最判昭和30年6月24日
〜栃木産米拠出個人割当事件〜
それじゃ配役を、まず言うわね。

私は、ナレーターで。

栃木県のある村の村長さんを、ナカちゃん
その村に住む原告となった弁護士を、サル

って配役でいくわね。

ナレーター
昭和23年。
栃木県内のある村では、知事から食管法に基づき供出する米の数量を指示された村長(ナカちゃん)が、各生産者個人への割当を検討していました。

村長(被告)
私の村の供米数量は、6582石です!。
各生産者への割当を決定するにあたって、皆さんに、それぞれ作付面積、収穫高、保有量、それに応じた供出数量を聞かないといけないです!

ナレーター
村長の下へは、村の各生産者からの報告が集まりました。 

村長(被告)
あぁ、そう言えば、この集落には、1人困った人がいたです!
あの人ときたら、以前から供出には協力しないのに、配給には苦情を言うだけ言うという人です! 

村長(被告)
仕方ないです!
あの人とは協議はできない以上、あの人の産米作付け反別、その他の必要な情報などは、コチラで調査するです!
そうそう、あの人は弁護士をされていますから、本来の農家ではないことは考慮しないといけないです!
そうですね、政府に売り渡す米の数量については、普通の農家の人よりも少なくしておくです!
  おいおい!
ナニを勝手なことしてくれとんや!

弁護士(原告)

村長(被告)
ひぃぃぃっです!
いや、でも供出は皆さんに割り当てているです! 
いやいや、違うがな!
他の連中は、みんな自己申告をさせてから供出量が決まっとるのに、なんで、わしだけ、勝手にあんたが決めとるんだって話よ!

弁護士(原告)

村長(被告)
え・・・でも、あなたは普段から他の村の人ともお付き合いもされないですし、何かあると苦情ばかりでしたので、協議することもできなかったです! 
そんなことが理由になるかいや!
わしが、非協力的な態度をとっとることと、わしだけ他の連中とは違う取り扱いすることは関係ないやろが!

弁護士(原告)

村長(被告)
いえ、でも、あなたのご職業にも配慮しましたし、収穫量から考えても、決して不当な供出割当ではないはずです! 
わしだけ他の連中と違う扱いをしといて、ナニ抜かすか!
こんな差別が許されると思うとるんか!
わしは、こんな勝手に決められた米の供出割当には従わへんからな!
お前らの、供出割当通知の取消を求めて訴えたるわい!

弁護士(原告) 
   




そこまででいいわ。
ナカちゃん、もうサルとの事案再現もできるようになったじゃない。 
実は、まだちょっと怖いです。
でもでも、頑張ったら、なんとかなるようになったです!
こぉんなキュートで優しい、あたしが怖かったら、世の中怖くないモノなんかなくなっちゃうよ?
ですよね!
藤さんみたいな優しくって素敵な方が怖いなんて、ちょっと竹中さんは価値観が普通の人とはズレていますよね。
ぐぐぐぐぐぐ。
(黒田先輩にだけは、ソレは言って欲しくないです!) 
ナカちゃんの言いたいことはワカルからね。
ちょっと、モヤシ教の教祖様と、その信者さんには、ナニを言っても無駄ってことで。

それじゃ、事案のポイントをまとめるわね。

本件では、平等原則違反が問題となっているのね。
この平等原則違反というのは、憲法14条法の下の平等違反というよりは、法の一般原則としての平等原則違反をいっていると思って欲しいかな。

平等原則違反について、判決文を見る前に再度確認しておくわね。

平等原則違反とは、行政庁が、特定の者を差別し不利益な取扱いをするような行政行為を行った場合をいうものだったわよね。

その考え方が、判決文にどのようにあらわれているかを見て欲しいわね。
  おい! コラ!!
誰が、モヤシ教なんだお!
言うてみろ、言うてみろ!
・・・。
(モヤシ教はヒドいですけれど、教祖様と、その信者さんという例えには納得しちゃいそうです。)
  最高裁の判断は、次のものよ。

