最大判平成14年9月11日 〜郵便法違憲判決〜 |
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はい、それじゃ配役の発表からね。 事件の原告となった方を、つかさちゃん。 郵便局の配達人を、ナカちゃん。 つかさちゃんの債務者を、サル。 ナレーターを、私が務めるわね。 |
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原告 |
藤さん、ちっとも私への借金を返済してくれないです。 このままでは、ラチがあかないですから、債権回収のために、裁判所に債権差押命令を出してもらうことにします、藤さん、すみません。 |
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ナレーター |
つかさちゃんのサルに対して有する債権についての債権差押命令の申立ては、神戸地裁尼崎支部において受理され、同支部は、平成10年4月10日に、債権差押命令を行いました。 この差押命令の正本は、特別送達の方法により、つかさちゃんの債務者であるサルの預金債権のある銀行と、サルが給与債権を有する相手方に対して送達されるはずでした。 (※ 銀行へは4月15日。 給与債権の相手方へは4月14日に送達。) なお、特別送達郵便とは、民事訴訟法(民事訴訟法103条から106条および109条)で学ぶことになりますが、裁判所等から、訴訟関係人らに対し書類を送達することで、当該送達の事実を証明するという、郵便物の特殊取扱をいいます。 |
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この郵便物は、特送です! えーっと、この送達は、銀行の支店(債務者サルの取引支店)です ! それでは、私書箱に投函しておくです! |
郵便局の配達人 |
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ナレーター |
この送達は、本来、銀行の取引支店において行われるべきものでしたが、郵便業務従事者であるナカちゃんは誤って、銀行支店の私書箱に投函してしまいました。 このため、送達が遅滞してしまい、つかさちゃんの債務者であるサルは、債権差押を免れ、4月14日に、銀行の取引支店から、預金を引き出してしまったのでした。 |
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ほほっ! 相変わらずメガネは温(ヌル)いお。 引き出しちゃえば、コレはあたしのお金だお! 早速、使ってしまうおっ! |
債務者 |
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原告 |
えっ? メガネ!? あ、いけない、いけない。 えーっと、送達が遅滞したことは、郵便業務従事者の方のミスによるものです! そのせいで、私は本来差押えられるはずの債権を回収できなくなったのです! ですから、差押債権の券面相当額を、損害として、国に対して国家賠償を求めますっ! |
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ナレーター |
今でこそ郵政は民営化されていますが、当時は、郵便事業は国の事業でしたので、その郵便業務による損害は、国家賠償の対象ということになるわけです。 | |
はい、そこまでで、いいわ。 | ||
ふ、藤さん・・・。 メガネなんてヒドいです・・・。 私も、コンタクトレンズにしたいなって思ってはいるんですけれど、長時間使用していると目が乾いて痛くなってしまうので、学校ではコンタクトレンズの使用を控えているんです・・・。 |
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(あ、しもたw 思わず言ってもぉたお。) いやいやいや、クロちゃんの眼鏡は、チャームポイントだから! 正直、すっごい似合っとるって、あたし思ってるから!! ぶっちゃけ、あたしも眼鏡したいくらいだからっ!!! |
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え? そ、そうなんですか? 藤さんには、何でも似合ってしまいそうですから、きっと眼鏡もすっごく御似合いだと思いますよ? |
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(いるかお、そんなモン。 あたしの目は顔並みにいいんだおっ!!) そ、そかな? じゃあ、視力が落ちたら、眼鏡も考えちゃおっかなぁ。 |
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サル・・・。あんた絶対、閻魔様に舌抜かれるんだから・・・。 つかさちゃんが気にしてることに、心無い発言しといて謝らないなんて、どんな神経してんのよ。 |
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でも、藤さんが、チャームポイントだって思っていて下さったなんて、なんだか嬉しいです! | ||
・・・。 (黒田先輩は将来、悪い男にペロっと騙されちゃいそうです・・・。) |
