は、他に特別の議案の付託を受けない限り、本来の所管事項である予算審議に限定さるべきことは、所論指摘のとおりである。

〜中略〜

そして、如何なる事項が当該議案の審議上必要、有益であるかについては、議案の審議を付託されている議院等の自主的判断にまつのが相当であり、議案の審議に責を負わない司法機関としては、議院等の判断に重大かつ明白な過誤を発見しない限り、独自の価値判断に基づく異論をさしはさむことは慎しむのが相当である。

〜中略〜

国政調査権の行使が、三権分立の見地から司法権独立の原則を侵害するおそれがあるものとして特別の配慮を要請されている裁判所の審理との並行調査の場合とは異り、行政作用に属する検察権の行使との並行調査は、原則的に許容されているものと解するのが一般であり、例外的に国政調査権行使の自制が要請されているのは、それがひいては司法権の独立ないし刑事司法の公正に触れる危険性があると認められる場合

(たとえば、所論引用の如く、
(イ)起訴、不起訴についての検察権の行使に政治的圧力を加えることが目的と考えられるような調査、
(ロ)起訴事件に直接関連ある捜査及び公訴追行の内容を対象とする調査、
(ハ)捜査の続行に重大な支障を来たすような方法をもつて行われる調査等がこれに該ると説く見解が有力である。)

に限定される

〜中略〜

およそ公開の場において個人の犯罪容疑を摘発、追究することを唯一の目的として国政調査権を行使することが行過ぎであることは異論のないところであろうが、他の適法な目的で行われる国政調査がたまたま証人等の訴追、処罰を招来するような事項に及び得ることは、国政調査の性質上むしろ当然のこととして予定され、それ故にこそ議院証言法第4条の規定が置かれているのである。
 所論の如く、およそ証人の訴追、処罰を招くおそれのある事項に関しては、議院等において証言を求めることは一切許されないと言うのでは、
同条の存在理由を説明できないこととなる。

としているわね。
原判決文は、複雑な事実認定があったり、さらにここではやらないけれど、自己負罪拒否特権刑事訴訟法で学びます)と国政調査権との関係という論点もあるために、恐ろしく長いのよね。
中略が多いのは、そういうことだから文句は言わないように。
これ、さっき国政調査権と司法権との関係のところで、まとめた内容とカブってね?
当たり前じゃない。
この判決文からの引用なんだもん。 
  先にまとめたなら、この判例検討せんくても、よかったんじゃね?
どうして、そういう結論になるのかワカラナイです。
藤先輩の頭の中は、どうなっているんですか。
よくもまぁ、次から次へと文句が出てくるものよね。
それだけ文句のバリエーションが尽きないのは、逆に尊敬に値するのかもね。 
  ウキっ!
褒められたお!! 
厭味よ!
バカサルっ!! 
 
友達に対して、平気で厭味は言うわ、バカ呼ばわりするわ・・・いやぁ流石に、親友としては悲しいよね。
どう思う? クロちゃん? 
確かに、光ちゃんの言動はヒドいですよね。
藤さんの人間性に甘え過ぎているとしか思えないです。
え?
え?
この流れで、まさかの私への人格非難!?
 
どうして、そういう結論になるのかワカラナイです。
黒田先輩の頭の中は、どうなっているんですか。

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