最判昭和56年1月27日判決 〜宜野座工場誘致事件〜 |
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じゃあ、いつものように配役を言うわね。 私は、いつものようにナレーターをやりますね。 宜野座村に工場建設をしようとする会社(法人)をサル。 最初の村長さんは、ナカちゃん。 新村長さんを、黒田さんって配役でお願いします。 |
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沖縄県宜野座村。 (宜野座村 水と緑と太陽の里 宜野座村HP) 1971年、宜野座村では、村議会の議決を経て、村に工場誘致を行おうという政策が決定しました。 |
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それじゃ、宜野座村に工場進出することは村議会で可決されたんですね? | ||
工場誘致政策が議会の賛成を得たです! 工場進出には、村をあげて全面協力するです! |
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それは心強い! それじゃ、工場用地のための土地だけじゃなくって、機械設備も買わないといかんな。 |
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進出に必要な措置も村でとるです! 工場進出のためには協力するです! |
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お陰様で、コッチも順調です。 工場用地の敷地の整備も完了。 工場の機械設備も発注済みですから、後は届くのを待つだけですよ。 |
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・・・。 そ、そ、村長選挙に負けたです。 もう村長じゃなくなったです。 |
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あれあれ。 あの村長さん、選挙に負けてしまったのか。 |
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どうも。 工場進出に反対する住民に支援されて、この度、新しく村長になった者です。 |
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はぁ、どうも。 まぁ、前の村長さんとの間で、話はついているんで、うちの工場進出については聞いていると思うけど。 あ、これ、工場の建築確認申請の書類です。 |
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大変言い難いんですけど、おたくの工場進出には、地元住民が反対していまして。 そんなわけですので、建築確認申請には同意できません。 |
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いやいやいや。 今更、そんなこと言われても困るなぁ。 もう工場の敷地整備も終わってるんだし、機械も発注しちゃってるんだから、そこは同意してもらわないと。 |
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地元住民の反対が総意である以上、うちとしても同意には応じかねます。 | ||
そんな態度では、うちの工場進出は頓挫してしまうよ。 そんなこと言わずに頼むから。 |
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無理なものは無理です。 不同意という結論は変わりませんよ! |
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同意が得られないんじゃ、工場の建設も操業も出来やしないよ・・・。 うちが一体、幾らこの工場進出事業に金を使ったと思っているんだ・・・ 損害賠償してもらうからな! |
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・・・お疲れ様でしたぁ。 事案の概要は掴めたよね? |
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クロちゃんが急にキれるんだもん。 別に、あんな顔しなくってもいいと思うんだけどなぁ。 |
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とりつくシマもないってところを表現したくて・・・。 | ||
宜野座村、綺麗なとこですね。 私、沖縄には行ったことないから憧れちゃいました。 |
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沖縄なら、うちの別荘があるから、今度遊びに来る? 招待しちゃうわよ? |
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このブルジョワがぁ・・・。 別荘なら、あたしん家の実家だって、別荘があるよ。 |
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え? それって、藤さんが、私を、その別荘に招待してくれるって話ですか? |
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・・・納屋と鶏小屋っていう名前の別荘でいいならね。 | ||
・・・うぅぅぅ。 いくら藤さんの別荘とはいえ、それは流石に・・・。 |
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納屋や鶏小屋に、別荘なんて紛らわしい呼び方しないでよね! 黒田さんだって勘違いするわよ! |
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なんて呼ぼうが、あたしの自由じゃないの! じゃあ、今度からウチの軽トラは、ランボルギーニカウンタックって呼んでやんよ! |
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また、えらい古い車種を持ち出してきたわね・・・ | ||
乗車定員も同じ2名だし、木下家の家運を託す唯一の車・・・ 家運託(カウンタック)。 名前どおりじゃないの! |
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脱線も甚だしいんで、そろそろ事案のポイントまとめるわね。 もう! サルに付き合ってるとキリがないんだから! この判例から学び取って欲しいのは、信頼関係を破壊し、不法行為責任(損害賠償義務)が生じる際の規範となる要素についてね。 4つの要素が見出せると思うから、判例を一緒に読んで、4つの要件を整理することにしましょ。 というわけで、まず判旨を見ることにするね。 |
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短めね! 短めにしてね! |
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最高裁の判断は、次のものよ。 『右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、@特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、Aその活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと信頼し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。 このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との間に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であつても、右のように密接な交渉を持つに至つた当事者間の関係を規律すべき信義衡平の原則に照らし、その施策の変更にあたつてはかかる信頼に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。 すなわち、B右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入つた者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、C社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめるものといわなければならない。』 どうかな? 見やすいように、それぞれの要件に赤太文字算数字で信頼関係を破壊し、不法行為責任が生じる際の規範となる4つの要素を示したんだけど・・・。 |
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でも、工場誘致政策があったとしても、その後の選挙によって、新村長が反対派住民の支持を受けて当選したということを考えれば、新しい政策変更は当然起こり得るわけですから、それによって、工場進出計画が頓挫、破綻することもやむを得ないことではないでしょうか? | ||
確かに、この事案においても、1審、2審共に、工場進出しようとした会社側の請求が棄却されているわ。 最高裁で、逆転勝訴したということを考えれば、信義則の適用される限界事例の一つと言えるわよね(その後、差戻審で2700万円で和解成立)。 ただ、選挙による政策変更、それ自体は最高裁は違法であるとは捉えていないと思うわ。黒田さんの言うように、選挙によって住民の意思を反映することは地方自治制度の根幹ですものね。 問題はそこではなく、積極的かつ個別的な誘致をした者と、その誘致を信じて行動した者との当事者間の信頼関係を不当に破壊したことよね。 この信頼を裏切って、相手に看過しがたい損失を与えたことは不法行為にあたると言っていいと思うわ。 |
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かきかき (メモ中) |
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なんか小難しいこと言うとるお・・・ | ||
政策変更と信頼の保護ですか・・・難しい問題ですね。 | ||
ウキっ! 難しい問題ということだけは、よくワカッタ!! |