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つかさちゃんは、ソレで納得しちゃうんだ・・・。 あ、判例検討だったわね。 えーっと、本件での原告である、つかさちゃんの主張は、実は、当時の旧郵便法の規定によって棄却されてしまうのよね。 というのも、当時の旧郵便法には、次のような規定があったからなの。 『旧郵便法第68条 (損害賠償の範囲) 郵便事業庁長官は、この法律又はこの法律に基づく総務省令の規定に従って差し出された郵便物が次の各号のいずれかに該当する場合に限り、その損害を賠償する。 1項 書留とした郵便物の全部又は一部を亡失し、又は毀損したとき。 2項 引換金を取り立てないで代金引換とした郵便物を交付したとき。』 この規定によれば、郵便事業庁長官の損害賠償の範囲は、旧郵便法68条1項に列挙される場合であり、その場合の損害賠償金額は、68条2項から、一定または、それ以下の額に制限されることになるわ。 そして、さらに73条の規定もあるんだけど。 『旧郵便法第73条 (損害賠償の請求権者) 損害賠償の請求をすることができる者は、当該郵便物の差出人又はその承諾を得た受取人とする。』 と定められていたわけね。 となると、本件送達郵便物の差出人は神戸地裁尼崎支部(国)であり、その受取人は債務者であるサルということなんだから、そもそも、原告のつかさちゃんには、損害賠償請求権者としての地位がない、ということになるわけよね。 |
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ふむふむ。 それじゃ、クロちゃんの請求が棄却されるのは当然だろう。 常識的に考えて。 |
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そうなるわね。 ただ、つかさちゃんは次のような主張をして上告をしたわ。 旧郵便法68条、73条は、憲法17条に違反する、という主張ね。 ちょっと、憲法17条を確認してくれるかしら? |
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日本国憲法第17条 『第17条 【国及び公共団体の賠償責任】 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。』 |
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おおおおっ! なんか説得力ある気がするね、コレっ!! そか、そか。 憲法17条は、国又は公共団体に損害賠償を求める権利を保障しているっていうのに、それを、法律で免除したり、制限したりしちゃっていいの? ってことだよね。 |
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そうね。 法令条項の一部違憲を主張したってことになるわ。 |
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憲法17条は、国務請求権とも言われます。 国家賠償法の根拠となる条文ですが、旧郵便法の68条、73条の規定は、おかしいのではないか、と訴えるための根拠条文として、この憲法17条を挙げているわけですね。 因みにですけれど、この憲法17条自体を問題とした判例は、本判決が唯一なんですよね。 |
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うひゃ、超激レアっ!! | ||
さて。 それじゃ、法令条項の一部違憲(意味上の一部違憲)を、どのように判断すべきか、という視点をもって、本判決を見ていくことにしましょうか。 『1 憲法17条について 憲法17条は,「何人も,公務員の不法行為により,損害を受けたときは,法律の定めるところにより,国又は公共団体に,その賠償を求めることができる。」と規定し,その保障する国又は公共団体に対し損害賠償を求める権利については,法律による具体化を予定している。 これは,公務員の行為が権力的な作用に属するものから非権力的な作用に属するものにまで及び,公務員の行為の国民へのかかわり方には種々多様なものがあり得ることから,国又は公共団体が公務員の行為による不法行為責任を負うことを原則とした上,公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償責任を負うかを立法府の政策判断にゆだねたものであって,立法府に無制限の裁量権を付与するといった法律に対する白紙委任を認めているものではない。』 先ず、ここまでの議論についてだけど、立法府の裁量を認めた上で、ただし、無制限ってわけじゃないよ、それだと、白紙委任になっちゃうからね、って述べているわけよね。 『そして,公務員の不法行為による国又は公共団体の損害賠償責任を免除し,又は制限する法律の規定が同条に適合するものとして是認されるものであるかどうかは,当該行為の態様,これによって侵害される法的利益の種類及び侵害の程度,免責又は責任制限の範囲及び程度等に応じ,当該規定の目的の正当性並びにその目的達成の手段として免責又は責任制限を認めることの合理性及び必要性を総合的に考慮して判断すべきである。』 として、本判決での規範を述べているわ。 いわゆる、目的・手段審査という判断枠組みよね。 そして、侵害される権利から、緩やかな審査基準が用いられているわね。 同基準からは、目的については正当なものであること、手段については、合理的関連性(『合理性及び必要性』)があるかどうかを、総合的に考慮して判断すべきという規範になるわ。 そして以下の検討は、この規範に基づいて判断していくことになるわけね。 |
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なんか行政法みたいだね。 | ||
