最判昭和46年10月28日判決 〜個人タクシー事件〜 |
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はい、それじゃ、いつも通り配役からね。 私はナレーターを。 個人タクシー事業の許可申請者を、ナカちゃん。 東京陸運局長を、サルって配役でいくわね。 |
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ナレーター |
東京陸運局は、道路運送法3条2項3号所定の個人タクシーを、983両増車することとし、個人タクシー事業を希望する人の中から、申請審査基準に基づいて許可審査を行うこととしました。 | |
私も、個人タクシー事業をしたいです! 早速、東京陸運局に申請するです! |
事業許可申請者 |
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東京陸運局長 |
審査基準は17項目もあるのか。 まぁ、でも免許要件を考えると、これくらいの審査基準を設定しないといけないよなぁ。 |
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ナレーター |
道路運送法 『(聴聞) 第122条の2 1項 陸運局長は、その権限に属する左に掲げる事項について、必要があると認めるときは、利害関係人又は参考人の出頭を求めて聴聞することができる。 1号 自動車運送事業の免許 2号 自動車運送事業の停止及び免許の取消 3号 自動車運送事業における基本的な運賃及び料金に関する認可 2項 陸運局長は、その権限に属する前項各号に掲げる事項について利害関係人の申請があったとき、又は運輸大臣の権限に属する前項各号に掲げる事項について運輸大臣の指示があったときは、利害関係人又は参考人の出頭を求めて聴聞しなければならない。 3項 前二項の聴聞に際しては、利害関係人に対し、意見を述べ、及び証拠を提出する機会が与えられなければならない。 4項 第1項及び第2項の聴聞に関し必要な事項は、運輸省令で定める。』 東京陸運局長は、道路運送法122条の2に定める聴聞を行い、その結果、784名に個人タクシー事業の免許を与えました。 |
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私の申請もきっと通るです! 個人タクシー事業を始めて、お客さんをじゃんじゃん運んで頑張るです! |
事業許可申請者 |
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東京陸運局長 |
え? なんだって? あの竹中って人は、審査基準に該当しない? ふむふむ。 審査基準6の『本人が他業を自営している場合には転業が困難なものでないこと』、審査基準7の『運転暦7年以上の者』の2項目に該当しないだって? いや、そりゃダメでしょ。 申請却下しておきなさい。 |
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ええ? 私の申請は却下です!? ちょっと待って欲しいです! 確かに、私は洋品店を営んでいます(審査基準6に抵触のおそれあり)が、廃業するつもりだったです! そのことについて聞きもしないのに、審査基準に該当しないなんて理由で申請を却下するなんて、おかしいです! この申請却下処分には納得いかないです! 私は、処分の取消を求めて訴えるです! |
事業許可申請者 |
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そんなところかしらね。 | ||
藤さん、お疲れ様でした! | ||
・・・。 (あたしが行政側の配役ってことは、まぁ、判決はお察しだなぁ。) |
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ろくに聞き取りもせずに、申請を却下するなんて、許せないです! | ||
・・・。 (だおだお。 という話になるんだろうなぁ、なんか予想がつくお。) |
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どうされました? 藤さん、さっきから一言も口を開いてみえませんけれど。 |
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どうせ口開いても、ろくなこと言わないんだから構わないんじゃない? そんなことより事案のポイントよね。 行政がどのような手続きをとれば、公正な決定といえるのか? という点に着目して判決文を見て欲しいわね。 |
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・・・。 (なんだろ、既に結果が見えている判決文を聞かなきゃならないという、この無常感。) |
