刑法の思考手順
刑法の事例問題に答える際の、思考手順について説明するわね。

刑法の論文問題においては、特に「型」が重視されるわ。
その「型」というのが、今から説明する思考手順なのね。
だから、この思考手順を先ず抑えて貰いたいわ。
  こくこく（相づち）。
先ず、刑法は行為を罰する法律なんだから、事例において罪責を問われている者の検討すべき「行為」をピックアップすることね。

例えば、サルがナカちゃんに頭突きをした行為、とか、サルがチイちゃんを助けようとしなかった不作為・・・って感じで、具体的に、その行為を挙げることが大事ね。

そして、その「行為」を抜き出した際には、成否にかかわらず検討する「罪名」を「条文」と共に明示することが求められるわ。

今の例を参考に具体的に述べるなら
『サルがナカちゃんに頭突きをした行為に、傷害罪（204条）が成立しないか』
といった感じにね。
条文を挙げる際には、何項ないし何段まで正確に明示できるといいですよね。
例えば、詐欺罪なんかですと、１項詐欺と２項詐欺とでは全然違うわけですからね。
・・・。

（もっとも、その違いについてはまだ勉強してないわけだけどね。）
まぁ、そうね。
でも、最初は、この思考手順を抑えれるようになることが大事って思っているから、ソレは勉強していく中で出来るようになればいいと思うわ。
  あ、そ、そうですよね。
すみません。
ううん、つかさちゃんの言うことは、もっともだと思うわ。
そうなるようにしましょうってことで、言ってくれたんでしょ？

さて、次が刑法の答案においては本丸になる部分になるわ。
構成要件の検討ね。

この構成要件の検討においては、とにかく段階構造を強く意識することね。
この検討順序は、間違えるとソレだけで大減点になるから、特に重要ね。

構成要件の検討順序は、
必ず！！

　　①客観的構成要件　
⇒　②主観的構成要件　
⇒　③修正的構成要件

の順序で検討するようにしてね！

もっとも②や③については、特に問題がなければ省略しちゃっても構わないわ。
原則的な検討手順ですが、

先ず、「構成要件の定義」を明示します。
この際、必要であれば、保護法益から解釈することも求められますね。

次に、問題事例の「事実を摘示」します。

そして、その「事実を評価」します。

そして、最初に示した定義への「あてはめ」って流れになりますね。
そうね。
特に「事実の評価」は大事だから忘れずに、しっかりと出来るようにしたいわね。

今、つかさちゃんが「原則的な」って最初に言ってくれたのは、刑法の新司法試験の問題なんかだと、とにかくボリュームがえらいことになっているから、フルコースでしっかり書かないといけない場合と、そうではない場合とがあるからってことね。
よく「メリハリ」をつけるように・・・って言われることなんだけど、なかなか出来ないのよねぇ。
  ですよね。
そして、構成要件の検討を終えた後は、違法性阻却事由・責任阻却事由の検討ね。

違法性阻却事由等があれば、今言った上記同様（構成要件の検討）の流れでの検討が必要になるわ。
逆に、違法性阻却事由等がないのであれば、構成要件の検討の犯罪が成立することになりますね。
その場合は、成立した犯罪を示すことになります。
次に、科刑（刑の減免）段階の検討ってことになるわね。
犯罪の成立を前提として、刑の減免があるのか？
って検討ね。
例えば39条2項の適用の有無とかよね。

まだ勉強していないから、ちょっと難しい話になるけれど、39条1項なら、犯罪の成否の責任レベルの話になるから、責任阻却事由のところで検討することに。
39条2項なら、犯罪成立後の科刑レベルの話になるから、この科刑段階で検討することになるわね。
・・・39条やってないやないの。
だから「ちょっと難しい話になるけれど」って前置きしたじゃないのよ。

えーっと、ソレで最後に罪数処理って感じかな。
まとめると、次のような思考手順を経ることが大事ってことになりますね。

１．「行為」を抜き出す
２．検討する「罪名」を「条文」を挙げて明示
３．構成要件を検討
　（１）必ず、客観的構成要件⇒主観的構成要件⇒修正的構成要件　の順序で
　（※　主観的構成要件・修正的構成要件は特に問題なければ省略可）
４．違法性阻却事由・責任阻却事由を検討
５．科刑段階の検討
６．罪数処理
整理してくれて、ありがとうね。

というわけで、刑法の思考手順については、今伝えたとおりになるわ。
この思考手順を意識して、事例問題を一緒に考えてみることにしましょうか。
一応、事例問題を一緒に検討した後で、誰かに論文問題を書いてもらうってことにしたいと思うわ。
思考手順が、ちゃんと論文の中で示されているかの確認も出来るしね。
  論文問題は久し振りだね！
チイがやってみたいよぉ！
  わ、私もやってみたいです！
ソレじゃ、チイとナカちゃんで一緒にやろうよ！
  ですです！
・・・。

（ここは黙っといたほーがええな。
　『沈黙は金なり』
　って言うかんね。）
・・・。

（このサルは・・・。
　ナニをスルーしようとしてくれてんのよ！）

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