行政法でも、検討する判例だからね。 いい視点だと思うわ。 『2 法68条,73条の目的について (1)法68条は,法又は法に基づく総務省令(平成11年法律第160号による郵便法の改正前は,郵政省令。以下同じ。)に従って差し出された郵便物に関して, 〔1〕書留とした郵便物の全部又は一部を亡失し,又はき損したとき, 〔2〕引換金を取立てないで代金引換とした郵便物を交付したとき, 〔3〕小包郵便物(書留としたもの及び総務省令で定めるものを除く。)の全部又は一部を亡失し,又はき損したときに限って, 一定の金額の範囲内で損害を賠償することとし,法73条は,損害賠償の請求をすることができる者を当該郵便物の差出人又はその承諾を得た受取人に限定している。 法68条,73条は,その規定の文言に照らすと,郵便事業を運営する国は,法68条1項各号に列記されている場合に生じた損害を,同条2項に規定する金額の範囲内で,差出人又はその承諾を得た受取人に対して賠償するが,それ以外の場合には,債務不履行責任であると不法行為責任であるとを問わず,一切損害賠償をしないことを規定したものと解することができる。 (2)法は,「郵便の役務をなるべく安い料金で,あまねく,公平に提供することによって,公共の福祉を増進すること」を目的として制定されたものであり(法1条),法68条,73条が規定する免責又は責任制限もこの目的を達成するために設けられたものであると解される。 すなわち,郵便官署は,限られた人員と費用の制約の中で,日々大量に取り扱う郵便物を,送達距離の長短,交通手段の地域差にかかわらず,円滑迅速に,しかも,なるべく安い料金で,あまねく,公平に処理することが要請されているのである。仮に,その処理の過程で郵便物に生じ得る事故について,すべて民法や国家賠償法の定める原則に従って損害賠償をしなければならないとすれば,それによる金銭負担が多額となる可能性があるだけでなく,千差万別の事故態様,損害について,損害が生じたと主張する者らに個々に対応し,債務不履行又は不法行為に該当する事実や損害額を確定するために,多くの労力と費用を要することにもなるから,その結果,料金の値上げにつながり,上記目的の達成が害されるおそれがある。 したがって,上記目的の下に運営される郵便制度が極めて重要な社会基盤の一つであることを考慮すると,法68条,73条が郵便物に関する損害賠償の対象及び範囲に限定を加えた目的は,正当なものであるということができる。』 と認定しているわね。 ここまでの議論では、司法事実は一切考慮されていないわよね。 そして、この後の審査においても、司法事実は出てこないわ。 あくまでも、立法事実と一般事実だけを基礎に審査・判断をしているってことを確認して欲しいわ。 また、ここでは『目的』を、しっかりと認定しているわ。 旧郵便『法は,「郵便の役務をなるべく安い料金で,あまねく,公平に提供することによって,公共の福祉を増進すること」を目的として制定されたものであり(法1条),法68条,73条が規定する免責又は責任制限もこの目的を達成するために設けられたもの』 であると位置づけているわけね。 目的を、しっかりと抑えておくことで、その目的との関係で手段の必要性・合理性を考えるという、いわゆる目的手段審査という、私達の得意な審査基準に落とし込むことが出来るわけだものね。 だから、先ずは、目的をしっかりと抑えることが肝要と言えるわけよね。 |
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・・・別に、あたしは得意でもなんでもないんだけれど。 | ||
そして、次に続くわ。 『書留郵便物が適正かつ確実に配達されることに対する信頼は,書留の取扱いを選択した差出人はもとより,書留郵便物の利用に関係を有する者にとっても法的に保護されるべき利益であるということができる。』 『書留郵便物については,通常の職務規範に従って業務執行がされている限り,書留郵便物の亡失,配達遅延等の事故発生の多くは,防止できるであろう。 しかし,書留郵便物も大量であり,限られた人員と費用の制約の中で処理されなければならないものであるから,郵便業務従事者の軽過失による不法行為に基づく損害の発生は避けることのできない事柄である。 限られた人員と費用の制約の中で日々大量の郵便物をなるべく安い料金で,あまねく,公平に処理しなければならないという郵便事業の特質は,書留郵便物についても異なるものではないから,法1条に定める目的を達成するため,郵便業務従事者の軽過失による不法行為に基づき損害が生じたにとどまる場合には,法68条,73条に基づき国の損害賠償責任を免除し,又は制限することは,やむを得ないものであり,憲法17条に違反するものではないということができる。 しかしながら,上記のような記録をすることが定められている書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失による不法行為に基づき損害が生ずるようなことは,通常の職務規範に従って業務執行がされている限り,ごく例外的な場合にとどまるはずであって,このような事態は,書留の制度に対する信頼を著しく損なうものといわなければならない。 そうすると,このような例外的な場合にまで国の損害賠償責任を免除し,又は制限しなければ法1条に定める目的を達成することができないとは到底考えられず,郵便業務従事者の故意又は重大な過失による不法行為についてまで免責又は責任制限を認める規定に合理性があるとは認め難い。』 として、目的・手段審査の判断枠組みから、 『目的は、正当』 だけれど 『規定に合理性があるとは認め難い』 と判断しているわけね。 この目的・手段審査については、新司法試験の論文においても、とかく御世話になるものだから、また論文問題勉強会などで、まとめておくようにしても、いいかもね。 |
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・・・言うだけならタダだとでも思っているんだろうか。 常識的に考えて。 |