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最高裁の判断は、次のものね。 『おもうに、道路運送法においては、個人タクシー事業の免許申請の許否を決する手続について、同法122条の2の聴聞の規定のほか、とくに、審査、判定の手続、方法等に関する明文規定は存しない。 しかし、同法による個人タクシー事業の免許の許否は個人の職業選択の自由にかかわりを有するものであり、このことと同法6条および前記122条の2の規定等とを併せ考えれば、本件におけるように、多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする行政庁としては、事実の認定につき行政庁の独断を疑うことが客観的にもつともと認められるような不公正な手続をとつてはならないものと解せられる。 すなわち、右6条は抽象的な免許基準を定めているにすぎないのであるから、内部的にせよ、さらに、その趣旨を具体化した審査基準を設定し、これを公正かつ合理的に適用すべく、とくに、右基準の内容が微妙、高度の認定を要するようなものである等の場合には、右基準を適用するうえで必要とされる事項について、申請人に対し、その主張と証拠の提出の機会を与えなければならないというべきである。 免許の申請人はこのような公正な手続によつて免許の許否につき判定を受くべき法的利益を有するものと解すべく、これに反する審査手続によつて免許の申請の却下処分がされたときは、右利益を侵害するものとして、右処分の違法事由となるものというべきである。 原審の確定した事実に徴すれば、被上告人の免許申請の却下事由となつた他業関係および運転歴に関する具体的審査基準は、免許の許否を決するにつき重要であるか、または微妙な認定を要するものであるのみならず、申請人である被上告人自身について存する事情、その財産等に直接関係のあるものであるから、とくに申請の却下処分をする場合には、右基準の適用上必要とされる事項については、聴聞その他適切な方法によつて、申請人に対しその主張と証拠の提出の機会を与えなければならないものと認むべきところ、被上告人に対する聴聞担当官は、被上告人の転業の意思その他転業を困難ならしめるような事情および運転歴中に含まるべき軍隊における運転経歴に関しては被上告人に聴聞しなかつたというのであり、これらの点に関する事実を聴聞し、被上告人にこれに対する主張と証拠の提出の機会を与えその結果をしんしやくしたとすれば、上告人がさきにした判断と異なる判断に到達する可能性がなかつたとはいえないであろうから、右のような審査手続は、前記説示に照らせば、かしあるものというべく、したがつて、この手続によつてされた本件却下処分は違法たるを免れない。 』 ってね。 |
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そうですよね、そうですよね! 聴聞をしっかりせずに、申請を却下するなんて認められないですよね! |
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やっぱりだお。 相手先発投手聞いた瞬間に、試合終わってます的な脱力感あるお。 案の定の負けって感じだお。 |
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ナニを、ブツブツ言っているのよ。 道路運送法には、個人タクシー事業の免許申請の拒否手続において、同法122条の2の聴聞以外の規定が、そもそも存在しないのよ。 それなのに、その処分の相手方の唯一の主張の機会である聴聞の手続に不備があった以上、それは公正な手続きとはいえない、という理解になるわけね。 この事件では、個人タクシーの983両の増車決定に対して、6630件の申請があったのね。 その申請の中から審査基準に照らした聴聞を行い、784名に免許を与えているわけなんだけど、このような、 『多数の者のうちから少数特定の者を、具体的個別的事実関係に基づき選択して免許の許否を決しようとする』 以上、 『行政庁としては、事実の認定につき行政庁の独断を疑うことが客観的にもつともと認められるような不公正な手続をとつてはならない』 としているわけ。 つまり、行政の信頼を損なうような手続を行うべきではないことから、この義務に反した手続は違法であると判断しているのよね。 |
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うんとねぇ。 不公正っていうなら、行政が敗訴するような事件は、あたしに行政役をフるっていうのは、不公正だと思うんだおね。 |
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別に、そんなことないわよ? つかさちゃんが行制側の配役の事案再現の事件だって、行政側が敗訴している判例もあったじゃない。 |
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え? マヂで? |
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ありました。 | ||
そっか・・・。 あたし、普段から虐められているせいか、被害妄想気味になっちゃってたのかもね。 |
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ふ、ふ、藤さぁぁぁんっ!! い、い、一体、誰が藤さんのような優しい方を虐めているんですか? |
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私も詳しく聞きたいです。 いったい、だれが、ふじせんぱいをいじめているんですか? |
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私も詳しく聞きたいです。 イッタイ、ダレガ、フジサンヲイジメテイルンデスカ? |
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あ・あ・ああ・・・。 い、虐め・・・られているっていうのも、あたしの被害妄想だった・・・かな? う・・・うんうん。 |