『本件供出個人割当通知が行われた当時における法令によれば、供出割当の方法については、「市町村長が、知事の指示に従い、食糧調整委員会の議決を経て、供出割当数量を定め、遅滞なくこれを生産者に通知する」との趣旨の定めがあるにとどまり、その方法として、いわゆる事前割当の方法(生産開始前に予め部落内の生産者相互の協議を経て割当額を決定通知する方法)によるべきかどうか、また割当通知の時期を何時とすべきか等については、何等具体的な定めがなかつたことは明らかである。

 従つて、これらの点についてどのような措置をとるかは、一応、行政庁の
裁量に任されていたものと解さざるを得ない。

 もつとも、かような場合においても、行政庁は、何等いわれがなく特定の個人を差別的に取扱いこれに不利益を及ぼす自由を有するものではなく、この意味においては、
行政庁の裁量権には一定の限界があるものと解すべきである。

 しかし、原審の認定するところによれば、同じ部落内の上告人以外の生産者に対しては、事前割当の方法により昭和二三年五月一〇日頃に個人割当の通知が行われたに対し、上告人は、従来から供出に非協力であり、これにつき他の部落と協議することは不可能と思われる状況にあつたため、上告人に対しては、別に、食糧調整委員会の議決を経て、産米作付反別その他地力等につき所要の調査を遂げ、とくに上告人が本来の農家でないことも考慮してその負担を軽減し、同年十二月二四日に供出割当数量を通知したというのである。

 かような事情の下では、上告人が事前割当の手続に参加し協議に与る機会を失つたとしてもやむを得ないところであり、また上告人については個別的に生産の状況を調査するため上記の程度において割当通知が遅延したとしても、強いてこれをとがめ得ない事情にあつたものといわねばならない。

 しかも、供出割当の制度は、結局において、生産の実情に応じて供出義務を負担させることにあるものと解すべきであるが、原審の認定するところによれば、同年度における上告人の実際の収穫量は、右の割当数量を供出するに十分余裕のある状況にあつたというのであるから、前記の措置により上告人が特別に不利益を被つたものとは認められない

 以上のような事情を綜合して考えれば、被上告人が供出割当について上告人を前記の程度において区別して取り扱つたとしても、これをもつていわれのない差別取扱による違法処分というには当らず、また右措置が上告人に対する人格蔑視に基く違法処分であるということもできないものといわねばならない。


としているわね。
この判例は、知りませんでした。
最近の新司法試験でも、平等原則違反は出題されているところですから、この判決文にある規範部分は、しっかり抑えておきたいですね。

本判決では、裁量行為であっても、限界があると言っていますね。
その基準として、平等原則を挙げているわけですね。

判決文ですと、
これらの点についてどのような措置をとるかは、一応、行政庁の裁量に任されていたものと解さざるを得ない。
 もつとも、かような場合においても、行政庁は、何等いわれがなく特定の個人を差別的に取扱いこれに不利益を及ぼす自由を有するものではなく、この意味においては、
行政庁の裁量権には一定の限界があるものと解すべきである。
としている部分ですよね。

まぁ、本件では事実関係から不利益を及ぼしたものではない、とする評価がなされていて、平等原則違反とはならないという判断になっているわけですが。
成程ねぇ〜。
しかしまぁ、いつの時代、どの場所にも、周囲と馴染めない問題人物はいるみたいだねぇ。
他人事みたいに言ってくれるわねぇ。
配役の意図にも気付いて欲しいって気持ちがなくはないけどね。  
  ウキっ!?
配役の意図?
あ! 私、配役の意図に気付いちゃいました!
原告の方の弁護士って職業じゃないですか?
私達の中で、一番お出来になる藤さんが、法曹に最も近い存在だってことを光ちゃんは伝えたかったですよ!
  ちょっ!!
やめてよぉ。
ちょっと褒め過ぎじゃない?
すっごい曲解きちゃった。
・・・モヤシ教恐るべし。
 
 

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