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後は、判決文をしっかり読んでおいて欲しいわね。 『なお,運送事業等の遂行に関連して,一定の政策目的を達成するために,事業者の損害賠償責任を軽減している法令は,商法,国際海上物品運送法,鉄道営業法,船舶の所有者等の責任の制限に関する法律,油濁損害賠償保障法など相当数存在する。 これらの法令は,いずれも,事業者側に故意又は重大な過失ないしこれに準ずる主観的要件が存在する場合には,責任制限の規定が適用されないとしているが,このような法令の定めによって事業の遂行に支障が生じているという事実が指摘されているわけではない。このことからみても,書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,被害者の犠牲において事業者を保護し,その責任を免除し,又は制限しなければ法1条の目的を達成できないとする理由は,見いだし難いといわなければならない。 以上によれば,法68条,73条の規定のうち,書留郵便物について,郵便業務従事者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条が立法府に付与した裁量の範囲を逸脱したものであるといわざるを得ず,同条に違反し,無効であるというべきである。 (3)特別送達は,民訴法第1編第5章第3節に定める訴訟法上の送達の実施方法であり(民訴法99条),国民の権利を実現する手続の進行に不可欠なものであるから,特別送達郵便物については,適正な手順に従い確実に受送達者に送達されることが特に強く要請される。そして,特別送達郵便物は,書留郵便物全体のうちのごく一部にとどまることがうかがわれる上に,書留料金に加えた特別の料金が必要とされている。 また,裁判関係の書類についていえば,特別送達郵便物の差出人は送達事務取扱者である裁判所書記官であり(同法98条2項),その適正かつ確実な送達に直接の利害関係を有する訴訟当事者等は自らかかわることのできる他の送付の手段を全く有していないという特殊性がある。 さらに,特別送達の対象となる書類については,裁判所書記官(同法100条),執行官(同法99条1項),廷吏(裁判所法63条3項)等が送達を実施することもあるが,その際に過誤が生じ,関係者に損害が生じた場合,それが送達を実施した公務員の軽過失によって生じたものであっても,被害者は,国に対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求し得ることになる。 これら特別送達郵便物の特殊性に照らすと,法68条,73条に規定する免責又は責任制限を設けることの根拠である法1条に定める目的自体は前記のとおり正当であるが,特別送達郵便物については,郵便業務従事者の軽過失による不法行為から生じた損害の賠償責任を肯定したからといって,直ちに,その目的の達成が害されるということはできず,上記各条に規定する免責又は責任制限に合理性,必要性があるということは困難であり,そのような免責又は責任制限の規定を設けたことは,憲法17条が立法府に付与した裁量の範囲を逸脱したものであるといわなければならない。 そうすると,(2)に説示したところに加え,法68条,73条の規定のうち,特別送達郵便物について,郵便業務従事者の軽過失による不法行為に基づき損害が生じた場合に,国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反し,無効であるというべきである。』 本判決を受けて、本判決同年の12月には旧郵便法は改正されたわね。本判決の趣旨に従った改正であることから、本件のつかさちゃんのような事案においては、損害賠償責任を求め得ることとなったわけね。 |
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また早い対応だね。 これ判決が9月なんでしょ? なのに改正が12月なんて、めっちゃ早いね。 |
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そうよね。 そうそう。 本判決についての、まとめは、理解の不十分な私ではなく、新先生の説明を引用させて頂くことにするわね。 『本判決は(〜中略〜)@書留郵便物について、郵便業務従事者の故意または重大な過失によって損害が生じた場合に、不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除または制限している部分(〜中略〜)を違憲とするものであるが、そこから知られるように、郵便法68条・73条それ自体ないし規定の全体を違憲とするのではなく(責任免除・制限を認めること自体を違憲としているのではない)、責任免除・制限が範囲がいわば広すぎるものと解し、その余分に広すぎる部分のみを限定的に違憲としているものとみられ、したがって、それは、単純に上記規定の可分の文言の一部を削除することによっては示しえない、意味内容上の縮減を判示しているもの』 (新正幸『憲法訴訟論【第2版】』信山社 2010年 452頁) と説明されるものであることから、本判決は、意味上の一部違憲という理解になるかと思うわ。 |
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うーんと、つまり・・・。 文言が邪魔だから、ソレを削除すればOKOK! って話じゃなくって、 もうソレ意味がおかしいんだお! ってことだね。 |
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久々に聴けましたね、藤さんのザックリ理解。 | ||
まぁぶっちゃけ、この判例は、アホの管理人もザックリ理解だしね。 仕方ない、ない、ない。 |
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メ、メタは駄目ですぅぅっ!! |